シミ予防は紫外線対策だけじゃない!シミができづらい肌を作るために改善すべきこと

シミ予防と聞くと、「紫外線対策しておけば大丈夫でしょ?」と多くの人が思い浮かべるのではないでしょうか。実はシミ予防は紫外線対策だけでは不十分です。なぜなら紫外線対策は「しているつもり」になっていることも多く、肌内部に紫外線ダメージが蓄積していることがあるためです。

そこで今回は、シミ予防の正しい知識を解説。すぐに取り組める方法を紹介しているので、さっそく今日から効果的なシミ予防に取り組みましょう。

シミ予防は「紫外線対策」と「紫外線ダメージのリセット」

シミの予防方法は、「紫外線対策」と「紫外線ダメージのリセット」に大別されます。これらは、どちらか一方を行ってもシミ予防にはならないため、両方合わせて行う必要があります。

 

シミの元であるメラニン色素は、紫外線を浴びるなどの刺激によって肌内部に生まれます。通常であれば、約28日周期で起こるターンオーバー(肌の新陳代謝)で古い角質と一緒に押し出されます。しかし、紫外線の浴びすぎやホルモンバランスの乱れなどでターンオーバーが乱れてしまうと、紫外線によるダメージが蓄積。メラニン色素が肌内部に沈着してシミとなります。

「日焼け止めをしっかりと塗っていればよいのでは?」と思われるかもしれませんが、塗りムラがあったり、汗で落ちたりするなど、日焼け止めを塗っていたとしても紫外線は完璧に防げるものではありません。そのため、シミを予防するためには、「紫外線対策」と合わせて「紫外線ダメージのリセット」が必要なのです。

シミ予防は紫外線対策から!

シミができる主な原因である紫外線には「UVA波」、「UVB波」、「UVC波」の3種類の波長があり、このうち「UVC波」が地上に届くことはほとんどありません。そのため、「紫外線対策=UVA波とUVB波の対策」となります。

UVA波は波長が長く、肌の深部にまで到達。肌の潤いやハリの元となるコラーゲンやエラスチンを変化させてしまうため、シミだけでなくシワやたるみの原因にもなります。

UVB波はUVA波よりも波長が短く、肌表面までしか届きません。また、オゾン層によって遮られるため、地表に届くUVB波の量はUVA波よりも格段に減ります。しかし、有害度はUVB波の方が高く、日焼けや皮膚がんの原因となるなど、肌に与える影響は計り知れません。

こうした紫外線を日々対策するには、日焼け止めを欠かさず塗ることが基本になります。しかし、選び方や使い方など、正しい知識を持っていないとより高い効果は得られません。次項からはその点について解説していきます。

日焼け止めの「SPF」と「PA」

日焼け止めを購入する際によく見る「SPF」と「PA」。いずれも紫外線から肌を守る指標になりますが、それぞれブロックする波長が異なります。

SPFでは、肌を赤く炎症させる原因であるUVB波をブロック。数値が大きいほど防御時間が長くなります。1SPFあたり約20分肌を守ると言われているので、屋外で過ごす時間を考慮して数値を選択するとよいでしょう。

一方、PAは肌の深部まで届くUVA波をブロックしてくれます。「+」が多いほど高い効果が期待できますが、肌への負担も増すため、シーンに応じて選ぶようにしましょう。

日焼け止めが必要なシーンSPFPA
日差しが入る屋内で1日すごす10~20++
強い日差しの下で30分未満すごす30~40+++
強い日差しの下で1~2時間すごす30~40+++
強い日差しの下で半日すごす50++++
強い日差しの下で1日すごす50+++++

 

たとえば海やプール、キャンプなど、レジャーで一日の大半を屋外で過ごす場合は、SPF50、PA++++を選ぶのがおすすめです。ただし、紫外線の強さは季節や天候、時間帯などの要因で大きく変わるため、上記はあくまで一例として覚えておくようにしましょう。

