老人性色素斑を自分で治す方法|見分け方や保険適用できるかも解説

老人性色素班は加齢や紫外線によって発生するシミの一つです。自分で治す方法はいくつかありますが、まずは自身のシミが老人性色素班かどうかを正しく判別できるようにしておきましょう。でないと、治す方法を実施しても効果が現れない可能性があります。
本記事では、老人性色素班の見分け方や治す方法を解説。最後には、老人性色素班でなかった場合、自身のシミの種類がどういったものか知ることのできる「シミ審断」もご紹介しています。
老人性色素斑とは
老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)とは、「日光性色素斑」とも呼ばれており、加齢と紫外線によって発生するシミの一つです。こめかみや頬に現れやすく、円形で茶色っぽい特徴をしています(以下の画像参照)。また、30~50代の方に発生しやすいシミとなっているため、発生箇所や形状・色み、年齢が該当する場合には一番に疑うべきシミであると言えるでしょう。

老人性色素班は改善できるタイプのシミです。なので、特徴や見分け方を知って老人性色素班であることが判明したら治す方法を実施してみることをおすすめします。以降では老人性色素班ができる原因や見分け方を解説。
老人性色素斑ができる原因
「老人性」と名が付いてはいるものの、老人性色素班ができる主な原因は紫外線です。そのため、老人性色素班を予防するには紫外線対策を意識することが大事になってきます。紫外線を強く浴びる環境で過ごしている場合には、10代の方でも発生することがあるので気を付けなければいけません。
老人性色素斑ができやすい場所
老人性色素班は、こめかみや頬など顔にできるものが目立ちがちですが、紫外線を浴びる手の甲や腕にもできやすいです。強く紫外線を浴びるほどできやすいのが特徴であるため、顔に日焼け止めを塗っても、手や腕に塗るのを忘れてしまえば、塗ってない箇所の方ができやすくなってしまうでしょう。
老人性色素斑の見分け方
老人性色素班を見分ける際は、形状と色みに注目しましょう。「円形で茶色っぽい」という特徴があるため、その特徴と以下の画像を合わせて確認しつつ、自身のシミが老人性色素班に該当するかどうか判断してみましょう。ちなみに、老人性色素班は徐々に濃くなる傾向があるため、色が濃くなってきているシミについても該当する可能性があります。

シミが盛り上がっているなら「老人性イボ」の可能性も

老人性色素班と合わせて覚えておきたいのが「老人性イボ(脂漏性角化症)」。老人性イボは、老人性色素斑だったものが、歳を重ねるにつれて腫瘍化したものであると考えられています。見た目は濃い茶色〜黒色で肌の盛り上がりを伴っており、老人性色素班よりもかなり目立つのが特徴です。(上画像参照)
腫瘍とはいっても、基本的には良性なのですぐに治療の必要はありません。とはいえ、自然に消えることは無いため、気になる方は皮膚科に相談することをおすすめします。
ちなみに、ここまで老人性色素班の解説をしてきましたが、自身のシミが老人性色素班の特徴に完璧に当てはまらないという場合には、以下の「シミ審断」を活用してみてください。シミ審断を活用すれば、自身のシミの種類を判別できるだけでなく、シミの種類毎に最適な対処方法を提案してくれます。
あなたのシミは本当に老人性色素斑?3分でできるシミ審断を活用してみてください。
老人性色素斑を自分で治す方法

