シミ治療の方法|シミの種類による治療法の違い・美容皮膚科の選び方
顔は人目に付きやすいため、早めにシミの治療に取りかかりたいという人も多いはず。
しかし、シミ治療をはじめるにあたって、どんな治療法があるのか、またリスクはないのかといった不安を抱える人がほとんどでしょう。
シミの治療法はさまざまなものがありますが、必ずしもリスクが大きいわけではないのでご安心ください。
今回は、シミの種類別に最適な治療法やそのリスクを紹介していきます。また、美容皮膚科・クリニックの選び方にも触れているので、シミ治療を検討している人はぜひ参考にしてください。
シミの種類による治療法の違い
シミの元となるメラニンは、もともと細胞やDNAを破壊する紫外線から肌を守る役割を持っており、通常は28日周期のターンオーバー(=肌の新陳代謝)で垢と一緒に排出されます。
しかし、紫外線を長時間浴びたり、外的刺激が加わったりすると、メラニンを生成するメラノサイトが活性化。メラニンが過剰に生成されて、通常のターンオーバーで排出されずに蓄積してしまうのです。
また、老化や不規則な生活によるターンオーバーの乱れも、メラニンが蓄積してシミになる原因となります。
シミとひと言で言っても種類があります。種類によって次のようにセルフケアが可能な場合と、美容皮膚科などでの治療が必要な場合に分かれます。
セルフケアが難しいシミに対して、自己判断で対処しようとしても改善どころか悪化する可能性も。
医療機関にかかる前にシミのセルフチェックを行い、適切な対処を行いたい人は、簡単な質問に答えるだけで今あるシミの種類や改善方法が分かる、下記のシミ審断をご利用ください。
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【種類別】シミ治療の方法
シミへのアプローチは次のような方法で行います。ただし、先にも紹介しているとおり、シミの種類によって治療法が異なるため、自由に治療法を選べるわけではない点には注意が必要です。
治療法 | どんな治療か | 治療期間・回数 | 対象のシミ |
レーザー治療 | レーザー光線を当てて、メラニンを破壊。肌の治癒力で元に戻す方法 | 1~5回 | ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす ・脂漏性角化症 ・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) |
フォトフェイシャル | IPLという光を当ててメラニンを破壊する方法 | 4~5回 | ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす |
ケミカルピーリング | 顔に薬剤を塗って、古い角質を除去。ターンオーバーを促す方法 | 6回ほど | ・肝斑 ・炎症後色素沈着 |
液体窒素 | 液体窒素を使い、病変を凍らせる方法 | 1回以上 | 脂漏性角化症 |
内服薬 | 飲み薬により、身体の内側からシミに働きかける方法 | 4~5ヶ月以上 | ・肝斑 ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす |
外用薬 | 軟膏やクリームなどの塗り薬を、肌に塗布して改善を図る方法 | 3ヶ月以上 | ・肝斑 ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす |
治療にかかる費用は、各医院によって異なります。また、各治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、医師によく相談したうえで、治療を進めるようにしましょう。
レーザー治療
レーザー治療とはレーザー光線をシミに当てて、メラニンを破壊する治療法です。
短期間で効果を実感できるのがメリットですが、肌に合わないと逆にシミを濃くするおそれがあります。照射範囲が狭いので、スポットでシミを消したい場合におすすめです。
費用はレーザーの種類によって異なりますが、1回5,000円から20,000円程度。なかには2,000円台で受けられる美容皮膚科・クリニックもあります。
治療期間の目安は約3ヶ月。回数は1~5回程度です。ただし、「大きなシミだけ消えれば良い」、「すべてのシミを消したい」など希望する度合いによっても期間と回数が変わってきます。
対象のシミ | ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす ・脂漏性角化症 ・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) |
治療期間の目安 | 3ヶ月 |
