シミができる原因と種類|できやすい部位・年代ごとの原因と対策方法を解説
シミにはたくさんの種類があり、種類によって原因や対処法が異なります。顔にできたシミも、まずは種類を把握しておかないと原因が分からないまま誤った対処法をしかねません。
本記事では、シミの主な種類を写真付で解説。できてしまったシミへの対処法についても紹介しているので、本記事をシミ対策の第一歩としてご活用ください。
シミができる原因
シミができる主な原因は、紫外線ダメージの蓄積が挙げられます。
もう少し詳しく説明すると、皮膚の一番外側にある表皮は、「表皮細胞(ケラチノサイト)」と「色素細胞(メラノサイト)」から成っており、紫外線を浴びるとメラノサイトでメラニン色素が生成されます。
通常であれば、肌の新陳代謝であるターンオーバーでメラニンはメラノサイトからケラチノサイトへと移動し、古い細胞とともに剥がれ落ちます。
しかし、何らかの原因でメラニンが過剰に生成されたり、ターンオーバーに乱れが生じたりすると、メラニンが排出されずに肌に残ります。これが、シミができる原因です。
なお、シミにはさまざまな種類があり、なかには遺伝的な原因で発生するものもあります。
また、主な原因は紫外線による外的ダメージですが、ホルモンバランスもターンオーバーの乱れに関係してくるため、ホルモンバランスの乱れもシミができる原因の一つとして挙げられます。
【シミができるメカニズム】
シミの主な種類
顔にできるシミの種類は、主に次の6つです。それぞれ色や形などの特徴はもちろん、できる箇所やできやすい年代が異なります。
各シミについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
老人性色素斑
老人性色素斑は紫外線ダメージの蓄積や加齢によってできる茶色~黒色で円形のシミです。
境界線がはっきりしているのが特徴で、顔や手、腕などできる範囲に規則性はなく、大きさも数ミリ~数センチとまちまちです。
老人性色素斑は名前のとおり、年齢を重ねるごとに目立ってくるシミではありますが、紫外線をよく浴びる環境に身を置く人なら10代でも見られます。
加齢は止めることができませんが、紫外線ダメージの蓄積は対策を行っていれば防げるので、これ以上、紫外線ダメージを蓄積させないためにも、今からでも紫外線対策を行うようにしましょう。
老人性色素斑の予防方法
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
そばかす(雀卵斑)
そばかすは幼少期から思春期にかけてよく見られるシミです。そばかすができる主な原因は遺伝と言われており、成長するごとに薄くなっていく傾向があります。
ただし、紫外線をよく浴びていると、薄くなるどころか悪化する可能性もあるので、紫外線対策をしっかりする必要があります。
そばかすは鼻や頬をはじめ、腕などの身体にも発生。特に色白の人にできやすいシミだと言われています。
遺伝的要素が大きいそばかすは、予防したり薄くしたりすることが難しいシミですが、紫外線対策を入念にすることで、悪化の防止はできるでしょう。
そばかす(雀卵斑)の予防方法
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着とはケガや虫刺され、ニキビ跡などによる炎症後に肌のターンオーバーが乱れ、メラニン色素が上手く排出されないことによって色素が沈着してできるシミです。
色ムラがあり、輪郭がぼやけているのが特徴。ケガや虫刺されなどは年代問わず関係してくるので、炎症後色素沈着は全年代、誰にでも起こりえます。
炎症後色素沈着クレンジングや洗顔時の摩擦によってできることもあるので、スキンケアをはじめ、いかなる時でも肌を強くこすらないように注意が必要です。
炎症後色素沈着の予防法
- メラニン生成の抑制効果があるビタミンCを含む食品を多く摂る(赤ピーマン、キウイフルーツ、いちごなど)
- ターンオーバーをサポートするL-システインを含む食品を摂る(高野豆腐、卵、ごま、ブロッコリーなど)
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- 肌を摩擦したり傷つけたりしない
肝斑
肝斑とは頬骨や額などに左右対称に現れるシミです。
形状が似ていることからそばかすと間違えられやすいですが、そばかすは小さめの斑が広範囲にわたってでき、夏場に濃く、冬場は薄くなる性質を持ちます。
一方、肝斑は比較的大きめのシミが広範囲にわたってでき、ホルモンバランスや季節によって濃くなったり薄くなったり色調が変化するのが特徴です。
また、肝斑の場合は目瞼にできることもありません。
