鼻にできるシミの原因と種類|できてしまった鼻のシミの消し方は?

「鼻にシミができてしまった・・・」

鼻は顔の中央にあるうえに高さがあるため、顔全体にシミができるよりも目立ちやすい傾向にあります。そのため、人と話すときに鼻のシミを見られているかもしれないと気になる人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では鼻にできるシミの原因をはじめ、種類別の改善方法や対策にも触れているのでぜひ参考にしてください。

鼻にシミができる原因

鼻にシミができる原因はシミの種類によって異なりますが、鼻をはじめ、顔にシミができるメカニズムは基本的に同じです。

皮膚の一番外側にある表皮は「表皮細胞(ケラチノサイト)」と「色素細胞(メラノサイト)」で構成されており、紫外線を浴びると色素細胞であるメラノサイトでメラニンが生成されます。

生成されたメラニンは通常、約28日周期のターンオーバー(新陳代謝)によって皮膚の内側から外側に移動したのち、古い細胞とともに排出されます。

しかし、紫外線ダメージの蓄積やストレス、ホルモンバランスの乱れなどによってターンオーバーの周期が乱れると、メラニンがうまく排出されずに肌に残ってしまうのです。

これがシミのできるメカニズムです。ちなみに、そばかすなど遺伝的要因でできるシミや肌の摩擦による炎症が原因でシミができることもあります。

鼻は顔のなかでも高さがあり、紫外線が当たりやすいことからシミができやすい部位として知られています。

また、昨今では新型コロナウイルスの影響により長引くマスク生活にも原因があると言えます。長時間のマスク生活は、摩擦や蒸れ、またマスクを外したときに肌内部の水分も一緒に蒸発してしまうため、乾燥を引き起こす原因に。

その結果、ニキビができたり、もともとあったニキビが悪化したりして炎症が続いてしまい、肌を守るためにメラニンが過剰生成されてシミができることも考えられます。

鼻にできるシミの種類

鼻にシミができた場合は、まずはその種類を把握しないことには適切な対処ができません。ここでは鼻まわりにできやすい5つのシミを紹介するので、鼻にできているシミの特徴と照らし合わせながら読み進めてください。

シミの種類特徴鼻周辺でできやすい箇所主な原因
老人性色素斑
・円形で茶色っぽい
・年齢とともに徐々に濃くなる傾向
鼻筋・紫外線
・加齢
炎症後色素沈着
・褐色で色ムラがある
・輪郭がぼやけている
・鼻筋
・鼻根
・ニキビや傷による炎症
・メガネやマスクなどの摩擦
肝斑
・顔全体に左右対称にできる
・薄茶色から茶褐色
・輪郭がぼやけている
鼻の下・摩擦
・ホルモンバランスの乱れ
そばかす
・茶色い粒状
・顔全体に左右対称にできる
・鼻の頭
・鼻根
・遺伝
・紫外線
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
・青~黒色の粒状
・左右対称にできる
小鼻不明

次章で各シミの特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。

老人性色素斑

老人性色素斑は紫外線ダメージの蓄積や加齢によってできます。茶色~黒色で円形のシミで、境界線がはっきりしており、顔や手、腕などできる範囲に規則性はなく、大きさも数ミリ~数センチとまちまちです。鼻周辺では鼻筋にできやすい特徴があります。

老人性色素斑は名前のとおり加齢に伴い頻出するシミではありますが、紫外線ダメージが蓄積することによっても出現するため、紫外線をよく浴びる人であれば10代からでも見られます。

加齢については完全な対策というものがありませんが、紫外線ダメージの蓄積は対策を行っていれば防げるので、まずは紫外線対策で予防を行うのがおすすめ。

また老人性色素斑はレーザー治療も有効ですが、内服薬や外用薬などを使ったセルフケアでも対策できます。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着はケガや虫刺され、ニキビ跡などの炎症後に肌のターンオーバーが乱れ、メラニン色素が上手く排出されないことによってできるシミです。褐色で色ムラがあり、輪郭がぼやけているのが特徴です。

ケガや虫刺されなどは年代問わず関係してくるので、炎症後色素沈着は全年代、誰にでも起こりえるシミと言えるでしょう。

鼻周辺では、両目の間の鼻根(びこん)から鼻先までの鼻筋に多く見られます。ただし、炎症後色素沈着の原因である虫刺されやケガなどはどこにでも起こりうるものなので、鼻周辺だけでなく全身にできる可能性があります。

