シミは肌のターンオーバーにより、メラニンが排出されることで薄くなります。肌の表面近くにメラニンが押し出された治りかけの状態では、今までより濃くなったように感じる場合もあるでしょう。この記事では、治りかけに濃くなる可能性があるシミの種類、治りかけ以外に濃くなる理由、今あるシミの改善方法について解説します。
シミは治りかけに濃くなるって本当?
シミは消える前に濃くなるという噂が、質問を投稿できるyahoo!知恵袋などのサイトで話題です。結論として、シミは治りかけに濃く見えることがあるのは本当です。
肌のターンオーバーにより、シミの元となるメラニンが肌の外に徐々に押し出されることで、シミは次第に薄くなります。メラニンが完全に排出される一歩手前の、肌の表面近くにある状態では、シミの色調が変化することにより一時的にシミが濃くなったように感じることがあるでしょう。
なお、シミが薄くなる過程で一時的に色が濃く感じることを、好転反応とは呼びません。
治りかけに濃くなることがあるシミの種類
肌の浅い部分にできるシミは、治りかけに濃くなる可能性があると考えられます。治りかけに濃くなるシミの種類と特徴について紹介します。
老人性色素斑
老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)は、紫外線のダメージが主な原因となるシミです。紫外線を浴びる機会が多い人は、20代から気になり始めることも珍しくありません。
シミの大きさはバラバラですが、円形で茶色っぽく、境界線がはっきりしているのが特徴です。顔・体のどこにでもできる可能性があり、特に紫外線の当たりやすい部位によく見られます。
比較的肌の浅い部分にできるので、スキンケアなどで肌のターンオーバーを促すことにより、治りかけに濃く見えることもあります。ただし年齢を重ねるにつれ、紫外線のダメージが蓄積されて目立ってくることもあるので、注意深く観察しましょう。
炎症後色素沈着
傷やニキビ・やけど・湿疹などで肌が炎症を起こすと、メラニンが過剰につくられることがあります。炎症が治まった後、メラニンの排出がうまくいかず、肌に蓄積したものが炎症後色素沈着です。シミの色調やできる部位は、原因となったダメージによって異なります。
基本的には半年~1年以内の期間で、肌のターンオーバーとともに徐々に薄くなっていく傾向があります。そのため、メラニンが完全に排出されるまでの肌の表面近くにある期間は、濃くなったように感じるかもしれません。改善を早めるには、ターンオーバーを促進するスキンケアを行うのがおすすめです。
治りかけに濃くなる可能性が低いシミ:後天性メラノサイトーシス
肌の奥深くにできるシミとして代表的なのが、後天性メラノサイトーシス(ADM)です。灰色~青みがかった色のくすんだように見えるシミが、頬や下まぶた、おでこの辺りに現れるのが特徴です。20代以降でできる人が多く、発生原因は分かっていません。
シミの見分けに悩んだら、まずはこちらのシミ審断でセルフチェックするのがおすすめです。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
治りかけの兆候が分かりにくいシミの種類
肝斑や雀卵斑(そばかす)は、治りかけの兆候が分かりにくいシミです。何が原因で、どのような場合にシミの状態が変化するのか解説します。
肝斑
肝斑は、
女性ホルモンが影響していると考えられているシミです。ホルモンバランスの乱れをはじめ、紫外線や摩擦のダメージにより色が濃くなることがあるので、
色の濃淡で治りかけかどうかを判断するのは難しいでしょう。
反対に薄くなってきたので治りかけかと思ったら、その後に濃くなる可能性もあります。肝斑の改善には、トラネキサム酸配合の内服薬が効果的です。
雀卵斑(そばかす)
雀卵斑の主な原因は遺伝。セルフケアでの改善は難しく、そもそも自力で治すこと自体が困難ですので、治りかけを自分で判断することは稀です。皮膚科などでのレーザー治療が基本となります。
要注意!治りかけ以外にシミが濃くなる理由
シミは心身や肌のコンディションによっても、濃くなることがあります。治りかけ以外にも考えられる理由について解説します。
ホルモンバランスが乱れている
女性の身体と心は、二つの女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の影響を受けます。
生理前はメラニンの生成を促す黄体ホルモンが増えるため、肌に刺激を与えるとシミが濃くなることがあります。紫外線・摩擦・乾燥などには特に注意を払いましょう。
睡眠不足やストレスもホルモンバランスを乱す要因となり、シミの悪化につながります。
紫外線対策をおろそかにしている
照射量に変動はありますが、紫外線は一年中降り注いでいるので秋冬も気が抜けません。ゴミ出し・洗濯物干しなどで短時間に浴びた紫外線も、積み重なるとメラニンの過剰な生成につながります。
外出の予定がなくても、日焼け止めクリームを塗ることを習慣づけましょう。加えてUV効果のある下地やファンデーションを使用すれば、メイクと同時に紫外線対策が行えます。さらに長時間の外出では、日傘・帽子などを併用すると安心です。
肌を摩擦している