肝斑ができる根本的な原因は判明していませんが、ホルモンバランスが乱れやすい30~40代に多く見られることから、女性ホルモンの乱れが大きく関係していると言われています。
そのため、肝斑を予防するには、ホルモンバランスを整えることを心がける必要があります。また、紫外線によって悪化することもあるので、紫外線対策も欠かせません。
肝斑の予防法
- 睡眠、食事、運動面を見直して健康的な生活を送り、ホルモンバランスを整える
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- 摩擦を避ける
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
ADMは、発生原因が不明なシミです。20歳頃から見られることが多く、他のシミと異なり肌の深い部分にできることからアザに分類されることもあります。
額や頬に好発し、頬の辺りに左右対称で現れるため、肝斑と混同しがちですが、ADMは灰色~青みを帯びた褐色で、米粒大ほどの大きさが特徴であり、肝斑とは色味や形状が異なります。
ADMに関しては原因がわかっていないので、なりやすい人の特徴も不明で予防法も確立されていないのが現状です。
脂漏性角化症
脂漏性角化症は、先に紹介した老人性色素斑を長期間放置したことによってできるイボのようなシミです。別名「老人性イボ」とも呼ばれます。
肌色~黒色で大きさはバラバラ。シミの辺りにわずかな盛り上がりがあることから、他のシミとは見分けがつきやすいでしょう。
基本的には良性なので、治療の必要はありません。ただし、少しでも異変を感じた場合は、皮膚科に相談するのがおすすめです。
脂漏性角化症の予防方法
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
医療機関にかかる前にシミの種類をセルフチェックしたい人は、下記のシミ審断をお試しください。簡単な質問に答えるだけで、今あるシミの種類や改善方法がわかります。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
できてしまったシミを消す方法
既にできてしまったシミは、次のようにセルフケアで改善できるシミとできないシミに分かれます。
【自分で改善できるシミの種類】
- 老人性色素斑
- 炎症後色素沈着
【自分で改善できないシミの種類】
- そばかす(雀卵斑)
- ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
- 脂漏性角化症
- 肝斑
そばかす(雀卵斑)は主な発生原因が遺伝と言われています。紫外線によってできるものもありますが、改善にはレーザー治療が一般的です。
また、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、原因が分からないため、自力での対処は難しいでしょう。
脂漏性角化症においては、除去するために液体窒素や炭酸ガスレーザーを用いる必要があります。
肝斑は、ホルモンバランスの乱れが原因であるため、生活習慣を改善すればある程度の効果は期待できます。ただし、30~40代は女性ホルモンの分泌が活発な時期でもあるため、自然に消えることは期待できません。
これらを踏まえたうえで、「自分で改善できない」シミをはじめ、シミの改善には次のような対策が有効です。
対策 | メリット | デメリット |
美白化粧品 | 手軽に続けられる | 効果を感じるまで数ヶ月かかる |
医薬品 | 特定のシミに高い効果が期待できる | まれに副作用が出ることがある |
レーザー治療 | 即効性が高い | 2週間ほどダウンタイムがある |
美白化粧品
シミを予防する最も基本的な対策は「保湿」です。肌のうるおいが保てていると、外部から刺激を受けてもダメージを負いにくくなります。
保湿に使う化粧品をビタミンC誘導体やトラネキサム酸、グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)などの美白成分入りにするとさらに効果が高まるでしょう。
美白化粧品によるシミ対策の良いところは、「気軽に続けられる」点です。
医療機関にかかるよりも費用を抑えられるうえに、ドラッグストアで購入できるため、病院での待ち時間も発生しません。
一方で効果の即効性が期待できない点はデメリットと言えます。
注意しておきたいのが一般的に「シミに効く」とされている化粧品は、「予防」を目的としている点です。
シミの改善を期待する場合は、以下の記事で紹介している美白成分を参考に化粧品を選ぶことをおすすめします。
美白化粧品が有効なシミの種類
- 老人性色素斑
- そばかす
医薬品
飲み薬や塗り薬などの医薬品を使ったシミ対策方法です。