日焼け止めの正しい使い方

日焼け止めは次のように使用しましょう。

クリームタイプはパール粒1個分を、液状タイプは1円玉硬貨大を手の平に取り、額、両頬、鼻の上、アゴに分けて載せ、塗り伸す。これを2回行う。

  • 腕・脚など

塗布したい部位に容器から直接、直線を描くように日焼け止めをつけ、手の平で円を描くように塗り伸す。腕や脚の表裏を分けて行う。

太陽の光が当たりやすい肩や背中上部、鼻の頭などは念入りに塗る必要があります。また、日焼け止めを塗るタイミングは、屋外に出る前です。手や衣類の摩擦、汗などによって日焼け止めは落ちてしまうため、屋外に出たあとも2~3時間ごとに塗りなおすようにしましょう。

曇りでも紫外線対策は必要

「紫外線=晴れの日」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、晴れの日は「紫外線が強い」だけです。気象庁によると、快晴の日を100%と仮定した場合、薄曇の日は快晴時の約80~90%、曇りの日は約60%、雨天時は約30%の紫外線が降り注いでいるそうです。このことから、天候に左右されず、紫外線対策は毎日行う必要があるということが分かります。

引用元:国土交通省 気象庁 「雲と紫外線」

特に注意したいのがUVA波です。UVB波は雲の影響で、快晴時と比べるとその量は半減します。しかし、UVA波は曇天時であっても、快晴時の約75%が私たちの肌まで届きます。そのため、曇天・雨天時はPAの「+」が多い日焼け止めを使用するのがおすすめです。

紫外線ダメージをリセットする方法

日焼け止めで紫外線対策を行っていたとしても塗りムラや塗り忘れなどによって、知らず知らずのうちに肌に紫外線ダメージが蓄積している場合があります。紫外線によるダメージの蓄積を放置しておくと、肌内部にできたメラニン色素が色素沈着を起こし、シミとなります。そのため、シミを予防するためには紫外線によるダメージのリセットも重要です。紫外線ダメージの主なリセット方法は次のとおりです。

  • 正しいスキンケア
  • 必要な栄養素の摂取
  • 生活習慣の改善

普段、使用している化粧品や口にしている食材をシミ予防できるものに変えるだけなので、それほど難しいことではないでしょう。また、生活習慣においてもちょっと運動する、寝る時間を早める程度なので、さっそく今日から意識してみてください。

スキンケアによるシミ予防

次に挙げるような、美白に役立つ成分が含まれている化粧品を使用したスキンケアを行うことでシミ予防が可能です。

  • ビタミンC誘導体:メラニンの生成を抑制し、新陳代謝を高める
  • アルブチン:メラニンを生成するチロシナーゼの作用を抑制する
  • トラネキサム酸:メラニンの生成に必要なプロスタグランジンなどの作用を抑制。炎症が原因の色素沈着によるシミの予防にも効果的
  • プラセンタエキス:メラニンの生成、色素沈着を阻害。ターンオーバーを促進する

上記のほか、美白有効成分ではありませんが、肌の炎症を抑えて色素沈着によるシミを予防する効果が期待できるグリチルリチン酸や、血行促進・新陳代謝の活性化によりターンオーバーを促すビタミンEなどもシミ予防効果に期待が持てます。

シミ予防のために必要な栄養素

普段の食事で活性酸素を抑えたり、ターンオーバーの正常化を促したりする栄養素を摂取することで、シミ予防ができます。

栄養素効果100gあたりの 含有量が多い食品
ビタミンCメラニンの過剰な生成を防ぐ。黒色メラニンの還元作用(元に戻す)があるレモン、キウイフルーツ、いちご、赤ピーマン、モロヘイヤ
βカロチン(ビタミンA)抗酸化作用で紫外線からの肌ダメージを予防にんじん、ケール、みかん、ほうれん草、かぼちゃ
ビタミンE肌のターンオーバーをサポート。メラニン色素の沈着を防ぐ鮭、ナッツ類、アボカド
L-システイン肌のターンオーバーを促す。メラニン色素の生成を抑制大豆、小麦、高野豆腐、卵

 

メラニンの過剰生成を防ぎ、さらに酸化して色が濃くなった黒色メラニンの還元作用があるビタミンCは積極的に摂りたい栄養素です。食事で補いきれていないと感じる場合は、サプリメントを積極的に活用することもおすすめです。

