皮膚科でもらえるシミの薬の効果|シミに効く内服薬の種類や市販薬の選び方を解説
シミは内服薬による治療が可能です。ただし、治療したいシミによって効果を得やすい内服薬の種類が異なります。
また、内服薬は市販で買えるものと、皮膚科などの病院で処方してもらえるものがあります。それぞれのメリット・デメリットと、シミ治療において重視したいことに合わせて選択が必要です。
今回は、シミ治療で使用する内服薬について、その種類や、市販薬と医療用医薬品の違いなどについて解説します。
シミに内服薬(飲み薬)は効く?
シミ治療に内服薬は効果的です。ただし、すべてのシミに効果があるわけではなく、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)や脂漏性角化症には内服薬による治療効果は見込めません。
また、次のようにシミの種類によって効果が期待できる内服薬の種類が異なるため、シミの種類に最適な内服薬を処方してもらう必要があります。
内服薬の種類 | 有効なシミの種類 |
トランサミン | 肝斑、そばかす、老人性色素斑、炎症後色素沈着 |
シナール | 肝斑、そばかす、老人性色素斑、炎症後色素沈着 |
ユベラ | 肝斑、そばかす、炎症後色素沈着 |
ハイチオール | 肝斑、そばかす、老人性色素斑、炎症後色素沈着 |
タチオン錠 | 肝斑、そばかす、炎症後色素沈着 |
服薬による最適な治療をするためには、まず自分のシミの種類を知ることが大切です。しかし、シミはさまざまな種類があり、自己判断が難しい場合もあります。正確にシミの種類を判断して効果の高い内服薬を選ぶためにも、下記のシミ審断をお試しください。
顔のシミを本気で治したいなら、シミ審断を活用してみてください。
シミ治療の医療用医薬品と市販薬の違い
シミ治療に用いられる内服薬には、大きく分けて医療用医薬品と市販薬の2種類があります。この2つの違いを簡単にいうと、医療用医薬品は医師の処方箋による指示によって処方される薬で、市販薬はドラッグストアや薬局などで自分の判断によって購入できる薬です。それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
医療用医薬品 | ・個々に最適な薬が処方される ・効果が高い ・保険適用になる場合がある | ・副作用に注意が必要 ・処方には診察が必要 |
市販薬 | ・安全生が高い ・手軽に手に入る | ・効き目は緩やか ・保険適用外 |
医療用医薬品の場合は処方箋が必要なので、薬をもらうには医師による診察を受ける必要があります。受診のための待ち時間はかかりますが、医師により個々の症状にあった薬を処方してもらえるうえに、市販薬よりも有効成分の含有量が多いため、高い改善効果が見込めます。そのため、医療用医薬品は「できるだけ早く効果を実感したい人」におすすめです。
一方で、仕事帰りや買い物ついでに「手軽に薬を手に入れたい人」には市販薬が向いています。薬剤師が常駐している薬局やドラッグストアに行けば、症状に合わせた薬の紹介も受けられるでしょう。ただし、市販薬は「誰にでも」使いやすいようになっており、有効成分の含有量が控え目であるため、医療用医薬品と比べて効き目は緩やかです。医療用医薬品を使用するよりも治療期間が長くなりやすい点はデメリットと言えます。
シミ治療の内服薬は保険適用になるか
シミを薄くしたり、消したりする「美容」を目的とした治療は基本的に保険適用外となりますが、太田母斑、扁平母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着などアザに分類されるものについては保険診療が認められています。
ただし、これらの病名以外のシミ治療においても内服薬に関しては保険が適用される場合があるので、事前に受診予定の皮膚科やクリニックに問い合わせてみることをおすすめします。
シミはシミ取りレーザーとセルフケアどちらで対策すべき?
