シミの6つの原因と対処法|美容ドクターが教えるセルフケア&クリニック治療

年齢を問わず多くの方を悩ませる肌のシミ。その原因はひとつではありません。シミに正しく対処するためには、複数あるシミの原因を知っておくことが重要です。今回はシミの原因、自分でできる対処法、クリニックでできる治療を、美容ドクターが解説します。 気になる疑問への回答やアドバイスもあるので、シミでお悩みの方はぜひご覧ください。

お話を伺った医師
エトワールレジーナクリニック
総院長 木村 真聡 先生
大阪大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院・一般病院勤務を経て美容医療に転身。2017年 レジーナクリニック総院長に就任。2020年 エトワールレジーナクリニック総院長に就任。
著書に『医師が教える最強のメンズ美容ハック (幻冬舎)』『すごい美容医療 美容皮膚科医が教える最新美肌術34 (幻冬舎)』など。
シミの6つの原因と自分でできる対処法

ー肌にできるシミには、どのような原因がありますか?
さまざまな原因があります。シミの原因はひとつではありません。具体的には紫外線、ニキビ・傷、物理的な刺激、ホルモンバランス、遺伝などが挙げられます。 原因ごとに、できるシミの種類も違ってきます。
また、シミに見えたものが実は病気だったというケースもゼロではありません。
シミの原因①紫外線
紫外線に対処することは、シミのケアにおいて非常に重要です。
紫外線は全てのシミに何らかの形で関わっていると考えられますが、代表例としては日光性色素斑、老人性色素斑などが挙げられます。いずれも、シミの大きさや濃さは様々ですが、シミの境界線は比較的はっきりしていることが特徴です。
紫外線が関係するシミは、ライフスタイルにもよりますが30代半ば以降からの発症が多いですね。
自分でできる紫外線の対処法
まずは、紫外線を遮断することがもっとも重要です。具体的には、日焼け止めを使用してもらうことはもちろん、長袖・長ズボン・帽子・日傘などを使用して物理的に遮断することも有効です。
また、近年では飲む日焼け止めなども発売されていて、これも紫外線対策になるかと思います。紫外線は曇りの日にも降り注ぎ、通常の窓ガラスもかなり透過しますので、気をつけましょう。
シミの原因②ニキビ・傷
ニキビ・傷が関係するシミとして炎症後色素沈着が考えられます。ニキビや傷の刺激・炎症によって、メラニン色素が過剰に生成された結果、色素沈着の形でシミが発生します。
ニキビに関しては普段から正しいスキンケアを実践することで、ある程度予防できると考えられます。
自分でできるニキビ・傷の対処法
ニキビ・傷の対処においてスキンケアは非常に重要です。特に、「乾燥させない・こすらない・紫外線を避ける」ことが大切になります。
こすらずに洗顔・スキンケアをして、保湿ケアをして、きちんと紫外線対策していれば、時間の経過とともに肌が良好な状態になってゆくでしょう。代謝の良い方なら、3ヶ月から半年ぐらいでキレイになると考えられますが、なかなか薄くならない場合は、クリニックで治療を受けていただくことになります。
シミの原因③物理的な刺激
物理的な刺激として、やってしまいがちなのが刺激の強いスキンケアです。夏場に顔の汗をゴシゴシ拭くような刺激にも注意してください。
また、近年ではコロナ禍の影響でつける機会が増えたマスクがシミの原因になっているケースもあります。当クリニックでも、コロナ禍前と比べて肝斑の方が増えている印象ですが、マスクによる刺激も関係するのではないかと思っています。
自分でできる物理的な刺激の対処法
すでに、紹介したように洗顔・メイク・スキンケアなど様々な場面で、とにかくこすらないことを意識しましょう。スキンケア製品の成分が合わない場合は、それも刺激になるため、低刺激な製品への変更も検討します。
マスク肝斑の対処法としては肌に直接ダメージがいかないように、保湿をして、美容液やクリームなどで油膜を張っていただくのが良いかと思います。どうしてもマスクで肌が擦れる場合は、マスクと肌の間にやわらかめのガーゼを挟む方法もあります。
シミの原因④ホルモンバランス
ホルモンバランスが関係すると言われているシミの代表例が、肝斑(かんぱん)です。
両ほほのトップを中心に、薄赤茶色のベタッとした帯状のシミが現れます。女性ホルモンが関係するといわれており、実際に、女性の発症率が非常に高いです。 例えば、ホルモンバランスが大きく変わる妊娠を機に発症される方も少なくないです。30代以降の女性に多いシミとなります。肝斑はホルモンバランスだけではなく、「シミの原因③物理的な刺激」でお話したように、物理的な摩擦などのスキンケアやUVケアがうまくいかないことでも発症するケースがあります。
自分でできるホルモンバランスの対処法
ホルモンバランスを整え、お肌の健康のためにも、食事や睡眠などの生活習慣を整えたり、ストレスを溜めたりしないようにすることは重要です。また、普段から紫外線対策をしっかり行うことが重要です。
シミの原因⑤遺伝
遺伝が関係するシミは、幼少期など若い頃から出ることもあります。遺伝が関係すると言われるシミの代表例はそばかす(雀卵斑)です。鼻を中心にパラパラと左右対称に細やかな茶色の斑点が出てくるのですが、 顔だけでなく腕・肩・背中などに出るケースもあります。
自分でできる遺伝の対処法
遺伝が関係するので完全に予防することは難しいですが、ご家族にそばかすの方がいらっしゃる場合はお子さんの紫外線対策をしっかりするようにしましょう。そばかすは成長とともに濃く大きくなることも多いですが、気になることや心配事があれば専門家に相談されることがベターかと思います。
シミの原因⑥病気
シミに似た重大な病気としては、悪性黒色腫などの皮膚がんがあります。シミに見えていたものが、ただのシミではなく「実は病気だった」というケースです。私は美容皮膚科に携わって10年以上になりますが年に1人、いるかどうかぐらいの割合かと思います。
自分でできる病気の対処法