ビタミンC

ビタミンCには次のような作用があり、シミ予防に効果が期待できます。

  • メラニン生成の抑制
  • 抗酸化作用
  • メラニン色素の無色化
  • 皮脂分泌の抑制
  • コラーゲン生成の促進

ビタミンCが不足すると、コラーゲンの生成ができなくなるため、肌のハリ・ツヤが失われるだけでなく、肌内部の機能が低下。表皮に十分な栄養が届かなくなり、ターンオーバーの乱れに繋がります。

また、本来免疫機能として活躍する活性酸素が何らかの原因で増えすぎると、細胞を傷付ける原因となり、コラーゲンの減少やメラニン色素の増加を引き起こすなど、シミができやすい環境を整えてしまいます。ビタミンCが持つ抗酸化作用には、活性酸素の発生や作用を抑える働きを持つため、シミ予防以外の観点からも積極的に摂りたい栄養素です。

そのため、普段からいちごやキウイフルーツ、赤ピーマンなどのビタミンCを豊富に含む食材を意識して取り入れるようにしましょう。ただし、ビタミンCは体内に留めておくことができないので、毎日継続して摂取する必要がある点には注意が必要です。

ビタミンCの美白効果については、次の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

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β-カロチン(ビタミンA)

β-カロチン(ビタミンA)には次のような効果が期待できます。

  • 肌に潤いを与える
  • 強い抗酸化作用
  • 皮脂の過剰分泌を抑える
  • 紫外線ダメージから肌を守る

β-カロチン(ビタミンA)には、肌のバリア機能とハリ・ツヤを保つ効果が見込めます。そのため、不足すると乾燥やニキビなどの肌トラブルを招きやすくなります。その結果、ターンオーバーの遅れやニキビ跡などの炎症により、シミができることになるので注意が必要です。

β-カロチンは緑黄色野菜に含まれる橙色の色素成分で、普段の食事でも用いやすいにんじんやかぼちゃ、ほうれん草などに多く存在しています。通常の食事をしていれば不足することのない栄養素と言われていますが、カップラーメンやパンなどが続く場合は、積極的にサプリメントを活用してβ-カロチンを補いましょう。

ビタミンE

ビタミンEにはシミ予防に嬉しい次のような効果が見込めます。

  • 抗酸化作用
  • 血行促進
  • ビタミンCの作用をサポートする

「若返りのビタミン」とも呼ばれるビタミンEは、不足すると血行不良により肌に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなり、ターンオーバーが乱れシミができやすくなります。また、血流不足により肌の赤みが減少することで、肌の黒ずみや黄味が目立ちやすくなり、顔全体がくすんで見えるようになるなどのトラブルも考えられます。

ビタミンE不足を防ぐためには、鮭、ナッツ類、アボカドなどの食材を積極的に摂取していきましょう。サプリメントを活用する場合は、種類に注意が必要です。ビタミンEのサプリメントには「天然」「天然型」「合成」の3種類があり、「天然型」と「合成」には抗酸化作用がほとんどないため、「天然」を選ぶのがおすすめです。

L-システイン

L-システインにはシミ予防に効果が期待できる次のような作用があります。

  • メラニン色素の生成を抑制
  • ターンオーバーの促進
  • 抗酸化作用

L-システインは身体を作るアミノ酸の一種であるため、不足するとシミができやすくなるだけでなく、髪や爪が脆くなります。そのため、L-システインが不足すると、実年齢よりも老けて見られる可能性が高くなります。また、L-システインは不足しやすい成分とも言われているので、大豆、小麦、高野豆腐など、L-システインを多く含む食材やサプリメントを活用して、意識的に摂取するように心がけましょう。

シミ予防を妨げるNG習慣

シミは生活習慣によってもできやすくなります。シミができやすくなる、代表的なNG習慣には次のようなものがあります。

  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 喫煙

いずれも直接的にシミができる原因になるわけではありませんが、シミができるメカニズムであるターンオーバーの機能に大きく関係してきます。簡単にいうと、これらの習慣があることでターンオーバーが乱れる可能性が高いということです。そのため、シミができづらい肌を目指したいのであれば、上記の習慣を早急に改善する必要があります。

