最先端研究も肝斑治療をサポート!美容医に聞く肝斑の特徴&治療法

女性にとって悩みの種となる肝斑(かんぱん)。近年、最先端研究の知見を活用した肝斑治療が登場していることをご存知でしょうか。今回は、肝斑の特徴・原因・悪化の要因・他のシミとの違い・クリニックでの治療方法について、美容医が解説。また、肝斑に関する疑問にも回答していますので、肝斑でお悩みの方はぜひご覧ください。

お話を伺った医師

六本木スキンクリニック
院長 鈴木 稚子 先生

1994年 東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学皮膚科学教室・国立大蔵病院皮膚科・臨床研究部を経て2000年 用賀ヒルサイドクリニックを開院。2017年 六本木スキンクリニックを開院。ニキビ痕の凹み(ニキビ痕のクレーター)の治療薬づくりを実施。2018年 治療薬が完成。患者様への治療をスタート。

医学博士 日本皮膚科学会正会員 日本抗加齢医学会 日本赤十字医療センター登録医 日本医師会スポーツ認定医 日本温泉気候物理医学会 温泉療法医 日本旅行医学会認定医 トータルアンチエイジング 研究会副会長 日本アンチエイジング外科 美容再生研究会登録医
・六本木スキンクリニック
・女医・鈴木稚子オフィシャルブログ
・Instagram

肝斑はどんなシミ?

ー肝斑(かんぱん)とはどのようなシミなのでしょうか?

肝斑は女性にできやすいシミの一種です。当クリニックの患者様の男女比でも「99対1」ぐらいで、圧倒的に女性の方が多いですね。 年齢としては30代から50代ぐらいの方に発生しやすいと言われています。

肝斑の症状

ー肝斑はどのような症状が出るのでしょうか?

左右対称に、茶色っぽいシミが出ます。シミの境界がはっきりしていないことも大きな特徴です。頬骨の辺りに出ることが多く、次に、おでこや口の周りなどに出やすいです。

肝斑ができる原因

ー肝斑ができる原因はどのようなものでしょう?

一般的に、女性ホルモンが関係していると言われています。実際に当クリニックでも女性の患者様が多いですし、妊娠など、女性のライフサイクルの中で症状が変化することも多いです。

また、女性ホルモンに関連して、ストレスによるホルモンバランスの乱れ・ホルモン療法・ピルの服用なども、肝斑の発症に関係するケースが考えられます。

この他、年齢を重ねてシミの原因となるメラニン色素が定着してくることも、関係します。いわば肌の老化ですね。

肝斑以外のシミ

ー肝斑と、肝斑以外のシミの違いについて教えてください。

肝斑以外のシミには以下のような種類があり、症状や発症原因などに違いがあります。

  • そばかす
    点状のポツポツしたシミが発生します。10代から出るケースも多いです。そばかすは遺伝的な要因が大きいと考えられます。
  • 老人性色素斑
    境界のはっきりした丸い形のシミが、どんどん大きくなっていきます。 紫外線などが関連し、加齢が大きな原因です。
  • 炎症後色素沈着
    外傷や火傷などの後、皮膚に色素沈着が発生するシミです。
  • 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
    ADMは、20歳頃から見られることが多く、他のシミと異なり肌の深い部分と、浅い部分の2層にできることからアザに分類されることもあるシミです。額や頬に好発し、灰色~青みを帯びた褐色で、米粒大ほどの大きさのシミが頬の辺りに左右対称で現れます。
  • 脂漏性角化症
    脂漏性角化症は、別名「老人性イボ」とも呼ばれており、先に紹介した老人性色素斑が途中から盛り上がってイボになります。初期の段階ではシミと判別できにくいです。肌色~黒色をしており、大きさはバラバラです。

また上記の他に「太田母斑」と呼ばれる、幼少時から出るシミというよりもアザに近い症状もあります。肝斑は皮膚の比較的浅い部分に発生しますが、太田母斑はADMと同じく浅いところと深いところの2層に出てくるのが特徴です。

肝斑と他のシミは併発する

ご紹介したように、シミには肝斑以外にもさまざまな種類がありますが、肝斑と肝斑以外のシミを併発しているケースも多いです。当クリニックでは、2割ぐらいの方に併発が見られます。 中には、ご紹介した全てのシミを併発しているパターンもありますね。

肝斑で気を付けること

ー肝斑に対して普段気を付けることはありますか?