皮膚がんは痒みや出血などを伴うことがあります。ただし、基本的に初期の段階ではほとんど自覚症状がないので、自分自身で見分けるのは難しいかと思います。
なお、当クリニックではダーモスコピーと呼ばれる高解像度の拡大鏡があり、シミをパソコンのモニターに映して、病気と見分けていくことが可能です。病気のケースはあまりないですが、ご心配の方は早めにクリニックを受診されても良いでしょう。
クリニックでできるシミ治療

ークリニックではシミに対して、どのような治療を実施するのですか?
シミ治療機器と薬(飲み薬・塗り薬)を組み合わせて、治療を実施します。
当クリニックでは主にピコレーザー、プラズマ、IPL(フォトフェイシャル)というシミ治療機器を使用します。シミの種類・状態などに応じて、機器を選択もしくは組み合わせて治療する形です。
シミの状態を見る機器:画像解析システムVISIA

VISIA(ビジア)は、肉眼では見えづらい皮膚の状態を、画像で解析することができるシステムです。
シミをはじめ、隠れジミ、毛穴の状態、皮脂詰まりや赤みなどを詳細に評価することができます。具体的には、別室の機器で撮影いただき、結果を診察室のモニターに映し出します。当クリニックでは初めて来て頂いた時は必ずお撮りしますし、その後、治療効果の判定や新たなお悩みに対する治療法の提案などに際しても使用します。
シミ治療機器①ピコレーザー

ピコレーザーは、当クリニックのシミ治療における中心的な機器です。ピコレーザーは「トーニング」「フラクショナル」「スポット」の3種類の治療ができ、老人性色素斑・そばかす・肝斑・ADMなど、幅広く治療ができます。
またシミ治療後に一時的に色戻りする、炎症後色素沈着という副作用が従来のシミ治療機と比べて大幅に少なくなっています。そして、シミ治療以外にも、毛穴の引き締め、肌の張り向上、化粧ノリアップなど、万能にカバーできます。
さらに治療範囲の広さに加えて、痛みやダウンタイムの少なさも大きな特徴です。ピコレーザーは非常に短い照射単位(ナノ秒=1秒/10億分)のため、従来のレーザーよりも肌のダメージが軽減されています。実際に従来のレーザーでは、治療後にシールなどで皮膚を保護しますが、ピコレーザーでは不要です。
シミ治療機器②プラズマ

プラズマは、肌質改善が期待できる治療機器です。肌に熱エネルギーを加えることで、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートしたり、成長因子を活性化したりします。これによって、ニキビ跡の治療やニキビのできづらい肌作り、色素沈着の改善などが期待できます。
また肝斑に対しては、ピコレーザーだけでなく、プラズマも組み合わせて治療することが多いですね。なお、プラズマを照射することでビタミンCやトラネキサム酸などの美容成分・薬剤が浸透しやすくなることも大きな特徴です。
シミ治療機器③フォトフェイシャル