炎症後色素沈着は、クレンジングや洗顔時の摩擦によってできることもあるので、スキンケアをはじめ、いかなる時でも肌を強くこすらないように注意しておきましょう。

基本的には時間の経過とともに薄くなっていくシミではありますが、知らず知らずのうちに摩擦を加えている場合があり、炎症を繰り返すことで濃くなる恐れがあります。

ただし、炎症を起こさないように普段から丁寧なスキンケアを心がけていれば改善可能なシミです。

肝斑

肝斑は頬骨や額などに左右対称に現れます。鼻周辺では鼻下によく見られるシミです。色や分布からそばかすと混同することもありますが、両者の違いは次のとおりです。

  • そばかす:小さめの粒状で広範囲にわたってできる。夏場に濃く、冬場は薄くなる
  • 肝斑:比較的大きめのシミが広範囲にわたってできる。ホルモンバランスや季節によって濃さが変化する

肝斑ができる根本的な原因は分かっていませんが、改善には内服薬が効果的です。また、肝斑はホルモンバランスの乱れや紫外線によって悪化します。

そのため、普段から紫外線対策を行い、ホルモンバランスが整うように規則正しい生活習慣を心がける必要があります。

そばかす

そばかすは幼少期から思春期にかけてよく見られるシミです。主な原因は遺伝と言われており、成長するごとに薄くなっていく傾向がありますが、紫外線をよく浴びる環境に身を置いていると悪化することもあるので、普段から紫外線対策をしっかりする必要があります。

鼻周辺では鼻の頭や鼻根にできやすいですが、それ以外にも頬をはじめ、腕などの身体にも発生。特に色白の人にできやすいシミだと言われています。

遺伝的要素が大きいそばかすは、セルフケアではどうにもならないため、レーザーやフォトフェイシャルによる治療が必要で、改善には時間がかかります。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

発生原因が不明なADMは、20歳頃から見られることが多く、ほかのシミとは異なり肌の深い部分にできるため、アザに分類されることもあるシミです。

小鼻をはじめ額や頬に好発。好発部位が似ているため肝斑と混同されがちですが、ADMは灰色~青みを帯びた褐色で、米粒大ほどの大きさが特徴であり、薄茶~茶褐色で輪郭がぼやけている肝斑とは色味や形状が異なります。

ADMに関しては原因がわかっていないので、予防法も確立されていないのが現状です。改善したい場合は、レーザー治療が効果的です。

本気で治したいなら、まずは自分のシミを知ることから。しかし、シミは種類が多いうえに、見分けがつきにくいことも多いので、セルフチェックでは誤診断を下してしまうこともあります。

シミの認識を誤ってしまうと適切な対処ができなくなるので、医療機関にかかる前にシミのセルフチェックを行いたい人は、簡単な質問に答えるだけで今あるシミの種類や改善方法が分かる、下記のシミ審断をご利用ください。

あなたのシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。

鼻にできたシミを消す方法

鼻にできたシミは種類にもよりますが、完全に消すことは難しいですが、いずれのシミも薄くすることは可能。ただし、治療法は、次のようにシミの種類によって異なります。

シミの種類内服薬外用薬レーザー治療
老人性色素斑
炎症後色素沈着
肝斑×
そばかす
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)××

老人性色素斑と炎症後色素沈着は主に内服薬や外用薬による治療を行います。肝斑は外用薬での治療も可能ですが、内服薬をメインに治療を実施。

多くのシミにはレーザー治療が有効的ですが、肝斑にいたっては悪化の可能性があるため、基本的には行いません。反対にADMでは主にレーザー治療が用いられます。

シミは種類によって適切な対策方法が異なりますが、大きく分けて『シミ取りレーザー』と『セルフケア』の2つの方法があります。シミ・コンシェルジュが行ったシミ対策に関するアンケート調査では、以下のような結果となっています。

調査概要:シミ対策に関するアンケート調査
調査期間:2022年9月1日~2023年2月28日
調査人数:5,673名
調査方法:インターネット調査(株式会社メディプラス製薬)
シミを対策したい人の多くが、美白系化粧品などを使用してセルフケアでの改善を目指していることがわかります。つまりそれは、病院やクリニックで診てもらうことなく、シミの状態を自分で判断している人が多いということでもあります。

