シミができる原因と予防方法は?できてしまったシミの対策方法を解説

シミができる主な原因は紫外線と言われていますが、ホルモンバランスの乱れなど、別の要因でも発症します。今回はシミができるメカニズムをはじめ、シミができやすい人や種類別にできてしまったシミへの効果的な対策方法を紹介。シミを消したい、これ以上増やしたくない人はぜひ参考にしてください。

シミができる原因は?

シミができる主な原因は、「メラニンの過剰生成」と「ターンオーバーの乱れ」です。この2つの原因により、肌内部で生成されたメラニンが滞留することでシミとなります。

紫外線などの刺激から皮膚を守る役割を持つメラニンは、通常であればターンオーバー(肌の生まれ変わり)により約28日周期で肌の外に排出されます。しかし、次の4つの原因により、ターンオーバーが遅れたり、ターンオーバーが追いつかないほどメラニンが生成されたりした場合にシミとして現れます。

  • 紫外線
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 活性酸素
  • 傷や摩擦

次項からはさらに詳しくシミができるメカニズムを紹介します。

紫外線

シミの主な原因と言われるのが、紫外線ダメージの蓄積です。肌は紫外線を浴びると、肌の奥にあるメラノサイトという色素細胞でメラニンを生成。本来であれば肌を守るメラニンですが、紫外線を浴びすぎると過剰生成され、ターンオーバーによる排出が追いつかなくなります。その結果、排出しきれなかった分はシミとなります。

紫外線によるシミの予防方法

紫外線が原因でできるシミの種類は次のとおりです。

【紫外線が原因でできるシミの種類】

  • 老人性色素斑
  • そばかす(雀卵斑)
  • 肝斑
  • 脂漏性角化症

これらのシミは紫外線が主な原因としてできるため、悪化防止のためにも日焼け止めや帽子やサングラス、日傘などの紫外線対策グッズを活用するのがおすすめです。合わせて抗酸化作用で紫外線ダメージからから守るビタミンAなどの栄養素を意識して摂るのも良いでしょう。

ホルモンバランスの乱れ

加齢やストレスなどにより、女性ホルモンが乱れるとメラノサイトが活性化。ターンオーバーが追いつかないほど、メラニン色素が過剰に生成されてしまい、排出されなかった分はシミとなって出現します。

ホルモンバランスによるシミの予防方法

ホルモンバランスの乱れによってできるシミの代表例は「肝斑」です。特に30~40代のホルモンバランスが乱れやすい時期や、妊娠・出産、ピルの服用時などにできやすい傾向があります。ホルモンバランスの乱れによってこれ以上シミを増やさないようにするためには、「生活習慣を正してホルモンバランスを整える」ことを意識しましょう。

具体的には睡眠と運動、ストレスの緩和が重要です。睡眠で言えば、7時間以上の睡眠時間を確保し、起きる時間を毎日固定しましょう。まだ軽い運動で構わないので、運動を日々取り入れ、ストレスの緩和を図ることが大切です。合わせて紫外線対策・摩擦を避けることも意識しておきましょう。

活性酸素

体内に取り込んだ酸素の約2% は、ほかの物質を酸化させる活性酸素に変化します。この活性酸素はメラノサイトを刺激。メラニンの過剰生成を引き起こすことがあります。ターンオーバーにより排出できなかった分のメラニン色素はシミとして肌内部に滞留することになります。

活性酸素によるシミの予防方法

活性酸素が原因でできるシミの種類は次のとおりです。

【活性酸素によりできるシミの種類】

  • 老人性色素斑
  • そばかす(雀卵斑)
  • 肝斑
  • 脂漏性角化症

活性酸素は酸素を取り込む以外にも、ストレスや紫外線、大気汚染、タバコなどによっても発生します。そのため、これ以上活性酸素によるシミを増やさないためには、紫外線対策をはじめ、ストレス解消方法を見つけ、生活習慣を整える、タバコを止めるといった対策が必要です。

傷や摩擦

傷や虫刺されによる炎症や、クレンジング・マッサージ時に肌を強く擦ったことによる刺激などの外的刺激もメラノサイトを活性化させ、メラニン生成を促す一因となります。またマスクを身につけることが多くなった最近では、着脱時の擦れが刺激となり、シミができるおそれもあるので注意しておきたいところです。

傷や摩擦によるシミの予防方法

傷や摩擦が原因でできるシミの種類は次のとおりです。

【傷や摩擦が原因でできるシミの種類】

  • 炎症後色素沈着
  • 肝斑

これらのシミを予防するには、ケガや虫刺され、やけど、ニキビなどによる「傷を作らないようにすること」と、普段から肌に触れる際には優しく・丁寧を心がけて「摩擦が起きないようにすること」を徹底しましょう。

ある研究によると「人は無意識のうちに1時間に平均20回以上顔を触る」ということが報告されています。オーストラリアの研究グループによると、医学生26名を対象にした実験で、大学講義中の1時間に平均22.6回手で顔を触ることがわかりました1)。

また、早稲田大学の研究グループによると、大学内の模擬電車を使った観察研究により、電車内では、1時間に平均25.6回手で顔を触ること、また女性よりも男性の方が顔を触る回数が多いといった報告もされています2)。

このように人は1日のうちに無意識に何度も顔を触っていることが分かると思います。シミを増やさないためには、意識的に顔を触らない、触る際は優しくを心がける必要があります。

【参考文献】

1) Kwok, Yen Lee Angela, Jan Gralton, and Mary-Louise McLaws. “Face touching: A frequent habit that has implications for hand hygiene.“ American journal of infection control 43.2 (2015): 112-114.

