ターンオーバー正常化で顔のシミは解決できる?美容皮膚科医が解説
肌はターンオーバーにより周期的に生まれ変わっていると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。シミとターンオーバーはどう関係しているのか、ターンオーバーを正常化することでシミは改善するのか、気になっている方のため、ターンオーバーの基礎知識について皮膚科医が解説します。
お話を伺った医師
医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科
吉岡容子先生
東京医科大学卒業、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、 皮膚科・美容皮膚科を経て、平成24年より医療法人容紘会 高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。
副院長として現在も勤務。 日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会、日本美容皮膚科学会など数多くの学会に所属する。
肌のターンオーバーとは? 基礎知識の解説
肌が生まれ変わる仕組みとターンオーバーの重要性
基底膜では細胞分裂によって新しい細胞が作られていて、古くなった細胞は少しずつ肌の外側に向かって押し上げられ、やがて角質層まで達すると剥がれ落ちます。この肌の生まれ変わりがターンオーバーです。
周期が乱れ、ターンオーバーが正常に行われなくなると角質の異常が起こります。角質は肌を守る役割を担っているので、そこに異常が発生すると様々なトラブルや疾患につながりやすくなるんです。
肌を美しく健康に保つためには、ターンオーバーを正常に保つことが重要なんですよ。
ターンオーバーが遅れる原因
年齢を重ねると自然と代謝は低下しますが、寝不足やストレス、過度なダイエットによる栄養不足なども影響します。
また冷え性の人は、末梢の血流が悪く、体の隅々まで栄養や酸素が行き渡らないため、代謝が落ち、ターンオーバーも遅れがちです。食生活を整えたり睡眠時間を見直したりして、全身を健康にして冷え性を根本から改善することが大事ですね。
特に紫外線は肌内部にダメージを与えるので、紫外線を浴びた肌は、内部への侵入を防ごうと角質を分厚くします。厚くなった角質ははがれにくくなり、肌のくすみにつながってしまいます。
また肌に合わない化粧品を使ったり、保湿ケア不足で肌を乾燥させたりすることも、刺激要因になります。ダメージを受け炎症が起きると、肌を守ろうとする力で角質が厚くなり、ターンオーバーが乱れやすくなるんです。
肌に負担をかけると、過剰に防御機能がはたらいてしまうので気を付けましょう。
顔の皮むけとターンオーバー
でも皮膚科で治療を受けたわけではなく「いつの間にか皮がむけてきた…」というときは、肌が炎症を起こし、ターンオーバーが異常な状態なので好ましくありません。
乾燥して湿疹が出たり、ニキビで肌が荒れたりしているときも、皮がむけることがありますが、これもやはり炎症による皮むけです。保湿ケアをしっかり行い、肌を正常に戻す必要があります。
なかなか治らない場合は皮膚科を受診してくださいね。
ターンオーバーの正常化が美肌をつくる
シミ対策にはターンオーバーの正常化
紫外線や炎症はメラニンの過剰生成を促すので、シミの原因になるのは事実。でも日焼けをしたからといって、すぐにシミができるわけではないんですよ。肌のターンオーバーが正常に行われていれば、自然治癒力が働くので、黒くなったメラニンの多くは排出されてシミができにくくなります。
逆に、ターンオーバーが活発に行われないと、メラニンが排出されず蓄積していきます。だからシミ対策にはターンオーバーの正常化が欠かせません。
不健康な生活はターンオーバーを乱す
眠っているときには成長ホルモンが分泌され、体全体の代謝が促されます。特にゴールデンタイムといわれる22時~2時の間は成長ホルモンが出やすい時間帯なので、そこでしっかりと良い睡眠をとることが大切です。成長ホルモンが出ている間にターンオーバーが促され、肌がキレイになります。
ターンオーバーにはホルモンバランスも大きく関係しているので、ストレスが多くホルモンバランスが乱れると、ターンオーバーも乱れていきます。運動して気分をリフレッシュさせたり、意識的にリラックスタイムを設けたりして、ストレスをためこまないようにしましょう。
規則正しくバランスのとれた食事も、ターンオーバーの促進には欠かせません。ジャンクフードや加工食品ばかり食べ続けると、ビタミンやミネラルが不足してターンオーバーの乱れにつながるので、なるべく減らしていきたいですね。
肌の材料になるたんぱく質(肉や魚)、ビタミンやミネラルが多く含まれる野菜を、バランス良く食べるようにしましょう。
ターンオーバー周期が早いか遅いかの見極め方
ヒリヒリしたり乾燥していると感じたりする場合は、角質が薄くなって炎症を起こしている状況です。
