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シミのケア

2021.11.26

はなふさ皮膚科 理事長 花房火月先生

はなふさ皮膚科 理事長 花房火月先生

2006年東京大学医学部医学科卒業後、がん研有明病院や東京大学医学部附属病院などでの研修を経て、東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科・助教。2011年、三鷹はなふさ皮膚科を開設の後、東京・埼玉で8院を開院。難治性の皮膚疾患をはじめ、薄毛、シミ・シワなどの美容皮膚科にも取り組む。著書に『やっぱり美人は、かかりつけの美容皮膚科を持っていた』など。

トラネキサム酸とは?基礎知識と効果について

「トラネキサム酸とは、タンパク質を構成する成分である必須アミノ酸リシンをもとに、人工合成されたアミノ酸の一種です。
皮膚科領域では肝斑の治療薬として有名ですが、止血作用や抗炎症作用があり、外科手術の出血対策や、耳鼻科での喉の炎症治療、歯科での抜歯後の出血予防など、広く使われています」

トラネキサム酸が炎症や出血に効くメカニズム

トラネキサム酸が炎症や出血に対する治療に使われるのは、プラスミンという酵素のはたらきを弱める「抗プラスミン作用」があるからです。

出血したときにはフィブリンという成分が生成され、止血効果を発揮しますが、血液中には普段血液が固まらないよう働いているプラスミンが存在しています。トラネキサム酸は出血時、そのプラスミンの作用を抑制することで止血効果を高められます。

炎症やアレルギー症状にもプラスミンは関係しており、そのはたらきを弱め、症状をおさえるために、トラネキサム酸の治療薬が使われます。

皮膚科ではシミ治療にも使用される

皮膚科では、湿疹がひどいときや蕁麻疹が収まらないときにトラネキサム酸が処方されることがあります。
日本ではさらに、肝斑の治療にトラネキサム酸の飲み薬や塗り薬が使われます。

肝斑の治療に使われるのは、シミの元となるメラニンの生成にもプラスミンが作用しているため、プラスミンのはたらきを抑制することでシミの発生をおさえられるからです。

どんなシミにもトラネキサム酸は有効?

トラネキサム酸は主に肝斑の治療薬として処方されますが、他のシミ治療でも補足的に使用されることがあります。
老人性のシミの場合はレーザー治療が有効ですが、照射後の炎症や、炎症による色素沈着を防ぐため、トラネキサム酸が処方されることがあります。
一方、肝斑の治療にはレーザーは向かないため、メラニンの生成をおさえる薬での治療が主になります。

ただし、トラネキサム酸はそれだけで絶対的な効果を発揮するほど強い薬ではありません。
また、どんなに薬を使っても、普段のスキンケアをせず摩擦や紫外線の刺激を与えていては、改善は難しいです。

「他のケアもしっかりと行い、専門家と相談しながら治療を進めるようにしましょう」

飲み続けて大丈夫? トラネキサム酸の気になる副作用について

トラネキサム酸を肝斑治療で用いる場合は、長期的な服用が必要になります。皮膚科で処方する場合は半年~1年飲み続けて経過を見るのが一般的です。

気になる副作用については次の通りです。
  1. 健康な方であれば心配はあまりない
  2. 血栓ができやすい人や血をサラサラにする薬を飲んでいる人は注意が必要
  3. トラネキサム酸で白髪が増えることはない
ただし、既往症がある方や体質によっては注意が必要な場合があります。
薬を飲む女性

トラネキサム酸で起こりうる副作用

最も注意しなければならない副作用は血栓です。トラネキサム酸を服用することで、血栓ができやすくなることがありますので、血栓ができやすい人や、血液をかたまりやすくする、もしくはサラサラにする薬を使用している人は飲まない方が良いでしょう。
特に、血をかたまりやすくする「トロンビン」は、トラネキサム酸との併用禁忌の薬ですので、服用している方は必ず医師や薬剤師に申告しましょう。

血栓の既往歴がある方、静脈瘤になっている方、また心筋梗塞や脳梗塞になったことがある方などは注意が必要です。
また、コレステロール値が高い方や、ピルを飲んでいる方も血栓のリスクが高まる可能性がありますので、必ず専門家の指示を仰いでください。

トラネキサム酸で白髪になる?