2) Morita, Kentaro, et al. “Measurement of Face-touching Frequency in a Simulated Train.“ E3S Web of Conferences. Vol. 111. EDP Sciences, 2019.

シミができやすい人の特徴

シミのできやすさは、次のように先天的要因と後天的要因に分けられます。

 要因原因
先天的要因遺伝的素質、元来の肌の色
後天的要因生活習慣、クセ、生活環境

いずれにおいても、シミを作らないためには紫外線対策や生活習慣を整えるなどの基本的な対策は共通事項として挙げられます。また、早めに対策に取り組むことで、シミの悪化や新たなシミができるのを防げる可能性があります。

できてしまったシミは消せる?

できてしまったシミを完全に消すことは難しいですが、種類によって適切な対処法を取れば、限りなく薄くする、または消えたように見せられます。

たとえば一般的なシミである老人性色素斑は、美白有効成分が配合された化粧品によるセルフケアでも改善効果が見込めます。一方、遺伝が原因とされるそばかすにおいてはセルフケアでは効果が見込めず、レーザー治療やトラネキサム酸などの内服薬治療を行うことで、薄くすることは可能です。ただし、いずれのシミにおいても改善には一定の期間が必要であり、簡単にシミが消えることはありません。

このようにシミは種類によって改善方法が異なります。そのため、シミを消すには種類の特定からはじめる必要があります。しかし、セルフ判断でシミの種類を間違い、誤った対処法を取ってしまうと悪化させるおそれが出てきます。自力での判断が怖い、難しい場合は簡単な質問に答えるだけでシミの種類を特定できる、下記のシミ審断を活用してみてください。

シミの原因を知るには、あなたがどのシミを持っているか次第です。まずは3分シミ審断で特定しましょう。

【シミの種類別】できてしまったシミ対策

ここからはシミの種類を判別するために、画像付きで各シミの特徴と対策方法を紹介します。

シミの種類シミの原因美容医療スキンケア
老人性色素斑
・紫外線
・加齢
炎症後色素沈着
・傷跡
・やけど跡
・ニキビ跡
・かぶれ跡
肝斑
・紫外線
・女性ホルモンの乱れ
・摩擦
そばかす
・遺伝
・紫外線
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
・不明
脂漏性角化症
・紫外線
・加齢

スキンケアで改善が見込めるのは「老人性色素斑」と「炎症後色素沈着」のみです。この2つ以外は美容医療や皮膚科での治療による対策が基本になります。

老人性色素斑のシミ対策

老人性色素斑は次の治療を受けることで、改善が見込めます。

  • レーザー治療
  • フォトフェイシャル
  • 外用薬
  • 内服薬

特に効果が高いのはレーザー治療です。ピンポイントでシミにレーザーを照射することでメラニン色素を破壊するため、シミの濃さや肌質によっては1回の治療でも効果を実感できるでしょう。一方、老人性色素斑はスキンケアでの改善も見込めます。ただし、トレチノインやハイドロキノン、グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)などの美容成分が入っていることが前提となります。

炎症後色素沈着のシミ対策

炎症後色素沈着は次の治療を受けることで改善効果が期待できます。


  • レーザー治療
  • フォトフェイシャル
  • ケミカルピーリング
  • 外用薬
  • 内服薬

老人性色素斑と同じく、炎症後色素沈着もスキンケアによる改善の可能性が高いシミです。また、メラニン生成の抑制効果があるビタミンC(赤ピーマン、キウイフルーツ、いちごなど)や、ターンオーバーをサポートするL-システイン(高野豆腐、卵、ごま、ブロッコリーなど)を含む食品を摂ることでも改善が見込めるでしょう。

肝斑のシミ対策

肝斑は次のような治療を行うことで、改善が見込めます。

  • ケミカルピーリング
  • 外用薬
  • 内服薬

肝斑は老人性色素斑や炎症後色素沈着と異なり、セルフケアでの改善は見込めません。しかし、肝斑の発症原因である「ホルモンバランスの乱れ」を整えることで、改善していく可能性はあります。そのため、治療と並行して正しい生活習慣を送ったり、ストレスを溜めないようにしたりすることを心がけるのがおすすめです。

そばかすのシミ対策

そばかすは次のような治療を受けることで、薄くなる見込みがあります。

  • レーザー治療
  • フォトフェイシャル
  • 外用薬
  • 内服薬

そばかすもセルフケアでは改善が見込めないシミです。発症原因は遺伝とされていますが、紫外線によって悪化することもあるので、紫外線対策は必須。年齢とともに薄くなる傾向があるので、思春期が過ぎるまで様子を見るのもありです。レーザー治療やフォトフェイシャルなどの治療はそれからでも遅くないでしょう。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)のシミ対策