治療回数の目安 | 1~5回 |
ダウンタイムの日数 | 1~2週間 |
費用の目安 | 5,000~20,000円/回 |
おすすめの人
- 短期間で治療を終えたい人
- 消したいシミの範囲が狭い人
フォトフェイシャル
フォトフェイシャルとはIPL(インテンス・パルス・ライト)と呼ばれる光を照射して、メラニン色素にダメージを与え、浮き上がらせて排出を促す治療法です。
ILPでは複数の波長が異なる症状に働きかけるので、シミ以外にも肌の色ムラや毛穴の目立ちといった肌トラブルの改善効果も見込めます。
1回の費用は15,000円から20,000円程度です。レーザー治療よりも弱い光を使うので即効性が期待できない分、回数も多く、治療期間は長くなるでしょう。
そのため、トータルの料金は高くなりやすい傾向にありますが、比較的肌が弱い人でも受けられるといったメリットがあります。
対象のシミ | ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす |
治療期間の目安 | 4~5ヶ月 |
治療回数の目安 | 4~5回 |
ダウンタイムの日数 | ほぼない |
費用の目安 | 15,000~20,000円/回 |
おすすめの人
- 肌が弱い人
- 毛穴の目立ちや肌の色ムラ、他の肌トラブルも改善したい人
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは薬剤を使用し、古い角質を除去することで肌のターンオーバーを促す治療法です。
顔全体のターンオーバーを促すため、シミはもちろん、ニキビやシワ、くすみなどの改善にも効果が期待できます。
ただし、肌の古い角質を酸性の薬剤で溶かして剥がすため、肌質や肌のコンディションによっては痛みや炎症、かゆみなどを発症するおそれがあります。
対象のシミ | ・肝斑 ・炎症後色素沈着 |
治療期間の目安 | 6ヶ月 |
治療回数の目安 | 6回 |
ダウンタイムの日数 | 2~3日程度 |
費用の目安 | 5,000~7,000円 |
おすすめの人
- 肌代謝を促し、本来の美しさを取り戻したい人
- 治療費を安くおさえたい人
液体窒素
約-200℃と超低温の液体窒素を接触させて、病変部分を凍結させる治療法です。施術の約7~14日後に病変がかさぶたとなって剥がれ落ちることでシミの改善効果が見込めます。
ただし、液体窒素は軽く冷凍してしまうと再発し、強く冷凍すると傷跡が残るため、経験豊富な医師に治療してもらうことが重要です。
また、治療後は半年から2年ほど、炎症後色素沈着が残る点も留意しておきましょう。
液体窒素治療が用いられる脂漏性角化症は保険適応なので、1回数百円で治療が受けられます。1回でポロッと取れることもありますが、複数回の治療が必要となる場合が多いでしょう。
対象のシミ | 脂漏性角化症 |
治療期間の目安 | 3週間以上 |
治療回数の目安 | 1回以上 |
ダウンタイムの日数 | 1~2日 |
費用の目安 | 数百円 |
おすすめの人
- 脂漏性角化症を改善したい人
- 保険適応の治療を受けたい人
内服薬
軟膏やクリームなどの外用薬、またはレーザー治療などといった外からのアプローチが難しいシミの場合は、内服薬で改善を図ります。
内服薬は薬局でも売られているため、手軽に続けやすいメリットがある反面、改善するまでの期間が長い傾向があります。
数千円から20,000円ほどかかりますが、数日または数ヶ月分の金額なので、1回の治療費は内服薬が最も安いと言えるでしょう。期間は長くなりますが、継続利用することで改善はもちろんシミの予防効果も見込めます。
対象のシミ | ・肝斑 ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす |
治療薬の種類 | ・シナール ・トラネキサム酸 ・ハイチオール ・ユベラ |
治療期間の目安 | 3ヶ月以上 |
費用の目安 | 数千円~20,000円 |
おすすめの人
- 治療費を安くおさえたい人
- 自分のペースで治療したい人
外用薬
外用薬を用いた治療では、軟膏やクリームなどを直接、病変部分に塗布して改善を試みます。代用的な外用薬にハイドロキノンとレチノイン酸(トレチノイン)があり、これらはそれぞれ持つ作用が異なります。
ハイドロキノンは「メラニン色素の生成を抑制」し、レチノイン酸は「メラニン色素の排出を促す」ため、併用するのが一般的です。
塗布後に紫外線を浴びると赤み、炎症を引き起こすおそれがあるので注意しておきましょう。
片方だけ処方してもらう場合は、2,000円から3,000円程度で済みますが、両方処方してもらう場合は7,000円ほど費用がかかります。
対象のシミ | ・肝斑 ・老人性色素斑 ・炎症後色素沈着 ・そばかす |