フォトフェイシャルは、光の照射によって肌質を改善してゆく機器です。当クリニックでは「ルメッカ・ヴィーナスヴェルサ」という機種を使用しています。 しみ、そばかす、くすみ、赤ら顔、毛穴、肌のハリなど、様々な肌の悩みに対応できる万能さが特徴です。特にそばかすに対しては、効果の切れ味が良いと感じていますので、そばかすをお持ちの方におすすめするケースも多いですね。
【美容ドクター解説】シミのよくある疑問

最後に、シミにお悩みの方が疑問に思われるご質問にお答えします。
皮膚科と美容皮膚科の違いは?
ーシミ治療したいのですが、一般の皮膚科と美容皮膚科には、どのような違いがあるのですか?
一般の皮膚科は、かゆみや痛み、赤みやアトピー、ニキビなど病気の治療が中心になってくるかと思います。美容診療を取り入れているクリニックもありますが、基本的に保険診療が中心になっているところが多いですね。
一方、美容皮膚科は「よりキレイになる」というプラスの効果を目的に治療をおこないます。そのため、一般の皮膚科にはない美容機器も豊富に揃い、自由診療の選択肢が数多くあります。
私個人としては、キレイになるために来ていただいているのですから「雰囲気や内装も大切」と考えており、当クリニックでも良質な空間づくりを心がけています。
クリニック受診のタイミングは?
ー少しシミで悩んでいますが、どのタイミングでクリニックを受診すれば良いですか?
「ご本人が気になったタイミング」で良いかと思います。受診していただければ正しいスキンケアの方法やお肌にとって良い習慣などもアドバイスできますので、自分で何とかしようとするのではなく気軽に一度お越しいただくのも良いのではないでしょうか。
シミ予防のためにクリニックに行ってもいい?
ー現在シミの悩みはありませんが、シミ予防のために受診しても大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。画像解析システムVISIAによる肌診断もできますし、セルフケアの正しい方法などもアドバイスできます。実際に、シミのほとんどない方が「今のうちからお肌のメンテナンスをしておきたい」との目的でいらっしゃる場合もあります。このような場合も、予防的にレーザー治療や内服薬の治療をスタートできますので、受診していただければと思います。
シミを併発している場合の治療の進め方は?
ー複数の種類のシミを併発している場合は、どのように治療を進めますか?
複数のシミを併発しているケースはそれなりに多いです。その場合は、基本的に肝斑の治療からスタートします。
肝斑は出力の強いレーザーを当てると悪化するので、まずは肝斑を薄くしてから、他のシミ・アザの治療に取り掛かる流れです。肝斑がない場合はお悩みの順番、あるいはダウンタイムの少ない順番で治療を検討することが多いですね。
定期的な通院が必要なシミの種類は?
ー治療後も、定期的な通院が必要なシミはありますか?
特に、定期的な通院が必要となるのが肝斑です。当クリニックでは「ピコレーザー・プラズマ・ケミカルピーリング」を組み合わせて治療することが多いですが、スキンケアやUVケア次第でお肌の調子は変わることもありますので、良くなったり悪くなったりを繰り返すケースも見られます。
実は、肝斑には完治という概念がありません。つまり一旦症状が落ち着いても、定期的な通院が必要となります。肝斑の治療中は月1回前後、ある程度良くなってきたら、2・3ヶ月に1回ぐらい通っていただければ良いでしょう。
【シミに悩む方へ】美容ドクターからのアドバイス
シミには多くの原因があり、原因ごとにできるシミも異なります。そして、それぞれのシミで最適なケア方法が異なります。そのため、炎症後色素沈着など一部を除いて、セルフケアでシミをキレイにすることはとても難しいのです。
また、美肌施術を実施しているエステなどもありますが、シミの種類を正確に見分けてケアされていないこともあるため、やはりキレイにすることは難しいことが多いようです。本当にシミのない状態を目指したい方はクリニック・美容皮膚科での治療がベストです。私自身、嬉しいことに「肌がキレイですね」とおっしゃって頂けることもありますが、毎日のスキンケアに加えて、定期的にピコレーザーを受けていることが大きいと思います。
シミ治療は、「気になったときがやりどき」です。クリニック・美容皮膚科なら、シミに対して確かな効果が期待できるので、ぜひお気軽に相談してみてください。

お話を伺った医師
エトワールレジーナクリニック
総院長 木村 真聡 先生
大阪大学医学部医学科卒業後、同大学附属病院・一般病院勤務を経て美容医療に転身。2017年 レジーナクリニック総院長に就任。2020年 エトワールレジーナクリニック総院長に就任。
著書に『医師が教える最強のメンズ美容ハック (幻冬舎)』『すごい美容医療 美容皮膚科医が教える最新美肌術34 (幻冬舎)』など。