老人性色素班のような「シミ」は、自分で改善することができます。改善する方法には「セルフケア」と「美容医療」の2通りがあるので、以降の内容を参考にどの方法を選択するか検討してみてください。
皮膚科の美容医療 | セルフケア | |||
化粧品 | 医薬部外品 | 医薬品 | ||
薄くなるまでの期間 | 1ヶ月~ | 3ヶ月~ | 1ヶ月~ | 1ヶ月~ |
費用相場 | 数百円~数万円 | 1,000円~10,000円 | 1,500円~15,000円 | 2,000円~10,000円 |
効果の高さ | 高 | 低 | 中 | 中 |
おすすめの人 | いち早くシミを消したい人 | シミがメインの悩みではない人 | 改善よりも予防を重視したい人 | 化粧品や医薬部外品では改善できないシミを持つ人 |
メリット | 即効性がある | 費用が安い | 長期的にシミのできにくい肌を期待できる | 化粧品よりも改善を期待できる |
デメリット | 費用が高い治療もある | 多くの場合、効果は期待できない | 化粧品よりも若干高い | 定期的に通院する必要がある |
セルフケアの場合、改善に対する高い効果はそこまで期待できません。そのメインの効果はシミの改善よりも肌の保湿やターンオーバーの活性化であるため、どちらかというとシミの予防や肌の調子を整えたい方におすすめの方法と言えるでしょう。
もしシミ改善に高い効果を求めているのであれば、美容医療がおすすめです。美容医療には「レーザー治療」「フォトフェイシャル」「ケミカルピーリング」の3種類があり、それぞれ即効性に期待ができますが、場合によっては高い治療費がかかる可能性もあります。
セルフケア
セルフケアはその名の通り、自身で老人性色素班の改善を試みる方法です。使用する製品には、化粧品、医薬部外品、医薬品の3種類があり、予防を重視するなら医薬部外品、改善を重視するなら医薬品を使用してみてください。
*医薬部外品については、予防に留まる点に注意が必要です
また化粧品は高い改善効果は見込めませんが、研究が進んだ成分を用いれば安全に改善できるでしょう。以降では、これら3種類の製品について解説します。
化粧品
化粧品は主に保湿を目的としたものが多く、シミ改善自体を目的に販売されているものは無いと言えるでしょう。あくまでも、化粧品によって肌の保湿効果を高めて乾燥によるシミの発生を防ぎたい方向けにおすすめの方法となっています。
化粧品のなかにはビタミンC誘導体やプラセンタエキスなど、シミ予防に効果的な成分が配合されている製品もありますが、その効果は特別高いものではありません。そのため、シミ予防の観点からみても効果は比較的低いと言えるでしょう。
化粧品でのスキンケアがおすすめの人
- シミがメインの悩みではない人
- シミ予防をしたい人
医薬部外品
医薬部外品とは厚生労働省により、有効成分の効果・効能が認められている化粧品のことを指します。「防止・衛生」を目的に作られており、美白の医薬部外品の場合は「シミ・そばかすを防ぐ」予防機能に特化しているのが特徴です。
*医薬部外品は「薬用」と表記されていますので、製品を探す際は薬用表記があるかどうかに注目してみてください
つまり、医薬部外品は老人性色素班を改善するというよりも予防することに重点を置いているため、高い改善効果を求めている方にはおすすめできません。仮に美白有効成分が配合されていても、医薬品よりは効果が緩やかです。そのため医薬部外品は、老人性色素班が気になり始めたものの、これ以上増やさないことを重視したい方が利用すべき製品と言えます。
医薬部外品でのスキンケアがおすすめの人
- シミ改善よりも予防を重視したい人
- 日々のスキンケアで少しずつ改善を試みたい人
医薬品
医薬品とは「治療」を目的に製造された薬のことです。効果・効能は厚生労働省によって認められており、市販で購入できる内服薬が医薬品に該当します。市販で購入できる医薬品には錠剤タイプの飲み薬が多く、塗り薬のようなタイプの医薬品を希望する場合には、皮膚科を受診して処方してもらう必要があるでしょう。
セルフケアの中では最も効果に期待できる方法で、化粧品や医薬部外品では改善できないシミを持つ人におすすめです。ただ、市販ではなく処方してもらうタイプの医薬品を使用する場合には、定期的に通院する必要があります。
医薬品でのスキンケアがおすすめの人
- 化粧品や医薬部外品では改善できないシミを持つ人
- 定期的に皮膚科に通院できる人
スキンケア製品選びのポイント
セルフケアに使用するスキンケア製品を選ぶ際、製品にどんな成分が含まれているかを知ることが重要。以下の成分表に記載された成分とその効果について確認し、肌の悩みに合わせて最適な製品を選べるようにしておきましょう。
美白に役立つ成分 | 期待できる効果 |
ビタミンC誘導体 | メラニンの生成を抑制し、新陳代謝を高める。コラーゲンの生成も促進するため、シワを防ぎハリを取り戻す |
アルブチン | メラニンを生成するチロシナーゼの働きを抑制する |
トラネキサム酸 | メラニンの生成に必要なプロスタグランジンなどの働きを抑制。肌の炎症で起こる色素沈着によるシミ予防にも有効 |
プラセンタエキス | メラニンの生成や色素沈着を阻害。肌のターンオーバーを助けてくれる |
(ハイドロキノン) | メラニンの生成を抑制。メラニン色素を薄くする(脱色) |
(グリチルリチン酸) | 肌の炎症を抑え、色素沈着によるシミ予防に効果的 |