女性ホルモンが原因なので防ぎようのない部分もありますが、ストレスケアを意識しておくと良いでしょう。

ストレスを受けると、ホルモンバランスの乱れにつながったり、肝斑が出やすくなったりするとも言われています。肝斑に限らず、多くの病気にストレスが関係するとの説もあるため、1日の中でストレスを自分で緩和できるような時間を持つことが大切ですね。

それから紫外線ケア(UVケア)他、お顔への物理的な刺激をできるだけ避けることにも気をつけてください。

肝斑の治療方針とは?

ークリニックで肝斑を治療する場合、どのような方針となるのでしょうか?

シミの種類をしっかり見極めて、併発の有無などさまざまな要素を総合的に考慮して治療方法を決定します。

肝斑以外のシミを併発していたり、ニキビ跡(クレーター)や毛穴の開きなどがあったりしても、基本的に全ての治療を並行して実施することが可能です。

肝斑の治療メニューは患者さんごとに違う

ー肝斑の治療方法をどのように決めるのか、もう少し詳しく教えてください。

肝斑の症状の出方は、個々人で異なるケースも多いため、その見極めから実施します。一般的に頬骨に出ることが多いと言われていますが、 実際は顔の下の方まで出てしまう方もいるのです。

また、目の下のクマのように出ていらっしゃるケースや、太田母斑に似た肝斑が出る方もいらっしゃいます。さらにシミの併発が加わるケースもありますから、一口に肝斑と言っても本当に多くのバリエーションがありますし、色々な症例に接していないとわかりづらい部分も多いと思います。

このような肝斑の出方の他、患者様の肌質(スキンタイプ)も考慮して、最適な治療メニューを一人ひとり考えていきます。

早めにシミ治療した方が良い状態を保てる

ー肝斑ができて何年経過していても、治療効果は見込めますか?

はい、見込めます。ただし、 可能な限り早く治療した方が、取れやすいことも事実です。

これには人種的な特性も関係あり、例えば欧米の方(白人の方)の肌などはシミができやすい反面、すごく濃くなっても取れやすいケースが多いです。

一方で日本人の肌の場合は、早めに取ってしまう方が治りはよく、良好な状態がキープできると言われています。これは肝斑だけでなく、全てのシミに共通して言えることです。

肝斑の具体的な治療法は?

ークリニックにおける、具体的な肝斑の治療法を教えてください。

レーザートーニング・内服薬・外用薬による治療は、どのクリニックでも実施されているかと思います。比較的珍しいかもしれませんが、当クリニックではさらに点滴やブースターなども採用しています。

ここからは、肝斑の治療法をご紹介します。

①レーザートーニング

レーザートーニングは、一般的なレーザーよりも低出力なレーザー治療機器です。メラノサイトに刺激を与えない波長を出し、 通常よりも低いパワーでゆっくりとシミを破壊します。肝斑の場合は通常のレーザーで治療すると、より多くのシミあるいはより濃いシミが出る恐れがあるためレーザートーニングを用います。

なお、頬骨の上に線状に、少しぼやけているものの中心は濃くしっかり出るタイプの肝斑については、あえて通常のレーザーを使用するケースもあります。 通常のレーザーを使用すると一度かさぶたが取れて薄くなった後に、メラニン色素がどんどん生成され色戻りがでますが、塗り薬などでそれを排出させ定着化しないようにする、といった治療をあえて実施するケースもあるのです。

②飲み薬/美白の塗り薬

クリニックでは、メラニン色素の生成をブロックするハイドロキノンや、アミノ酸の一種であるトランサミン他、トレチノイン(ビタミンA誘導体)、ビタミンC誘導体などが処方されます。

肝斑は非常に繊細に治療していく必要があるため、飲み薬・塗り薬(内服薬・外用薬)の併用は必須であると考えています。

③点滴

内服薬は手軽に摂取できる点がメリットである反面、腸から吸収されて全身にまわるため、有効成分が少なくなります。 一方で点滴であれば、有効成分が血管からダイレクトに吸収されるため、 同じ成分であってもロスが少なくて済むのです。

例えば、リゾート地などで多くの紫外線に当たってしまい症状が強く出た際に点滴をすると、症状が引きやすいこともあります。

【美容医が答える】肝斑のよくある疑問

最後に、肝斑にお悩みの方のご質問にお答えします。

肝斑は自然に消えますか

ー肝斑が自然に消えることはあるのでしょうか?

