顔に黒いシミができる原因は?色による違い、治療法や予防法を解説

茶色や黒、灰色などシミの色の見え方が異なるのは、皮膚内にあるメラニンの位置が関係しているとされています。しかし、シミ部分に異常がある場合は、病気が隠れているなど例外もあるため注意が必要です。この記事では顔にできる黒いシミの原因、色による違いを解説。また、治療法や予防法も解説するので参考にしてください。

顔にできる黒いシミの原因

頬にできた黒いシミ
顔にできる黒いシミの原因は、紫外線や摩擦による炎症など外部からの刺激の可能性が高いと考えられます。外部から刺激を受けると、ダメージから肌を守るために表皮内の基底層にあるメラノサイトが活性化し、メラニンを生成。通常生成されたメラニンは、ターンオーバー(細胞の生まれ変わり)により体の外へ排出されます。
しかし、継続的に外部刺激によるダメージを受けるとメラニンが過剰に生成され、排出が追い付かなくなります。やがて表皮にメラニンが蓄積してシミになるのです。

シミの色による違い

シミの色と深度を表す図
シミをよく見ると色が異なり、茶色や黒いシミ、なかには灰色や青みがかって見えるものも。このようにシミの色が異なるのは、メラニンの位置が関係していますここでは、シミの色による違いを紹介します。

茶色・黒いシミ

茶色や黒いシミの場合、メラニンが皮膚の表面に近い層に蓄積しています。基底層で生まれた細胞は、ターンオーバーによって徐々に上へと押し上げられていきます。その過程でメラニンも一緒に押し上げられるため、肌表面に近づくと「シミが濃くなった?」と感じる場合も。しかしターンオーバーが正常に行われていると、メラニンは肌のターンオーバーの働きで排出されるので、少しずつ色が薄くなっていきます。シミの色以外に異常がなければ、改善に向かう可能性があります。

灰色・青みがかったシミ

メラニンは基底層に存在するメラノサイト(色素細胞)で生成されるため、基底層より上の表皮に蓄積していることがほとんどです。しかしまれに、メラニンが基底層より下の真皮に入り込んでしまうケースがあります。灰色や青みがかっているシミは、その可能性が高いかもしれません。真皮にできるシミは、後天性メラノサイトーシス(ADM)と言われます。化粧品などでのセルフケアでの改善は難しいため、皮膚科へ相談することをおすすめします。

顔にできるシミの種類

同じ黒いシミでも、出現する場所や形状によって種類が異なります。顔のシミを自分で取る方法はないかと調べている人もいるかもしれませんが、種類によっては医療機関での治療が必要になることも。まずは、シミの種類を見極めましょう。

老人性色素斑

老人性色素斑の画像
日光性黒子とも呼ばれ、薄茶色から徐々に黒いシミになります。紫外線が当たる顔、手、腕、背中にできやすいのが特徴です。過去に浴びてきた紫外線ダメージの蓄積が影響するため、老人性色素斑は30代以降に増えやすくなります。

脂漏性角化症

脂漏性角化症の画像
紫外線や皮膚の老化が原因と言われる黒いイボの一種です。30代からみられることもあり、高齢者の方にも多くみられます。液体窒素やレーザーで治療することが多く、自然に消えることはありません。痛みや痒みは通常伴わないことが多いです。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着の画像
ニキビやかぶれ、やけどなどにより、肌に炎症が起きた後にできる褐色のシミ。洗顔やクレンジングなどで、肌をゴシゴシ擦って摩擦を加えることも、色素沈着を起こす原因になります。炎症後色素沈着は、年齢や性別に関係なくできます。時間の経過とともに少しずつ薄くなることが多いですが、紫外線を浴びると悪化する場合があるので注意が必要です。

後天性メラノサイトーシス(ADM)

後天性メラノサイトーシス(ADM)の画像
後天性メラノサイトーシス(ADM)ができる原因は、はっきり分かっていません。頬に青または黒色のシミが、左右対称にできるのが特徴です。20代後半以降にできやすいと言われています。

病気が疑われる黒いシミに注意

シミと思っていたものが、皮膚がんのサインの場合もあります。ここでは、シミに似た症状が表れる悪性黒色腫、基底細胞癌などの皮膚がんの特徴を紹介します。気になるシミを発見したら、すぐに医療機関を受診しましょう。

悪性黒色腫

悪性黒色腫
悪性黒子、メラノーマとも呼ばれる皮膚がん。ホクロが悪化した腫瘍と考えられています。左右非対称の形、ギザギザした形などが特徴です。黒色が多いですが、色むらができる場合もあります。気になる特徴や、色や大きさに変化があれば早めに皮膚科を受診しましょう。

基底細胞癌

基底細胞癌
皮膚がんの一つで、7割以上が顔面や顔まわりにできます。初期症状は黒から黒褐色の色をしており、盛り上がっているのが特徴です。痛みやかゆみがなく、ホクロやシミと勘違いしやすいので注意が必要です。また進行すると中心部がへこんで、出血したり、かさぶたができたりする場合も。今までにないようなシミに見えたら、早めの受診をおすすめします。