(ビタミンE) | 血行促進・新陳代謝の活性化により、肌のターンオーバーを促進 |
(セラミド) | 肌のバリア機能を支え、高い保湿効果がある |
(グリセナジーMK) | ターンオーバーを正常化させ、同時に肌表面のメラニンを分解するというダブルアクション。シミを薄くする効果が認められている。ヒト臨床試験でできてしまったシミ改善が報告された最先端成分 |
老人性色素班を少しでも改善するためには、ターンオーバーの助けになる成分が含まれる製品を選ぶことをおすすめします。ターンオーバーを促進する成分には、プラセンタエキス、ビタミンE、グリセナジーMKなどがあるので注目してみてください。
美容医療
老人性色素班が気になっていて、且つセルフケア以上の効果を求めている場合は美容医療を検討しましょう。美容医療なら比較的高い効果が見込めるだけでなく、即効性にも期待できます。もちろん個人差はありますが、シミの種類や体質によっては1回で改善効果がみられるケースもあるでしょう。
また、美容医療には以下3種類の治療法があり、それぞれ治療期間や費用相場が異なるため、自身の状況に合わせて最適な方法を選択してください。
治療法 | 治療期間の目安 | 効果の高さ | 費用相場 |
レーザー治療 | 3ヶ月~ | 高 | 5,000円~50,000円 |
フォトフェイシャル(光照射) | 6ヶ月~ | 中 | 10,000円~40,000円 |
ケミカルピーリング | 4、5ヶ月~ | 中 | 5,000円~25,000円 |
*美容医療では保険が適用されないので注意してください
老人性色素班にはレーザー治療とフォトフェイシャルがおすすめです。これら2つの治療法はシミ部分に直接作用するため、高い効果を得られます。ですが、費用が高くなってしまう点には注意です。
ケミカルピーリングは肌のターンオーバーを促すことでシミの改善を図る治療法で、レーザー治療やフォトフェイシャルと併用した方がシミに有効であると考えられています。以降では、それぞれの治療法についてさらに詳しく解説。
レーザー治療
レーザー治療は、レーザー光線を老人性色素班に当てることでメラニンを破壊する治療法です。直接作用するので治療効果が高く、短期間で改善効果を実感したい人向けの治療法と言えます。ただし、肌に合わないとシミを濃くしてしまう可能性があるため、治療前に担当医とよく相談してから行うようにしてください。
また、治療費は治療する範囲によって費用が異なります。表では5,000~50,000円と記していましたが、サイズ感によってはもっとかかることもあります(一部のピコレーザーではとても高額になるものもあります)。治療期間の目安は約3ヶ月で、1~5回ほど治療を受ければ改善効果を実感できるでしょう。
レーザー治療がおすすめの人
- 短期間で治療を終えたい人
- 消したいシミの範囲が狭い人
フォトフェイシャル
フォトフェイシャルとは、IPL(インテンス・パルス・ライト)と呼ばれる光を照射して、メラニン色素にダメージを与え、浮き上がらせることで排出を促す治療法です。老人性色素班の改善以外に、肌の色ムラといった肌トラブルの改善にも期待できます。
費用相場は1回10,000円~40,000円と少し高めの設定ですが、肌が弱い人でも受けられる強みがあります。
*フォトフェイシャルは同じメニュー名でも、マシンによって全く価格感が異なります
なぜなら、レーザー治療よりも弱い光で、かつケミカルピーリングのように酸性の薬剤を使用しないからです。「肌はあまり強くないけれども、老人性色素班の治療を受けたい」といった場合におすすめの治療方法でしょう。
フォトフェイシャルがおすすめの人
- 肌が弱い人
- 毛穴の目立ちや肌の色ムラ、ほかの肌トラブルも改善したい人
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングとは酸性の薬剤を使用して古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促すことで老人性色素班の改善を図る治療法です。レーザー治療やフォトフェイシャルのようにスポットで治療するのではなく、顔全体に治療を施すタイプとなっており、老人性色素班だけでなく、ニキビやシワ、くすみなどの肌トラブルの改善効果も見込めます。
*酸性の薬剤を使用するため、肌のコンディションによっては痛みや炎症などを招く可能性があるので注意してください
費用は1回5,000~25,000円となっており、サリチル酸など皮膚科でよく行われているピーリングは比較的安価のところも多いですが、2023年4月現在、値段が上がっているところが多いです。また、治療期間の目安は6ヶ月と最長です。そのため、即効性に期待はできませんが、顔全体の肌の美しさを求めるには最適な治療法と言えます。
ケミカルピーリングがおすすめの人
- 肌代謝を促し、本来の美しさを取り戻したい人
- 治療費を安くおさえたい人
本記事では、老人性色素班のようなシミに悩む方向けに「シミ審断」をおすすめしています。自身が悩んでいるシミがどの種類に該当するのか正しく認識しておかないと、いくら対処法を実施したとしても効果が生まれない可能性があります。シミ審断ではいくつかの質問に答えることでシミの種類を知ることができ、あわせてそのシミに対する対処方法も提案してくれますのでぜひ試してみてください。
あなたのシミは本当に老人性色素斑?3分でできるシミ審断を活用してみてください。
よくある質問

