世界最高峰の皮膚研究の学会であるSID Annual Meeting2022(アメリカ研究皮膚科学会年次大会)で「新規グリセリン化合物によるスキンヘルスの改善」の学術発表をいたしました

株式会社メディプラス製薬(代表取締役:伊藤賢司、本社:東京都渋谷区)は、皮膚科学研究において世界で最もレベルの高い学会と言われているSID(Society for Investigative Dermatology)の年次大会(2022年5月18日~21日に米国ポートランド)に演題が採択され、学術発表をしました。

演題名:Novel glycerin compounds improve skin health

内容のダイジェスト

メディプラス製薬が開発した新規グリセリン化合物(NGC)は、様々な生物学的効果を示すことが報告されています。本研究では、NGCの皮膚の恒常性(ホメオスタシス)への影響を評価することを目的としました。NGC は、24 時間刺激後、HO-1, NQO1の mRNA および GSH(グルタチオン) のタンパク質の発現を促進しました。これらの結果は、NGCのマイルドな酸化作用が生体防御センサーであり抗酸化機能をつかさどるNrf2転写因子を活性化し、皮膚の抗酸化機能の発現を誘導していることを示唆するものと考えられます。この抗酸化能を含めた皮膚へのホルミシス作用が皮膚の保護に働いていることが強く示唆されました。NGCのマイルドな酸化作用は、抗酸化活性やバリア機能に対するホルミシス効果を通じて、健康な肌へと導くと考えられます。

背景

メディプラス製薬は新しい反応生成物を含有する新規グリセリン化合物(NGC)を開発しました。NGCは様々な生物学的効果を示すことが報告されており、消臭、殺菌、抗ウイルス作用に加え、I 型コラーゲン産生促進作用、炎症性サイトカイン分泌抑制作用、創傷治癒促進効果などが確認されています。

目的

本研究では、NGC の皮膚への恒常性に対する効果を調べるために、皮膚の恒常性、抗酸化能、バリア機能に関与する遺伝子の発現への影響を評価することを目的としました。

方法

本研究では、NGCの正常ヒト皮膚への影響を明らかにするため、正常ヒト表皮角化細胞の培養系を用い、PR-PCR法による抗酸化因子であるヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)およびNAD(P)Hキノン酸化還元酵素1(NQO1)のmRNA遺伝子発現、細胞内グルタチオン(GSH)のタンパク質量を定量化しました。さらに、皮膚バリア機能に関連する因子(インボルクリン(INV)フィラグリン(FLG)セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT))の遺伝子発現を調べ、NGCが表皮細胞分化に及ぼす影響を明らかにしました。

結果

NGC は、24 時間刺激後、濃度依存的に HO-1, NQO1の mRNA および GSH タンパク質の発現を亢進させました。これらの結果は、NGC のマイルドな酸化作用が生体防御センサーであり抗酸化能をつかさどると言われている Nrf2 (NF-E2-related factor 2) 転写因子を活性化し、抗酸化因子の発現を誘導していることを示唆するものでありました。そのホルミシス効果は、皮膚に対して保護的に働いていることが強く示唆されました。

Figure1.Effects of NGC on differentiation markers of human normal epidermal keratinocytes (NHEKs).
Figure 3. Expression of HO-1,NQO1 and GSH by Nrf2-Keap1 signal
Figure3.Multi effect of skin-health by NGCs.

結論

NGCの持つ特長的なマイルドな酸化作用は、皮膚の抗酸化活性やバリア機能に対するホルミシス効果を通じて、健康な肌へと導く可能性が考えられました。