年齢を重ねた方の場合、自然に消えるケースもあります。これは閉経などのタイミングで、女性ホルモンの影響が少なくなるためです。また、年齢を重ねていなくても 、生理周期によって肝斑が濃くなったり薄くなったりするケースもあります。さらに、妊娠中に肝斑が濃くなった方などは出産後に薄くなるケースもありますね。

この他、ピルを飲んでいた方が服用をやめたことで、少しだけ薄くなるようなケースもあるでしょう。ただし、閉経など以外では肝斑が自然かつ永続的に消えるケースは基本的にないと考えられます。

色白/色黒で肝斑のできやすさは違いますか

ー色白/色黒の方で、肝斑のできやすさに違いはあるのですか?

その差はほとんどないかと思います。それよりも遺伝的な要素や、紫外線の浴び方などの影響が大きいでしょう。 ただし体質が同じ双子の方などの場合、日焼けしてる方のほうが、肝斑も、老化のシミも出やすくなる可能性はあります。

肝斑はどのように見立てますか

ー肝斑と、他のシミはどのように見分けるのですか?

当クリニックでは、人の目で見立てています。肝斑と他のシミの見分けがつきにくい場合や、併発している場合もありますが、多くの症例を見てきているので見分けが可能です。シミの正確な見立てをもとに、ベストな治療計画を立てていきます。

肝斑に効く市販薬はありますか

ー肝斑のセルフケアをする場合、効果が期待できる市販薬はありますか?

はい、あります。

具体的にはビタミンC誘導体・コウジ酸・エラグ酸・レチノールなどの成分を配合した化粧品や、ビタミン剤やトランサミンというアミノ酸のサプリメントなどが挙げられます。

セルフケアで注意すべきことはありますか

ー肝斑をセルフケアする際、注意すべきことはありますか?

市販薬などでセルフケアしても、肝斑が改善しない可能性がある点には注意が必要です。

シミの原因となるメラニン色素は、肌に長く留まり続けた場合に取れにくくなります。これを「固定化・固着化」といいます。このようなケースでは、セルフケアで改善することは難しいと考えられます。セルフケアで改善するのは、シミのごく初期の状態の時でたまたま上手くいくようなケースは、ドクターとしての私の経験から考えても1割未満でしょう。

また普段の洗顔についてですが、よく泡立てていない状態で肌に擦りつけたり、肌に刺激を与えるようにタオルで拭いたりすると、肌に不要な刺激を与えて肝斑の発生・悪化の原因となる恐れがあります。

肝斑で病院受診する目安はありますか

ー肝斑のようなシミがありますが、いつ病院受診したら良いでしょう。

費用対効果を考えると、すぐに受診することをおすすめします。

セルフケアの場合は思うような効果が出なかったり、そもそも肝斑であるという見立てそのものが間違っていたりする可能性もあります。シミはその種類ごとに適切な治療法が異なりますし、早く治療した方がその後の経過も良いです。つまりセルフケアと比較すると、クリニックを利用した方が見立て・治療の確実さから、コストパフォーマンスが高いと言えます。

そのため、シミが気になったら、すぐにご来院いただくのが良いでしょう。

【肝斑に悩む方へ】美容医からのアドバイス

間違ったセルフケアは、肝斑をはじめとするシミを悪化させる原因となります。

間違ったセルフケアにお金や時間を使わないためにも、専門家への相談がおすすめです。専門家であれば、当クリニックのような最先端の知見(再生医療)から、肝斑にアプローチできるケースもあり、長年のお悩み解決につながることも期待できます。

この他、紫外線は肌にダメージを与えて肌を老化させる原因となるため、UVケアはぜひ徹底していただきたいです。地球の表面には紫外線を吸収するオゾン層がありますが、その破壊が今後も続いた場合、紫外線量がどんどん増え、肌へのダメージも増大する可能性があります。

いたずらに恐れすぎる必要はありませんが、このようなことを念頭においてUVケアするだけでも、ご自身のお肌を守ることにつながるはずです。

お話を伺った医師

六本木スキンクリニック
院長 鈴木 稚子 先生

1994年 東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学皮膚科学教室・国立大蔵病院皮膚科・臨床研究部を経て2000年 用賀ヒルサイドクリニックを開院。2017年 六本木スキンクリニックを開院。ニキビ痕の凹み(ニキビ痕のクレーター)の治療薬づくりを実施。2018年 治療薬が完成。患者様への治療をスタート。

医学博士 日本皮膚科学会正会員 日本抗加齢医学会 日本赤十字医療センター登録医 日本医師会スポーツ認定医 日本温泉気候物理医学会 温泉療法医 日本旅行医学会認定医 トータルアンチエイジング 研究会副会長 日本アンチエイジング外科 美容再生研究会登録医
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