治療薬の種類 | ・ハイドロキノン ・レチノイン酸 |
治療期間の目安 | 3ヶ月以上 |
費用の目安 | 2,000~7,000円 |
おすすめの人
- 化粧品より確実な効果を期待したい人
- ホームケアで改善したい人
シミ治療で通う美容皮膚科の選び方
シミ治療に用いられる方法が同じでも、通院する美容皮膚科・クリニックによって受けられる治療法が異なります。
各施術のリスクはそれほど大きくはありませんが、納得のいく治療を受けるためには施術内容はもちろん、次のポイントをおさえたうえで、自分に合った美容皮膚科・クリニックを選ぶ必要があります。
- 実績で選ぶ
- 料金で選ぶ
- 口コミで選ぶ
- カウンセリングの内容で選ぶ
保険が適応される脂漏性角化症以外のシミは自由診療になるため、同じ施術であったとしても美容皮膚科・クリニックで料金が異なります。
できるだけ安く済ませたいのが心情ですが、対応が悪かったり、不要と思われる施術を追加されたりといったケースもあるので、口コミも欠かさずにチェックしましょう。
実績で選ぶ
美容医療はとてもデリケートな分野なので、施術者には美的センスや高度な技術が求められます。
それにも関わらず、医師免許さえあれば誰でも開業できるので、たとえば小児科や内科医など、美容医療の専門家でなくとも始められるのです。
そのため、美容皮膚科・クリニックを選ぶうえで、実績は外せません。
実績が多い美容皮膚科・クリニックであれば医療事故が起きないわけではありませんが、実績が少ないところよりもそうしたケースにあう可能性を低くできるでしょう。
料金で選ぶ
シミ治療は脂漏性角化症の治療を除き、自由診療です。そのため、同じ治療方法でも美容皮膚科・クリニックによって、料金設定が異なります。
治療方法にもよりますが、シミ治療は複数回通うことが前提になるので、できれば費用はおさえたいものです。
しかし、料金を安く設定している場合、ほかの治療との併用を勧められ、最終的な金額が高くなることもあるので注意しておきましょう。
口コミで選ぶ
サービス内容や金額などは各美容皮膚科・クリニックのホームページで確認できますが、スタッフの対応などは実際に利用した人でないとわかりません。そこで注目したいのが口コミです。
口コミの内容から「どういった施術を受けられるのか」「契約して後悔していないか」「スタッフの対応はどうか」など、客観的な意見を見ることで満足度の高い選択ができるようになるでしょう。
カウンセリングの内容で選ぶ
シミの治療は、シミの種類や肌の状態を的確に判断して治療法を決める必要があります。誤判断のまま治療を進めてしまうと改善されないこともあるため、非常に危険です。
また、今ある症状とともに、施術後に「どうなりたいか」を共有するカウンセリングはとても重要な工程と言えます。
ほとんどの美容皮膚科・クリニックでは、初回カウンセリングを無料で実施しているので、気になるところがあればまずは無料カウンセリングを受けてみましょう。
そのうえで、親身に寄り添ってくれたかどうかを判断するのがおすすめです。
治療以外での最新シミケア
これまで紹介してきた従来の治療法以外に、最新シミケアとして「グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)」が今、注目を浴びています。
グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)とは、分解すると酵素と水に戻るオゾンを安定化させたもの。もともとは医療機関でアトピー性皮膚炎や床ずれなどに使用されていた成分です。
グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)は直接肌に塗布することで、メラニンの構造を破壊し、シミを薄くする効果があることが分かっています。
8週間のヒト臨床実験で安全性も確認済み。シミのほか、アトピーやアレルギーの改善にも効果が期待できるとして、肌トラブルを抱える人たちの希望の成分として注目が集まっています。
シミの種類を知って適切な治療を
シミは種類によって有効な治療方法が異なります。たとえば、肝斑と老人性色素斑が併発している場合、老人性色素斑に用いられるレーザー治療を受けてしまうと、肝斑が悪化する可能性が高まります。
そのため、シミの改善にはその種類にあった最適な方法を選ぶことが必須。最適な方法を知るためにも、今あるシミの種類を見分けることからはじめましょう。
もし自分にできたシミの種類がわからない場合は、シミ改善の第一歩としてこちらのシミ審断をご活用ください。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。