トラネキサム酸の服用によって白髪になることはありません。
白髪は、髪の毛を作っている毛包という組織の中でメラノサイトが全くはたらかなくなってしまうことによって発生するものですが、トラネキサム酸はメラノサイトを殺す薬ではないからです。
髪の毛への影響は、心配する必要はありません。
はなふさ皮膚科 理事長 花房火月先生

医薬品トランサミンについて

病院で処方されるトラネキサム酸の薬の多くは、『トランサミン』という薬になります。

トランサミンには250mgと500mgの2種類がありますが、容量が多い方が肝斑に対して効果を発揮するかといわれると、必ずしもそうではありません。
2021年現在、効果的な容量についてはっきりと証明する論文は出ておらず、人によって適切な量が違うのではとも考えられています。

トランサミンは、服用後の血中濃度が半分以下になる「半減期」が約1.5時間となっているため、血中濃度を保つためには、1日に2~3回飲むことが必要になります。
そのため、容量の多いものを回数少なく飲むのではなく、1日に数回に分けて、長く続けることが効果的と言えるでしょう。

250mgか500mgかは選べる?

病院や薬局にどちらも用意されている場合は、希望すれば選べることもありますので、医師や薬剤師に相談してみましょう。
トランサミンの使用量は、1日に750mg~2000mgとなっていますので、その範囲内で使用するようにしてください。

服用するとき注意が必要な人

前述の通り、血栓症や血栓性の病気の恐れがある方は注意が必要です。大怪我をしている人や寝たきりの人にも、おすすめできません。
また、薬ですので妊娠中・授乳中の方は基本的に服用しないようにしましょう。
ただし、そんなに強い薬ではないので、妊娠に気付かず飲んでいたからと言って、あまり心配する必要はありません。気付いた時点で使用を控えるようにしましょう。

トランサミンを飲み続けるリスクは?

トランサミンを用いた治療期間は約1年です。それ以上飲み続けて大きなリスクがあるわけではありませんが、1年飲み続けて効果がないのであれば、漫然と飲み続けるのはおすすめしません。

肝斑は年齢やホルモンバランス等が関係しているため、服用をやめると再発することもありますが、その場合は数ヶ月の間隔をあけて、再び使用することは可能です。

1日の摂取量は2000mgと定められていますが、誤って1~2錠多く飲んでしまってもただちに大きなリスクになることはありません。
ただし、量を増やしても大きな効果が期待できるわけではありません。
血栓のリスクもゼロではないので、用法・容量を守り、決められた量を飲み続けるようにしましょう。

トラネキサム酸の市販薬やジェネリックについて

「病院で処方されるトランサミンの他にも、トラネキサム酸が配合された市販薬があります。
市販薬でも肝斑の治療に使うことはできますが、使用上の注意点を確認し、用法・容量を守って使用するようにしましょう」
薬の説明

トランサミンと市販薬との違い

病院で処方される薬と市販薬の主な違いは、成分の含有量です。
医療用医薬品は、主成分はそれのみであるのに対し、市販薬は複合的にさまざまな成分が入っています。
市販薬を選ぶときは、主成分以外に何が入っているのかを確認するようにしましょう。

市販薬の場合、自己流の内服方法で何かあったときには自己責任となりますので、必ず決められた用法・容量を守って使用するようにしてください。

トラネキサム酸は、肝斑治療の他、レーザー治療後やニキビ後の炎症後色素沈着予防として、短期的に使用することも可能です。
その場合も医師や薬剤師に相談の上、決められた範囲内で使うようにしましょう。

ジェネリック医薬品について

医療用医薬品トランサミンのジェネリック医薬品も多数あります。ジェネリックは先発品と効果や飲み方について、先発品と同等と認められているものですので、トランサミンと同様に使用して問題ありません。

「服用の前に、スマホでシミ審断もいいでしょう」

「トラネキサム酸は肝斑をはじめとするシミ治療に使われますが、長期的に使用する薬です。服用するときは、必ず定期的に医師や薬剤師の指導を受け、適切に使用するようにしましょう。
長期的に飲むからこそ副作用も気になるところです。まずは自分のシミに効果があるのか、シミの種類を知って適切な対策をとるようにしましょう。」
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