しかし、上記で紹介したように実はシミにはたくさんの種類があるため、正しいケアができていない可能性がございます。そのため、まずは『シミ審断』でご自身のシミを種類を特定し、種類に応じて効果が見込めるケア選びから始めましょう。

内服薬

軟膏・クリームなどの外用薬やレーザー治療など、外からの働きかけによる対処が難しいシミには内服薬で改善を試みます。

内服薬で改善効果が期待できるシミの種類は次のとおりです。

■内服薬で改善が期待できるシミの種類

  • 老人性色素斑
  • 炎症後色素沈着
  • 肝斑
  • そばかす

このうち肝斑は内服薬での治療が主流です。内服薬には次のようなシミ改善効果が期待できる成分が含まれています。

■内服薬に含まれる主な成分

成分期待できる効果
ビタミンCシミの元であるチロシンを活性化させるチロシナーゼの働きを抑え、シミの発生を防ぐ。さらに、濃くなったメラニンを薄くする効果も
L-システイン体内から代謝を促す働きがあり、ターンオーバーを正常化してくれる。抗酸化作用もあるため、肌荒れ・ニキビなどシミの元凶も予防できる
トラネキサム酸アミノ酸の一種。メラニンを活性化させるプラスミンという酵素を抑制する働きがある。炎症を抑える作用もあるので、ニキビやケガによるシミの予防効果も
ビタミンE新陳代謝をサポートする作用があり、ターンオーバーの健全化に期待が持てる。皮脂膜を安定させるバリア機能もあるので、外からの刺激や紫外線から肌を守る効果がある

内服薬は医療機関で処方してもらうほか、薬局などで市販の医薬品としても入手可能。内服は医師や薬剤師の指示に従い、用法・用量を守って使用しましょう。

外用薬

外用薬は、軟膏やクリームなどを直接肌に塗ってシミの改善を試みる治療法です。外用薬が有効なシミの種類は次のとおりです。

■外用薬で改善が期待できるシミの種類

  • 老人性色素斑
  • 炎症後色素沈着
  • 肝斑
  • そばかす

外用薬には次のような成分が含まれており、特に老人性色素斑や炎症後色素沈着に有効です。肝斑に用いる場合は飲み薬との併用が効果的です。

■外用薬でシミ改善に期待できる成分

成分期待できる効果
トレチノインターンオーバーを促進する作業があり、角層に蓄積したメラニンの排出を促す
ハイドロキノンメラニン色素の生成を抑制する働きがある

いずれもシミに効果的な成分ですが、場合によっては刺激が強いため、痛みや赤み、かゆみが出ることもあります。また、ハイドロキノンは塗布後に紫外線を浴びてしまうと皮膚がただれる可能性もあるので注意が必要です。

体質に合わない場合は、ほかの薬を処方してもらうこともできるので、担当医に相談してみましょう。

ちなみに老人性色素斑においては、グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)のような、「シミの改善が期待できる成分」が入った化粧品でケアすることでも改善効果が見込めます。

レーザー治療

レーザー治療ではレーザー光線を肌に当て、シミの原因となるメラニン色素を破壊します。レーザーには種類があり、波長によってメラニン色素のみに反応するものや、皮膚の深部にある色素を除去できるものもあります。

即効性が高い反面、1週間ほど照射箇所にかさぶたができるダウンタイムがある点には注意が必要です。

レーザー治療が効果的なシミの種類は次のとおりです。肝斑の場合は、レーザー治療を行ってしまうとかえって悪化するおそれがあるので、基本的にはレーザー治療は用いません。

■レーザー治療で改善が期待できるシミの種類

  • 老人性色素斑
  • 炎症後色素沈着
  • そばかす
  • 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

■レーザー治療の注意点

  • 人によっては多少の痛みを感じることがある
  • 治療後は炎症後色素沈着が起きる
  • 一時的にシミが濃くなることがある
  • ダウンタイムがある
  • 逆効果になることもある

レーザー治療も絶対的な方法ではないため、デメリットも把握したうえでよく担当医と相談して、治療を受けるかどうかの判断を行いましょう。

鼻のシミを悪化させないための対策

鼻のシミをこれ以上、悪化させないためには、普段から次のような対策を取っておくことをおすすめします。

  • 紫外線対策
  • 美容液の使用
  • ターンオーバーの促進

シミの原因の元にもなる紫外線は、すでにあるシミを悪化させる要因にもなるので紫外線対策は必須です。また、シミに効果が期待できる美容成分が入った美容液の使用やターンオーバーを促す生活習慣を送ることもシミ悪化の予防になります。