老人性色素斑に効く市販薬はある?
あります。医薬品として販売している飲み薬などがあるので、ドラッグストアなどで店員の方に相談してみましょう。
老人性色素斑に効く塗り薬はある?
老人性色素班に効く塗り薬は基本的にありません。予防するための塗り薬は市販でありますが、改善を希望する場合は皮膚科に行って処方してもらいましょう。
老人性色素斑の治療で保険適用はある?
基本的に保険は適用されません。費用を押さえたい場合はケミカルピーリングによる治療法がおすすめですが、高い効果に期待したい場合は少し高いですがレーザー治療やフォトフェイシャルで治療することをおすすめします。
「シミ審断」を活用して効果的にシミを改善しよう
老人性色素班ができてしまって悩んでいるのであれば、少しでも早く改善を試みることをおすすめします。老人性色素班は時間が経過すると色が濃くなっていき、場合によっては老人性イボになってしまうこともあるでしょう。
以上の様にシミは放置すると将来的に色が濃くなるなどの変化を引き起こすことがあります。ですので、老人性色素班に限らず他のシミの種類においても素早く対処するのがおすすめです。
それぞれの対処法については、以下の「シミ審断」を活用すれば知ることができます。「シミがあるけど種類があるのは知らなかった…」「色々調べているけど、自分のシミがどういった種類なのか分からない…」といった状況に置かれている方は、ぜひ一度気軽にシミ審断を利用してみてください。
あなたのシミは本当に老人性色素斑?3分でできるシミ審断を活用してみてください。

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。