急にシミが増えたときの原因|種類別の原因・対策・病気の可能性
急に顔にシミが増えてしまったけど、原因が分からない。急にシミが増えた原因として考えられるのは、紫外線や外傷などによるダメージの他、ホルモンバランスの乱れがあります。
本記事では、急に増えるシミの種類とその原因、対処法を解説します。
急にシミが増える主な理由
急にシミが増える主な理由としては、次の2パターンが考えられます。
- 紫外線や外傷などによるダメージ
紫外線を浴びると真皮にあるメラノサイトが活性化し、メラニン色素が生成されます。年齢とともに肌のターンオーバーが乱れると、本来排出されるはずのメラニンが蓄積されてシミに。
また、肌への過剰な刺激によってもメラニンが生成されることもあります。このパターンに多いシミとしては老人性色素斑(紫外線)、色素沈着(傷など)が挙げられます。
- 女性ホルモンの乱れ
女性ホルモンのバランスが乱れると、メラノサイトが活性化。メラニン色素が過剰に生成され、ターンオーバーが追いつかずにシミとして現れます。ホルモンバランスの変化は年齢的な要因もありますが、ストレスなど精神的な影響も関係してくるので、注意が必要です。
女性ホルモンの乱れによるシミの代表格には「肝斑(かんぱん)」があります。
【年代別】急に増えるシミの種類・原因
ひと言でシミと言ってもさまざまな種類があり、増えやすいシミの種類は年代によって異なります。ここでは年代別に増えやすいシミの種類と原因を紹介します。
【20代で増えやすいシミの種類】
- 炎症後色素沈着
【30代で増えやすいシミの種類】
- 老人性色素斑
- 炎症後色素沈着
- 肝斑
【40代で増えやすいシミの種類】
- 老人性色素斑
- 炎症後色素沈着
- 肝斑
また、シミの種類によって、次のように「できやすい部位」やシミができる「主な原因」が異なります
それぞれのシミについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
老人性色素斑
老人性色素斑は、紫外線ダメージにより、メラニンが過剰生成された結果できるシミです。
薄茶色から茶色で輪郭がはっきりしており、頬やこめかみ、手の甲や腕など、紫外線があたりやすい部位を中心にできます。
年代では30~50代にできやすい傾向にあります。ただし、紫外線ダメージが主な原因なので、紫外線を浴びる機会が多い人であれば10代から気になり始めることも。
そのため、早い内からの紫外線対策が大切です。
老人性色素斑を増やさないためには・・・
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- 皮膚科や美容皮膚科でのレーザー治療・フォトフェイシャル(IPL治療)を受ける
老人性色素斑はホームケアでも薄くできる可能性が高いのですが、ケアするための化粧品選びは慎重に行いましょう。
なぜならシミへの効果を謳う美白化粧品(医療部外品)の多くは、「予防」を目的として作られているからです。
既にできたシミへの効果改善は期待できないので、「シミ改善が期待できる成分」が入っているかどうかに着目して選ぶようにしましょう。
老人性色素斑の改善に効果が期待できる成分
- トレチノイン
- ハイドロキノン
- グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)
その他、シミへの効果が期待できる成分は「シミに効く美容液の美白成分一覧。今注目のグリセナジーMKの効果も紹介」で紹介しているので、あわせてご確認ください。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着とは、ケガやニキビ、虫刺されなどで肌が炎症した際にターンオーバーが乱れ、メラニンの排出がうまくいかなくなった結果、メラニン色素が皮膚に沈着してしまう現象を言います。
炎症後色素沈着は洗顔やクレンジング時のこすりすぎによっても起きうるので、スキンケアは優しく丁寧を心がけましょう。
炎症後色素沈着はケガやニキビ、虫刺されなどが主な原因になるので年代関係なく誰でも、そしてどこの部位にもできる可能性があるシミです。
炎症後色素沈着が原因のシミが急に増えたと感じる原因としては、肌の炎症に気づかずに紫外線を浴びたり、こすったりしていることが考えられます。
炎症後色素沈着を増やさないためには・・・
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- メラニン生成の抑制効果があるビタミンCを含む食品を多く摂る(赤ピーマン、キウイフルーツ、いちごなど)
- ターンオーバーをサポートするL-システインを含む食品を摂る(高野豆腐、卵、ごま、ブロッコリーなど)
- 肌を摩擦したり傷つけたりしない
肝斑
肝斑は、頬骨や額などに左右対称に現れるシミです。
写真のようにシミの輪郭がぼやけており、色は薄茶色から茶褐色。広範囲におよぶことが多いのですが、瞼にはできないのが特徴です。
肝斑ができる根本的な原因はわかっていませんが、ホルモンバランスが乱れやすい時期である30~40代に多く見られることから、女性ホルモンの乱れが影響していると考えられています。
肝斑ができやすい人の特徴としては、加齢をはじめ、妊娠・出産、ピルを服用している、また過度なストレスを抱えているなどが挙げられます。
こうした要因により、急に肝斑が増えることもあります。
肝斑を増やさないためには・・・
- 睡眠、食事、運動面を見直して健康的な生活を送り、ホルモンバランスを整える
- 紫外線対策を行う
- 摩擦を避ける
これまでに紹介した以外にも、そばかすやADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、脂漏性角化症もシミの種類に含まれます。
急に増えたシミを消す方法
残念ながらシミを完全に消したり、すぐに薄くしたりする方法はありません。ただし、時間をかけて対処すれば、徐々に薄くすることは可能です。
シミの種類によって効果的な方法が異なるため、種類が明確な場合は次の方法を試してみてください。
- シミに効果があるスキンケアを取り入れる(老人性色素斑・炎症後色素沈着)
効果がでるまでに数ヶ月かかりますが、手軽に続けやすい方法です。スキンケア時に力を入れすぎると逆効果になることがあるので要注意。
前項の老人性色素斑で紹介した「シミ予防」ではなく、「シミ改善効果」成分が配合されている化粧品を選びましょう。
- レーザー治療を受ける(老人性色素斑・炎症後色素沈着)
ダウンタイムが2週間ほど必要になるのは難点ですが、効果の即効性は期待できます。ただし、シミが濃いと複数回の治療が必要となります。
- 飲み薬を処方してもらう(肝斑)
肝斑の治療において飲み薬は高い効果が期待できますが、まれに副作用(食欲不振・胸焼け・嘔吐など)がある場合があるので注意しておきましょう。
原因だと言われているホルモンバランスの乱れを整えるために生活習慣を正すことも同時に行うと早期の改善が見込めます。
なお、老人性色素斑を長期間放置してしまうと、シミの部分が隆起して「脂漏性角化症」という老人性のイボになる恐れが出てくるので注意が必要です。
シミはシミ取りレーザーとセルフケアどちらで対策すべき?