調査期間:2022年9月1日~2023年2月28日
調査人数:5,673名
調査方法:インターネット調査(株式会社メディプラス製薬)
しかし、上記で紹介したように実はシミにはたくさんの種類があるため、正しいケアができていない可能性がございます。そのため、まずは『シミ審断』でご自身のシミを種類を特定し、種類に応じて効果が見込めるケア選びから始めましょう。
皮膚科で処方してもらえるシミの内服薬の種類
シミ治療において、皮膚科で処方してもらえる内服薬には次のような種類があります。
いずれも副作用がほとんど出ない薬ですが、ゼロとは言いきれません。もし副作用がでた場合はすぐに服用を中止し、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
トランサミン
トランサミンとは、人工合成されたアミノ酸の一種であるトランサミンを主成分とした錠剤です。炎症やアレルギーの抑制、止血効果があるため、発疹やじんましんなどの治療をはじめ止血薬として医療現場でも使用されている薬です。ほかにもメラニン色素の生成を抑える作用があることから、厚生労働省により、美白効果がある成分として認定されています。
トランサミンはシミ全般における改善効果が期待できますが、なかでも肝斑の治療によく用いられています。安全性が高い薬なので、副作用はほとんどありません。
しかし、稀に吐き気や下痢、食欲不振、胸やけなどの症状が出る場合があります。また、止血効果があるため、ほかの止血剤や血液をサラサラにする薬を服用している場合は、併用できません。一方で、ピル内服中の方や喫煙されている方は血栓リスクが上がるため、使用は控えた方が良いことも。該当する薬を服用している場合は、診察の際に医師に申し出るようにしましょう。
薬品名 | トランサミン |
主成分 | トランサミン |
効果 | ・肝斑をはじめとしたシミの改善効果 ・美白効果 |
副作用 | ・発疹 ・食欲不振 ・嘔吐 ・吐き気 ・胸やけ ・けいれん ・かゆみ |
服用方法 | 肝斑や色素沈着など、目的により用量が異なります |
価格帯 | 1,000円~4,000円 |
シナール配合顆粒
シナールとはアスコルビン酸(ビタミンC)にパントテン酸カルシウム(ビタミンB5)を配合したビタミン剤です。シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制する作用やメラニン色素の還元(無色化)作用があるため、シミの改善・予防に効果的です。特に肝斑の治療に用いられることが多く、先述したトランサミンと併用することでさらに効果が高まるとされています。
主成分であるアスコルビン酸とパントテン酸カルシウムは、もともと体内に存在する成分なので、シナールの服用で副作用が起こることはほとんどありません。ただし、稀に嘔吐や下痢、悪心、胃の不快感を訴える人もます。しかし、体外に排泄されるのが早いため、副作用が重篤化することも長く続くこともないでしょう。
薬品名 | シナール |
主成分 | アスコルビン酸パントテン酸カルシウム |
効果 | 美白効果シミ改善・予防効果 |
副作用 | 嘔吐下痢悪心胃の不快感 |
服用方法 | 錠剤:1回1~3錠 顆粒:1回1~3g |
価格帯 | 1,000円~2,500円 |
ユベラ
ユベラはビタミンEの一種です。服用によりターンオーバーが促進されることで肝斑やそばかすをはじめとするシミの改善効果が期待できます。そのほかにも血行促進効果によるしもやけ、冷え性、肩こりの改善や、コレステロール値の低下、中性脂肪の増加抑制などの効果が見込めます。
服用による副作用はほとんどありませんが、まれに便秘や胃の不快感、下痢、過敏症、発疹などを引き起こす場合もあります。ユベラの主成分であるビタミンEは、脂溶性ビタミンであり、水溶性ビタミンのように過剰分が尿として排出されることはありません。過剰に摂取した場合、過剰症を引き起こしてしまうため、医師の指示に従い用法・用量を守って服用するようにしましょう。
薬品名 | ユベラ |
主成分 | ビタミンE |
効果 | ターンオーバーの促進 |
副作用 | 便秘胃の不快感下痢過敏症発疹 |
服用方法 | 1日2~3回、50~100㎎を服用 |
価格帯 | 1,000円~2,500円 |