ターンオーバーの周期は、肌の状態を見たり触れたりすることで判断できる場合があるので、目安にしてみてください。
ターンオーバーの正常化で目立たなくできるシミ、できないシミについて
老人性色素斑
ターンオーバーをより促してシミを目立たなくしたいという方は、皮膚科や美容皮膚科に相談すると積極的な治療を受けることもできます。
炎症後色素沈着
より早く改善させたい場合は、メラノサイトの活動を抑制する効果のあるトラネキサム酸やビタミンC、ビタミンEの薬を内服する治療や、外用薬もあります。
そばかす
アザや母斑のように皮膚の深いところにあるものの場合は、レーザー治療など専門的な対処が必要になります。
肝斑
肝斑は、紫外線の影響で悪化することが立証されていて、他に女性ホルモンや摩擦による刺激が関与していると考えられています。
なるべく紫外線を浴びない、ゴシゴシ洗わない、化粧品を塗るときに摩擦に気を付ける、などを心がけながら、医師による指導のもと適切な治療を受けるようにしましょう。
後天性メラノサイトーシス
美容皮膚科を受診し、内服や保湿、美白系の塗り薬の使用やレーザーを使った治療を行いましょう。
脂漏性角化症
ただ、組織としては角質がたまったものなので、予防のためにはターンオーバーの促進が大切です。
脂漏性角化症ができやすい人は脂性肌の人が多いので、スキンケアで油分を与えすぎるのは逆効果です。ややドライに調整していくことが必要なので、専門家に相談し、生活の改善や治療をあわせながら肌質の改善に取り組むことをおすすめします。
自分のシミの種類がわからない方はシミ審断を活用
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
肌のターンオーバーを整えるインナーケア
遅れてしまったターンオーバーを早める方法
食生活の乱れや体の冷え、寝不足やストレスによるホルモンバランスの乱れはすべて肌に現れます。早寝早起き、バランスのとれた食事、適度な運動など、体調を整える基本的な生活を意識しましょう。忙しい毎日の中で、急にすべてを整えるのは難しいかもしれませんが、できることから少しずつでも見直してみてください。
体調が整い代謝が上がれば、肌のターンオーバーも促進されます。
ターンオーバーの正常化に有効な栄養素
ターンオーバーを整えるためのスキンケアのポイント
乾燥を防ぐ保湿ケア
摩擦を抑えて肌をいたわる
また角質を落とすために市販のピーリング化粧品を使う人もいると思いますが、こするタイプはNGです。塗って時間をおいてから流すだけのタイプや石鹸タイプなど、肌をこすらずに使えるものがおすすめです。
紫外線対策は年中無休で
ターンオーバーを促進する成分
肌の状態に合わせたスキンケアを
くすみやごわつきを感じるときはピーリングを行う、生理前でコンディションが乱れやすいときは敏感肌用を使用する、紫外線を浴びる前後ではビタミンC化粧品を使うなど、いくつか状況に合わせて使えるアイテムをそろえておくと良いでしょう。
季節による使い分けも効果的です。
またターンオーバーの促進により、周期が短くなるのは良いことですが、行き過ぎて角質が薄くなると肌のバリア機能が低下し、トラブルにつながってしまいます。
ターンオーバーは28日周期であれば正常な状態と言えますが、実際の肌の状態を確認しながら、調子を整えていくようにしましょう。
太陽の下で心のターンオーバーも促そう
日々のケアをきちんとして紫外線の浴びすぎを防ぎ、ターンオーバーを正常に保てていれば、アウトドアで紫外線を気にしすぎなくても大丈夫! 正しい知識のもと、適切なケアを行って、健康で美しい体と心を手に入れましょう。
肌のターンオーバーは、ホルモンバランスとも大きく関係しているので、調子を整えるためには皮膚科・美容皮膚科だけでなく、婦人科の医師に相談するのもおすすめします。
ターンオーバーと関係するシミか、スマホで審断!
シミ治療も、まずは皮膚の構造やターンオーバーの仕組みを理解し、健康的な生活と基本的なスキンケアで、ターンオーバーを正常にすることから始めましょう。
ただ、シミの種類により自身でケアできるもの、できないものがありますので、まずはシミ審断で自分のシミの種類を知り、必要なケアを考えていくようにしましょう。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科 吉岡容子先生
東京医科大学卒業、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、 皮膚科・美容皮膚科を経て、平成24年より医療法人容紘会 高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。
副院長として現在も勤務。 日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会、日本美容皮膚科学会など数多くの学会に所属する。