調査期間:2022年9月1日~2023年2月28日
調査人数:5,673名
調査方法:インターネット調査(株式会社メディプラス製薬)
しかし、上記で紹介したように実はシミにはたくさんの種類があるため、正しいケアができていない可能性がございます。そのため、まずは『シミ審断』でご自身のシミを種類を特定し、種類に応じて効果が見込めるケア選びから始めましょう。
急に増えたシミの特徴から考えられる病気
急にシミが増えたときは、ただのシミではなく次のような病気の可能性が潜んでいることもあります。
それぞれの病気の特徴を紹介するので、ご自身のシミの特徴と照らし合わせてみてください。
病気 | イメージ | シミの特徴 | 現れやすい体の部位 |
悪性黒色腫 (メラノーマ) | ・黒褐色 ・左右非対称 ・直径6mm以上 ・周りとの境界がはっきりしない | ・足の裏 ・手のひら ・手足の爪 | |
表在型基底細胞癌 | ・黒く1~2mmの盛り上がり ・次第に複数集まり円状・楕円状になる | ・鼻 ・まぶた ※上記を基本に身体中 | |
日光角化症 | ・淡紅色~濃い褐色 ・直径1~2センチ大 ・表面が少しかさかさしている | ・顔(特に頬骨辺り) ・腕 |
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫(メラノーマ)とは、メラノサイト細胞ががん化することで発生する悪性腫瘍です。
一般的にホクロが悪化した腫瘍と考えられており、左右非対称でギザギザした形が特徴。基本的には黒色ですが色ムラができる場合もあり、良性のホクロとの見分けがつきにくい傾向にあります。
発生には人種差があり、日本人では10万人に1~2人の割合で発生する珍しいがんです。進行すると転移するので、早期発見・早期治療が肝心とされています。
日本人の場合、足の裏や手のひら、手足の指や爪などの末端部分にできることが多いので、こうした部位に上記のようなシミやほくろっぽいものができた場合には、一度受診してみることをおすすめします。
表在型基底細胞癌
表在型基底細胞癌とは、表皮の最下層にある基底細胞や、毛根を包む組織である毛包を構成する細胞から発生する皮膚がんです。
黒く1~2mm隆起した病変が見られ、次第に複数の黒点が集まり、円や楕円状に広がっていきます。明確な原因はわかっていませんが、紫外線や外傷、やけどあと、放射線が原因で発症していると考えられます。
放置しておくと、病変の中央部は深部まで組織が壊れ、そこを中心に周辺組織も破壊することもあります。鼻やまぶたにできることが多いですが、身体のどこにでも発生。
ただし、転移することは極めて稀です。命を落とすような病気ではありませんが、周辺組織を破壊するため、黒く盛り上がったほくろのっぽいものができた場合は、早めに受診するようにしましょう。
日光角化症
日光角化症とは紫外線によってできる皮膚がんの一種で、紫外線を浴びやすい顔や手の甲にできやすいです。
皮膚の浅い層にできる初期がんで、日光角化症の状態では転移の心配はありませんが、放置していると次第に盛り上がり、有棘細胞がんに移行することもあります。
表面がカサカサしており、赤いかさぶたのようになっているのが特徴。シミと判断がつきにくいため、自己判断は危険です。
「赤みを帯びてカサカサした」シミのようなものができた場合は、皮膚科を受診して、医師の判断を仰ぎましょう。
急にシミが増えたら原因を知って正しい対処を
急にシミが増えたときにはさまざまな原因が考えられます。
シミができた原因や種類によって対処法も異なるので、正しく判断する必要がありますが、シミにはさまざまな種類があり、なかには判断が難しい場合もあります。
皮膚科や美容皮膚科にかかるのが安心ですが、顔にできたシミを手っ取り早く判断したい場合は下記のシミ審断を活用してみてください。
簡単な質問に答えるだけ。たった3分でシミの種類と改善法がわかります。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。