特にADMと脂漏性角化症“以外”のシミには塗り薬が有効。ハイドロキノンという成分が入った塗り薬を3ヶ月継続すれば、ほとんどのシミを薄くできます。
また、肝斑には「トラネキサム酸」や「ビタミンC」が入った飲み薬も効果的です。ただし、医薬品での改善には副作用が伴う場合があるため、注意が必要です。
また、飲み薬は市販でも手に入りますが、塗り薬を希望する場合は、医療機関で処方してもらわなければいけません。
いずれにしても安全性を考慮して、まずは医療機関に相談するのがおすすめです。
医薬品が有効なシミの種類
- 炎症後色素沈着
- 肝斑
レーザー治療
皮膚科や美容皮膚科でのレーザー治療でもシミを薄くできます。
即効性が期待できる反面、レーザーを照射した部分は赤みと腫れがでます。肌の状態が落ち着くまでに2週間ほどのダウンタイムが必要である点は留意しておきましょう。
また、濃いシミには複数回の治療が必要になることもあります。
さらに、レーザー治療も万能ではありません。レーザー治療を受けたことで逆にシミが濃くなったという事例もあるので、治療を受ける場合は、医師とよく相談することをおすすめします。
レーザー治療が有効なシミの種類
- 老人性色素斑
- 炎症後色素沈着
- そばかす
- ADM
- 脂漏性角化症
シミと間違えやすい症状
シミのように見えているものが、実は病気の一種であることもあります。それぞれの病気の特徴を紹介するので、ご自身のシミの特徴と照らし合わせてみてください。
病気 | イメージ | シミの特徴 | 現れやすい体の部位 |
悪性黒色腫 (メラノーマ) | ・黒褐色 ・左右非対称 ・直径6mm以上 ・周りとの境界がはっきりしない | ・足の裏 ・手のひら ・手足の爪 | |
表在型基底細胞癌 | ・黒く1~2mmの盛り上がり ・次第に複数集まり円状・楕円状になる | ・鼻 ・まぶた ※上記を基本に身体中 | |
日光角化症 | ・淡紅色~濃い褐色 ・直径1~2センチ大 ・表面が少しかさかさしている | ・顔(特に頬骨辺り) ・腕 |
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫(メラノーマ)とは、メラノサイト細胞ががん化することで発生する悪性腫瘍です。発生には人種差があり、日本人では10万人に1~2人の割合で発生する珍しいがんです。
一般的にホクロが悪化した腫瘍と考えられており、左右非対称でギザギザした形が特徴。基本的には黒色ですが色ムラができる場合もあり、良性のホクロとの見分けがつきにくい傾向にあります。
進行すると転移するので、早期発見・早期治療が肝心とされています。
日本人の場合、足の裏や手のひら、手足の指や爪などの末端部分にできることが多いので、こうした部位に上記のようなシミやほくろっぽいものができた場合には、一度受診してみることをおすすめします。
表在型基底細胞癌
表在型基底細胞癌とは、表皮の最下層にある基底細胞や、毛根を包む組織である毛包を構成する細胞から発生する皮膚がんです。
明確な原因はわかっていませんが、紫外線や外傷、やけど跡、放射線が原因で発症していると考えられます。
表在型基底細胞癌は黒く1~2mm隆起した病変が見られ、次第に複数の黒点が集まり、円や楕円状に広がっていきます。
放置しておくと、病変の中央部は深部まで組織が壊れ、そこを中心に周辺組織も破壊することがあります。
鼻やまぶたにできることが多いですが、身体のどこにでも発生。ただし、転移することは極めて稀です。
命を落とすような病気ではありませんが、周辺組織を破壊するため、黒く盛り上がったほくろのっぽいものができた場合は、早めに受診するようにしましょう。
日光角化症
日光角化症とは紫外線によってできる皮膚がんの一種で、紫外線を浴びやすい顔や手の甲に好発します。
表面がカサカサしており、赤いかさぶたのようになっているのが特徴。皮膚の浅い層にできる初期がんで、日光角化症の状態では転移の心配はありませんが、放置していると次第に盛り上がり、有棘細胞がんに移行することもあります。
一見シミのように見えてしまいますが、自己判断は危険です。「赤みを帯びてカサカサした」シミのようなものができた場合は、皮膚科を受診して、医師の判断を仰ぎましょう。
シミの原因を知って自分に合ったケアを
シミは種類によって原因がことなります。そのため、自分にできたシミの原因を知りたい場合、まず種類を特定するのが近道。種類と原因が分かれば、適切にシミにアプローチできるようになるでしょう。
ただし、シミは形もさまざまなので、自己判断が難しい場合があります。そんなときシミ審断をご活用ください。簡単な質問に答えるだけ。3分でシミの種類と改善方法がわかります。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。