顔にできてしまった黒いシミの治療法

皮膚科のマシーン
先述した通りシミには種類があり、それぞれ治療のアプローチが異なります。ここでは医療機関で行われる主な治療法を解説します。

レーザー治療

シミにレーザーを照射して、メラニンを破壊する方法です。レーザー治療の場合、個人差がありますが多少痛みを感じる場合もあります。化粧品などでの改善が難しいそばかすはレーザー治療を用います。
肝斑はレーザー照射すると悪化しやすいので注意が必要です。シミは複数の種類が混在している場合があり、その中に肝斑が含まれているとレーザーを照射できないケースも。レーザーにはいくつか種類があるので、医師と相談して自分のシミに合ったもので治療を行いましょう。

内服薬による治療

内服薬は体の内側からシミを改善させる治療法です。化粧品やレーザーでの対処が難しい肝斑に用いられます。内服薬に含まれる主な成分は以下の通りです。
  • ビタミンC
  • L‐システイン
  • トラネキサム酸
  • ビタミンE
これらの成分にはメラニンの生成を抑制する他、肌の代謝機能を整える働きがあるため、シミの改善に効果的です。また、レーザーと併用した治療が行われるケースもあります。

顔に黒いシミができないようにする予防法

日焼け止めを塗る女性
治療でシミが改善されても、再び濃くなってきたり、新たなものができたりする場合も。これを予防するためには、日頃から気を付けるべきポイントがいくつかあります。シミを作らない、増やさないための予防法を紹介します。

なるべく紫外線を浴びないようにする

紫外線ダメージが蓄積するとシミができやすくなります。季節によって紫外線の照射量は変動しますが、一年を通して降り注いでいます。毎朝顔を洗うのと同じように、一年中日焼け止めを塗るのを基本にしましょう。こまめに塗りなおすことが理想ではありますが、メイクをしている日は難しいですよね。その場合はパウダーファンデーションでのメイク直しが効果的です。日傘や帽子なども活用して、紫外線から肌を守りましょう。

食事でシミに効く栄養素を摂取する

紫外線やストレス、加齢などの影響で体内に活性酸素が増えると、メラニンをつくるメラノサイト(色素細胞)が刺激されます。シミの予防には、活性酸素の発生を抑える抗酸化食品の摂取も効果的。抗酸化作用の高い栄養素は以下の通りです。
  • ビタミンC(ブロッコリー、柑橘類、イチゴ、アセロラ、キウイフルーツなど)

シミに効果的な栄養素として知られ、メラニンの生成を抑制する働きがある。

  • ビタミンE(アボカド、ナッツ類、サケ、ウナギなど)

活性酸素の作用を抑制する働きに加え、ビタミンCの働きをサポート。

  • βカロテン(ほうれん草、人参など)

食事で摂取すると、体内でビタミンAに変換される。メラノサイトの活性化を抑制するほか、肌を丈夫にする働きがある。

スキンケアで肌のバリア機能を高める

肌が乾燥するとバリア機能が低下するため、紫外線によるダメージを受けやすくなります。ターンオーバーの乱れの原因にもなるため、スキンケアでしっかり保湿することを心がけましょう。

 

保湿というと「化粧水で水分をたっぷり与える」というイメージがあるかもしれませんが、化粧水はその名の通り水が主体です。保湿成分や油分の配合量が少ないので、水分を保つ力はさほど高くありません。化粧水だけでケアを済ませず、美容液や乳液などもしっかりつけて、与えた水分を逃さないようにしましょう。

生活習慣を見直す

睡眠不足や運動不足、偏った食事など生活習慣の乱れは肌に悪影響を及ぼします。心当たりがある場合は、できることから少しずつでもいいので見直していきましょう。
  • 睡眠時間は6~8時間を目安に。休日に寝だめをすると寝つきが悪くなるので、起床時間はなるべく一定に。
  • ウォーキングなど適度な運動を習慣にすると、血流がよくなり、ターンオーバーも順調に行われる。
  • 抗酸化作用のある栄養素だけでなく、肌の材料になるタンパク質(肉や魚)も忘れずに。
規則正しい生活を送ると、ホルモンバランスやターンオーバーが整いやすくなります。またストレスは女性ホルモンのバランスを崩す原因となり、肝斑につながります。適度な運動や睡眠は、ストレス解消にも効果的です。

顔にできる黒いシミは適切に対処しよう

頬に手をおきポーズをとる女性
顔にできた黒いシミは、皮膚の表面から近い位置にあるため、ターンオーバーによってメラニンが体の外へ排出されれば、徐々に改善する可能性があります。
なるべく早く改善に向かわせたい場合は、医療機関で適切な治療を受けることをおすすめします。また、形状や大きさの変化など、気になる症状がある場合は、病気が潜んでいることもあるので注意してください。シミが改善した後も、引き続き予防を徹底するように心がけましょう。
顔にできたシミが気になる人は、シミ審断を試してみてください。簡単な質問に答えるだけで自分のシミの種類が分かります。

顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。

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