紫外線対策

紫外線は一部のシミの原因になったり、すでにあるシミを悪化させたりするため対策が必須。年中降り注ぐものなので季節問わずに日焼け止めを使用しましょう。

また、紫外線は窓ガラスも通過するため、外出予定がない日でも日焼け止めは塗っておくにこしたことはありません。夏場は特に汗で落ちやすいので、こまめに塗り直すことも必要です。

日焼け止めを選ぶ際に目安となる数値は次の2つがあります。

  • SPF

肌を赤く炎症させる原因であるUVB波をブロックする。数値が大きくなるほど防御時間も長くなる。シミ予防・対策で重視したい数値。勘違いされやすいが、数値の大きさは防御力の高さではなく、時間の長さ。

  • PA

肌の奥まで届いてシミの原因になるUVA波をブロック。「+」が多いほど効果が高くなるが、同時に肌への負担も増えるので注意が必要

数値が大きくなるほど紫外線からの防御効果も高くなるのは間違いありませんが、肌への負担も大きくなるので、生活シーンに合わせて最適な日焼け止めを選ぶようにしましょう。

引用:環境省 紫外線 環境保健マニュアル 2020

商品にもよりますが、日焼け止めの品質保持期間は未開封の状態で「3年以内」が目安です。ただし、開封済みのものは、劣化が進んでいる可能性が高いので去年買ったものは使わないようにしましょう。

また、日焼け止めとあわせてサングラスや日傘、つばの広い帽子、アームカバーなどを利用すると紫外線の予防効果が高まります。

より詳しい紫外線対策について、下記の記事で解説しているのであわせてご確認ください。

美容液の使用

老人性色素斑と炎症後色素沈着には、美容液による対策も効果的。それぞれに有効な美容成分は次のとおりです。

老人性色素斑に効果的な美容成分

  • ビタミンC誘導体
  • アルブチン
  • トラネキサム酸
  • プラセンタエキス
  • ハイドロキノン

炎症後色素沈着に効果的な美容成分

  • グリチルリチン酸
  • ビタミンE
  • セラミド

鼻にできたシミが老人性色素斑、または炎症後色素沈着の場合は、上記の有効成分が含まれている美容液を選んでみましょう。ただし、美容液や化粧品においては「予防」を目的としており、改善は期待できない点には注意が必要です。

一方、シミを薄くする効果が認められている「グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)」という美容成分が現在、注目を浴びています。もともとはアトピー性皮膚炎や床ずれの治療で活躍していた成分ですが、肌に塗布することでシミの原因であるメラニンの構造を破壊することがわかっており、シミへの改善効果も期待できます。

シミに効く成分については、下記の記事でも詳しく説明しているので、化粧品や美容液選びの参考にしてください。

ターンオーバーの促進

鼻まわりにできやすい老人性色素斑と炎症後色素沈着は、ターンオーバーの乱れを整えることで改善効果や悪化の予防が可能です。ターンオーバーが乱れる主な原因には次の2つが挙げられます。

  • 代謝の低下

加齢をはじめ、寝不足、ストレス、過度なダイエットによる栄養不足、冷え性などが原因

  • 外的要因による刺激

紫外線ダメージの蓄積、肌に合わない化粧品の使用、保湿ケア不足による肌の乾燥など

ターンオーバーを促進するには、保湿ケアや摩擦の軽減、睡眠・運動の習慣を取り入れることが大切です。睡眠に関しては、必要な時間は人それぞれですが、6~8時間は確保したほうが良いでしょう。

あわせて散歩やバレーボール、体操などの運動を毎週60分以上、または一駅歩いて帰ったり、エレベータではなく階段を使ったりするなど普段から少しだけ意識して運動を行うのがおすすめです。

ターンオーバーを正常化するための方法は、次の記事にも記載しているので参考にしてください。

鼻のシミは種類を特定して正しい対策を

鼻にできるシミにはさまざまな種類があり、シミの種類によってできる原因や対策が異なります。そのため、なぜシミができたのか、原因を知るためにもまずはシミの種類を特定する必要があります。シミの種類がわかれば、原因とともに生活習慣の改善など対策方法も見えてくるでしょう。

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監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。

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