摩擦刺激を受けると、肌を守るためにメラニンが過剰に生成されます。スキンケアは大切ですが、擦りすぎ・触りすぎには要注意。特に皮膚が薄くデリケートな目の周りは、力が入らないよう中指と薬指を使ってケアしましょう。また洗顔時は、洗顔料をたっぷり泡立て、タオルは顔に押し当てるように水気を吸い取ると摩擦を軽減できます。
肌が乾燥している
肌が乾燥しているとバリア機能が低下し、紫外線などの外的刺激を受けやすくなります。バリア機能をしっかり働かせるには、水分と油分の両方をバランスよく補う保湿ケアが大事です。スキンケアアイテムは自己流で使用量を減らさず、規定の量を守りましょう。乳液やクリームなどのベタつきが気になる時は、2回に分けてなじませるのがおすすめです。
今あるシミを改善に近づけるには
少しでも早く改善したいシミ。治りかけであるかないかにかかわらず、シミの改善を目指すための方法を解説します。
シミの種類にあったケアをする
老人性色素斑と炎症後色素沈着であれば、シミをケアする成分を配合した化粧品で改善が見込めます。
ハイドロキノン配合の化粧品
シミの治療薬としておなじみの成分。市販の化粧品は、濃度が2%までと決められています。低濃度であっても、肌が弱い人は刺激を感じる場合があります。
グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)配合の化粧品
アトピー性皮膚炎緩和のために開発された、安全性が高い先進的な成分。メラニンの化学的構造を破壊し、退色させる働きがあるということが第三者機関によって確認されています。
シミが気になり始める30代の肌では、ターンオーバーの周期は約40日と言われているので、早ければケアを始めて1ヵ月過ぎたくらいから変化を感じる場合もあるでしょう。ただしターンオーバーが遅れている可能性も考慮し、3ヵ月くらいはしっかりケアをしながら様子を見てください。
シミのセルフケアの注意点
ビタミンCやプラセンタエキスなどの「美白有効成分」を配合した薬用化粧品(医薬部外品)は、一般的に「シミに効く」というイメージがありますよね。しかし
美白有効成分は、予防を目的としたものなので改善効果は期待できません。
ビタミンCの内服であれば、シミ改善にも役立ちます。サプリメントで摂ることもできますが、改善を目指すならサプリメントではなく医薬品を選ぶのがポイントです。
悪化させないための予防も行う
シミを薄くするには、改善策と同時に悪化させないための予防も必要です。先述の紫外線対策や、丁寧な保湿ケアも並行して行いましょう。またターンオーバーを促すスキンケアとして、AHA(フルーツ酸)配合の洗顔せっけんや美容液も効果的です。
あなたは大丈夫?シミが悪化する習慣
せっかくシミ改善のためのケアをしていても、方法が間違っていたり、生活習慣が乱れていたりすれば、シミが悪化してしまうことも。注意したいポイントを解説します。
ケアの方法を間違えている
セルフケアで改善が見込めるのは、主に老人性色素斑と炎症後色素沈着です。その他のシミは、レーザー治療や処方薬などで改善を目指します。ただし
肝斑など一部のシミは、レーザー治療で反対に悪化させてしまう可能性があるので、種類の見分けが大事です。
見分けに迷ったら、こちらのシミ審断で簡単なセルフチェックをしてみましょう。今あるシミがセルフケア可能かどうかも分かります。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
また、皮膚科などではハイドロキノンやレチノールなどの外用薬が処方されることがあります。シミに対して高い改善効果が見込めますが、使用中は肌が紫外線ダメージを受けやすい状態になります。紫外線対策が不十分だと、かえってシミを悪化させている可能性もあるので要注意です。
生活習慣が乱れている
睡眠不足やストレス・運動不足・食生活の偏りは、ホルモンバランスを乱すだけでなく、肌のターンオーバーを遅らせる原因にもなります。ターンオーバーが正常に行われないと、メラニンが肌の内部に滞ったままになるので、改善は難しいでしょう。ターンオーバーを促すために、日々心がけたい対策を紹介します。
- 睡眠:寝る4時間以上前に食事を済ませ、直前にはスマホやテレビなどの強い光を浴びないようにする。
- 軽い運動:帰り道に一駅分歩く、近所を散歩するなど、無理のない範囲で続ける。激しい運動はストレスになるので、無理は禁物。
- 食生活:タンパク質に偏らず、ビタミン豊富な緑黄色野菜やフルーツをバランス良く取り入れる。
ただし、ターンオーバーは正常スピードより早ければいいというものではありません。メラニン排出が早かったと感じたら、逆にホルモンバランスや生活の乱れが起きていると思い、日常生活を改善しましょう。
シミが濃くなるのは治りかけのサインの可能性あり!
老人性色素斑などの一般的なシミは、
肌のターンオーバーが正常に行われメラニンが押し出されている途中で、濃く見えることがあります。しかし
悪化によって濃くなることもあるので、間違ったケアをしていないか、シミの特徴や対処法を知ることが大切です。
もしシミの見分けに悩んだら、こちらのシミ審断を活用してみてください。いくつかの質問に答えるだけで、今あるシミの種類や対処法が分かります。
顔のシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。
- 【 医療法人社団禅銀座禅クリニック】あなたの美のかかりつけ医に