ハイチオール錠
ハイチオールは、ターンオーバーの正常化や抗酸化作用、代謝の促進作用があるL-システインを主成分とする内服薬です。肝斑、そばかすなどのシミをはじめ、ニキビやかぶれなどの肌トラブル改善効果が見込めます。L-システインのほかに、配合される成分によってさまざまな種類が処方・販売されており、成分によっては疲れやだるさ、二日酔いの改善効果が期待できるものもあります。
ハイチオールは副作用のリスクが低い薬ですが、稀に悪心、下痢、口の乾き、軽度の腹痛などの症状が出る場合がある点は留意しておきましょう。また、過剰摂取はインスリンの働きを阻害し糖尿病悪化のリスクや、尿路結石のリスクになります。
薬品名 | ハイチオール |
主成分 | L-システイン(アミノ酸) |
効果 | シミの改善効果ターンオーバーの促進美白効果 |
副作用 | 悪心下痢口の乾き軽度の腹痛 |
服用方法 | 1回2~3錠、1日2~3回服用 |
価格帯 | 1,000円~4,500円 |
タチオン錠
タチオン錠とは強力な抗酸化作用とメラニンの生成を抑制する作用を持つグルタチオンを主成分とした内服薬です。グルタチオンが持つ作用により、肝斑、そばかす、炎症後色素沈着などのシミの改善効果が期待できます。また、その強い抗酸化作用により、活性酸素の増加を抑制。肌だけでなく、身体全体の老化防止効果も見込めます。
タチオン錠を服用することで発疹、食欲不振、吐き気、嘔吐、胃痛などの副作用が起こる場合があります。ただし、タチオンを投与することで副作用が確認されたのは、経口・非経口の症例合わせて6,522例中24例と確率は非常に低くなっています。ただし、あくまで確率が低いだけでゼロではない点には注意が必要です。
薬品名 | タチオン錠 |
主成分 | グルタチオン |
効果 | 抗酸化作用美白効果 |
副作用 | 発疹食欲不振吐き気嘔吐胃痛 |
服用方法 | 1回50~100㎎を1日1~3回服用 |
価格帯 | 1,100円~3,300円 |
顔のシミを本気で治したいなら、シミ審断を活用してみてください。
よくある質問
内服薬のもらい方は?
皮膚科やクリニックを受診して、医師による診察を受けましょう。診察後は、処方箋を持って薬局で内服薬を処方してもらいます。皮膚科やクリニックに通う時間がない人は、ドラッグストアなどで自己判断により市販薬を購入することも可能です。
内服薬の服用をやめたらシミは再発する?
内服薬の服用をやめてしまうとシミが再発する可能性があります。たとえば肝斑の治療によく用いられるトランサミンには、メラニンの生成に関係するプラスミンの働きを抑制する作用があります。トランサミンを服用している間はプラスミンの作用を抑制できるため、シミの発生も抑制可能。しかし、服用を中止するとプラスミンの作用を抑えられなくなるため、シミが再発することも考えられます。
自己判断により服用を中止してしまうと、これまでの治療を無駄にしかねないので、服用を中止するタイミングはかかりつけの医師によく相談して決めることをおすすめします。
市販と医薬品はどっちが効果的?
病院で処方される医薬品の方が高い効果を得られます。なぜなら、市販薬に比べて医薬品の方が有効成分の配合量が多いからです。また、医師が診察に基づいて個人の症状に最適な薬を処方するため、医薬品の方がより高い効果を得やすくなります。
内服薬でシミを消すことは可能?
内服薬による治療でシミを消すことは難しいですが、薄くすることは可能です。ただし、効果を実感するまでに1~3ヶ月程度かかります。そのため、「シミを目立たなくする」ことを目的にする場合は、3ヶ月以上は内服薬の服用を継続する必要があります。
内服薬によるシミの治療は医師に相談
肝斑やそばかす、炎症後色素沈着、老人性色素斑などのシミは内服薬でも治療が可能です。しかし、シミの種類によって効果的な内服薬が異なるため、まずは自分のシミの種類を特定することがシミ治療の第一歩です。
シミの種類がわかれば、治療とともに予防もできるようになります。もし、今あるシミの種類がわからない場合は、ぜひこちらのシミ審断を活用してみてください。
顔のシミを本気で治したいなら、シミ審断を活用してみてください。
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。