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)はレーザー治療を受けることで改善が見込めます。ただし、ADMは肌の奥の層である真皮層に存在しており、レーザーの光が届きにくいため、治療が長引く傾向にあります。また、発症原因がはっきりしていないため、これといった予防法もないのが現状です。

脂漏性角化症のシミ対策

脂漏性角化症には次のような治療法が効果的です。

  • 液体窒素
  • 炭酸ガスレーザー

脂漏性角化症についてもセルフケアによる改善効果は見込めません。また、紫外線によって悪化するおそれがあるので、脂漏性角化症においても紫外線対策は必須になります。

シミのスキンケア対策は成分選びがポイント

老人性色素斑や炎症後色素沈着の場合、スキンケアでも改善効果が見込めます。ただし、スキンケア商品に含まれる成分によっては、いくらスキンケアを行っても効果を実感できません。そのため、シミ対策としてのスキンケアを選ぶ際は、次のような美白に役立つ成分が入っているかどうかをチェックしておきましょう。

美白に役立つ成分シミへの効果効能
ビタミンC誘導体改善(一部)メラニンの生成を抑制し、新陳代謝を高める。コラーゲンの生成も促進するため、シワを防ぎハリを取り戻す
アルブチン予防メラニンを生成するチロシナーゼの働きを抑制する
トラネキサム酸予防メラニンの生成に必要なプロスタグランジンなどの働きを抑制。肌の炎症で起こる色素沈着によるシミ予防にも有効
プラセンタエキス改善(一部)メラニンの生成や色素沈着を阻害してシミを予防。肌のターンオーバーを助けてくれる
ハイドロキノン予防メラニンの生成を抑制。メラニンを作る細胞であるメラノサイトの減少
(グリチルリチン酸)予防肌の炎症を抑え、色素沈着によるシミ予防に効果的
(ビタミンE)改善(一部)血行促進・新陳代謝の活性化により、肌のターンオーバーを促進
(セラミド)予防肌のバリア機能を支え、高い保湿効果がある
(グリセナジーMK)改善ターンオーバーを正常化させ、同時に肌表面のメラニンを分解するというダブルアクション。今あるシミを薄くする効果が認められている。ヒト臨床試験でできてしまったシミ改善が報告された最先端成分(表示名称はオゾン化グリセリン)。
※()は美白有効成分ではない成分

美白有効成分(シミ予防効果)ではありませんが、グリセナジーMKはシミを薄くする効果が認められている最先端成分として昨今、注目が集まっています。アトピーやアレルギーの改善にも効果が期待できる成分であるため、肌が弱い人をはじめ、深刻な肌の悩みを持つ人には希望とも言える成分です。

シミは種類によってスキンケアで対策できるものと、できないものがあります。そのため、シミ治療は種類の特定が第一歩です。しかし、シミを自力で判断するのは難しい場合もあります。そうした場合は、簡単な質問に答えるだけでシミの種類が特定できて、改善方法まで分かるシミ審断を活用してみてください。

シミの原因を知るには、あなたがどのシミを持っているか次第です。まずは3分シミ審断で特定しましょう。

よくある質問

急にシミが増える原因は?

急にシミが増える原因には「紫外線や外傷などによるダメージ」や「女性ホルモンの乱れ」が考えられます。いずれもメラノサイトが活性化し、過剰にメラニン色素が生成されることが原因です。

シミは消せる?

完全に消すことは難しいですが、シミの種類に応じて適切な治療法を行っていけば可能な限り薄くしたり、消えたように見せたりすることは可能です。

シミを治すにはどうしたらいい?

シミの種類を特定し、最適な治療法で対処するのがベストです。また、治療と合わせて紫外線対策や正しい生活習慣を送る、ストレスを溜めないといったシミ予防対策も行うようにしましょう。

シミの原因になる食べ物はある?

菓子パンやケーキなど、糖分が多い食品はターンオーバーを遅らせるため、摂りすぎには注意が必要です。また、レモンやグレープフルーツ、きゅうり、にんじんなどには紫外線の吸収率を高めるソラレンが含まれています。これらの食べ物は、紫外線の影響が少ない夜に摂取するのがおすすめです。

シミの原因を知ってシミ対策を始めよう

シミは種類別にできる原因と対策方法が異なります。自分にあるシミの原因が特定できれば、予防もできるし、改善策を講じることもできます。そのため、シミを改善するにはまず、その種類の特定からはじめなければいけません。

しかし、本記事に掲載しているシミの写真と見比べてみても判断が難しい場合もあります。自力での判断が難しい場合は、下記のシミ審断をご活用ください。3分でシミの種類を特定。改善方法も分かるので、シミ一つない美肌への第一歩を踏み出せますよ。

シミの原因を知るには、あなたがどのシミを持っているか次第です。まずは3分シミ審断で特定しましょう。


監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。

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