運動不足

運動不足により筋肉量が減ると血行不良に陥ります。血行不良になると酸素や栄養素が各所に十分に行き渡らなくなり新陳代謝が落ちるため、肌のターンオーバーも乱れがちになります。その結果、シミができやすい体質になってしまうことが考えられます。

そのため、運動不足を実感している人は、運動習慣を身に付けるようにしましょう。ただし、運動といっても激しいものではなく、ウォーキングや軽い筋トレでも効果が期待できます。ウォーキングの場合は1日30分、筋トレの場合は1日10分程度でOKです。主に下肢の筋肉を刺激する運動は、メラニンの生成を抑える「マイネクチン」の分泌を促せるのでシミ予防に効果的です。

睡眠不足

肌のターンオーバーは睡眠中に活発に行われています。このターンオーバーは成長ホルモンの分泌によって促されているのですが、睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が低下してターンオーバーが乱れる原因となるのです。そのため、睡眠不足はシミ予防の大敵です。

成長ホルモンは、深い眠りであるノンレム睡眠後30分で分泌量がピークに達すると言われています。また、成長ホルモンの分泌は22時から深夜2時までと言われていることから、シミ予防の効果を最大限発揮するためには、この時間帯までには眠りについている必要があると言えるでしょう。

喫煙

たばこに含まれるニコチンには血管収縮作用があり、血行不良による肌の酸素・栄養不足を引き起こします。肌に十分な酸素・栄養が行き届かないと、ターンオーバーが正常に行われなくなるため、シミの原因となります。

また、たばこには活性酸素を生産する物質が多く含まれています。活性酸素は過剰に生成されると細胞を傷付ける要因となり、肌のハリ・ツヤを失う原因に。肌が乾燥状態に陥ると、刺激を受けやすくなり、炎症によるシミもできやすくなります。さらにたばこは美肌に欠かせないビタミンCを破壊。喫煙はシミをはじめ、肌や健康においてメリットがないため、早急に禁煙することをおすすめします。

できてしまったシミを改善する方法

すでにできてしまったシミは、次のように種類によって対策方法が異なります。

シミの種類特徴主な原因主な対策
老人性色素斑・円形で茶色っぽい
・徐々に濃くなる傾向
・加齢
・紫外線
・紫外線対策
・レーザー治療
・美白効果が期待できる栄養素、内服薬の服用
・化粧品などの美白ケア
そばかす(雀卵斑)・小さな斑点のようなシミ
・散らばっている
・夏は色が濃く、冬は薄いことも
・遺伝
・紫外線
・紫外線対策
・化粧品などによる美白ケア
・レーザー治療など機械治療
炎症後色素沈着・色ムラがある
・輪郭がぼやけている
・傷跡
・やけど跡
・ニキビ跡
・かぶれ跡
・紫外線対策
・L-システインを含む食品やサプリの摂取
肝斑・頬骨や口周り、おでこなどに左右対称にできる
・薄茶色から茶褐色
・輪郭がぼやけている
・女性ホルモンの乱れ
・紫外線
・摩擦
・生活習慣を整える
・内服薬の服用
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)・灰色や青みを帯びた褐色
・米粒大
不明・レーザー治療
脂漏性角化症・黒褐色
・イボのような形状
・ほくろより硬く、ボコボコしている
・加齢
・紫外線
・液体窒素
・炭酸ガスレーザー

 

皮膚科でシミ治療する方法や医薬品の使用、最新の美容成分など、さまざまな治療法がありますが、まずは自分のシミの種類を特定できないと効果的な治療は望めません。もし今あるシミの種類が分からない場合は、下記の「シミ審断」をぜひお試しください。

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シミ予防を今日から本気で始めよう

シミを予防したい人は、今日から「紫外線対策」と「紫外線ダメージのリセット」を始めましょう。顔にシミがあると年齢よりも上に見られやすくなります。しかし、今日から毎日、シミ予防をコツコツ続けていくことで、いつまでも若々しく見られるようになるでしょう。

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監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。

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