ニキビ跡のシミの原因と対策|種類や治るまでの期間を解説

誰しもが一度は悩んだことがあるであろう「ニキビ」は、それ自体が治まってもニキビ跡として肌に残りやすいです。ニキビ跡が肌に残っているせいで、「美肌を目指してスキンケアを続けても理想的な肌の状態にならない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事ではニキビ跡の種類や原因、改善方法・予防方法を解説。自身の肌のシミの状態を正しく把握することで、これから取り組むべき肌ケアの内容を明確にできます。最後には、ニキビ跡以外のシミについても知ることができる「シミ審断」のご紹介もしていますので、シミに悩んでいる方はぜひ活用してみてください。

ニキビ跡のシミは消える?

シミにはいくつかの種類があり、ニキビ跡のシミは「炎症後色素沈着」というシミに分類されます。炎症後色素沈着は輪郭がぼやけていて色ムラがあるのが特徴で、しっかりとケアをすれば改善できます。

ただし、ニキビによって発生するニキビ跡は炎症後色素沈着のようなシミだけではありません。どんな種類のニキビ跡なのかを認識し、それに対して正しいケアをしないと改善は見込めないので注意が必要です。次項では、ニキビ跡の種類とそれぞれが発生する原因を解説。適切なケアをするためにも、内容を押さえて自身の肌について正しく理解しましょう。

ニキビ跡の種類と原因

ニキビ跡には以下の3種類があります。

  • 赤み
  • 色素沈着
  • クレーター状

ニキビが発生した際、ニキビ周辺が一緒に赤くなることを「赤み」、ニキビの炎症によって残る茶色いシミのことを「色素沈着」、ニキビの炎症がひどく、傷がそのまま陥没してしまった部分のことを「クレーター状」と言います。これら3つのニキビ跡は、ニキビができると誰しもが発生する可能性があるため、以降でそれぞれの特徴を正しく押さえておくことが大切です。

赤み

ニキビのように炎症が発生すると、周辺の毛細血管が炎症部分に集中して周辺が赤くなります。このように赤みを帯びたニキビ跡のことを「赤み」と言います。

赤みはニキビの治まりにあわせて消えていくのがほとんどですが、炎症の度合いが強いとそのまま赤みを帯びた跡として残ったりもするのが特徴です。炎症の度合いが酷いと化膿してしまうこともあり、場合によっては目立つ濃い赤色のニキビ跡になってしまうこともあります。

色素沈着

色素沈着は、ニキビが治まった後に残ってしまう茶色いシミのことです。ニキビによる肌へのダメージが大きいと、肌は防衛反応としてメラニン色素を発生させ、これが過剰に生成されて肌に残ってしまうと色素沈着というニキビ跡になります。

先述した「炎症後色素沈着」は、一般的にこのニキビ跡や傷跡に該当します。色素沈着はシミとして分類されるため、ターンオーバーの活性化などによって改善することが可能です。ただし、炎症の度合いが酷すぎると色みが消えずに残ってしまう場合があるので、ニキビが悪化しないように対処することが大事になってくるでしょう。

クレーター状

クレーター状は、ニキビによるダメージが大きすぎるがゆえに、治まった後に残ってしまう肌表面の凹みのことです。炎症が酷くなりすぎると、ダメージが皮膚の「真皮」という部分にまで達してしまい、その結果、真皮が破壊されて凹みになってしまいます。また、発生したニキビを過度に触りすぎたり、自らの手でつぶしてしまったりしてもクレーターになることがあるので気を付けましょう。

基本的に、クレーター状のニキビ跡は自然治癒やセルフケアで改善するのは難しく、皮膚科などで治療を受ける必要があります。

ちなみに、ニキビによって発生する跡の中で「赤み」と「クレーター状」はすぐに判別がつきますが、「色素沈着」の場合はニキビ以外の理由で発生したシミと判別がつかない可能性があります。シミはニキビによる色素沈着だけではないので、適切なケアをするためにも自身のシミの種類を正しく認識することが大切です。

以下の「シミ審断」では、質問に答えるだけで自身の肌にあるシミの種類を知ることができます。ニキビ跡と他の原因で発生したシミを判別するためにもぜひ一度活用してみてください。

あなたのシミは本当に炎症後色素沈着?3分でできるシミ審断を活用してみてください。

ニキビ跡のシミを改善する方法

ニキビ跡の中でも特に色素沈着のようなシミは、「セルフケア」や「美容医療」によって改善できます。以降では、シミを改善する方法としてセルフケアで使用する3種類の製品と美容医療をご紹介。自身に最適な方法が選択できるように、各内容を参考にしてみてください。

 皮膚科の美容医療セルフケア
化粧品医薬部外品医薬品
薄くなるまでの期間1ヶ月~3ヶ月~1ヶ月~1ヶ月~
費用相場数百円~数万円1,000円~10,000円1,500円~15,000円2,000円~10,000円
効果の高さ
おすすめの人いち早くシミを消したい人シミがメインの悩みではない人改善よりも予防を重視したい人化粧品や医薬部外品では改善できないシミを持つ人
メリット即効性がある費用が安い長期的にシミのできにくい肌を期待できる化粧品よりも改善を期待できる
デメリット費用が高い治療もある多くの場合、効果は期待できない化粧品よりも若干高い定期的に通院する必要がある

セルフケアの場合、シミ改善に対する効果はそこまで高くありません。セルフケアの主たる目的は肌の保湿やターンオーバーの活性化にあるため、どちらかというとシミの予防や肌の調子を整えたい方におすすめの方法と言えるでしょう。もちろん薄い色素沈着であれば、ターンオーバーの活性化によって多少の改善は見込めます。

色素沈着のようなニキビ跡の改善に対して高い効果を求めているのであれば、美容医療がおすすめです。美容医療には「レーザー治療」「フォトフェイシャル」「ケミカルピーリング」の3種類があり、それぞれ即効性に期待ができますが保険の適用範囲ではないため、場合によっては高い治療費がかかります。

セルフケア

セルフケアはその名の通り、自身でニキビ跡のシミの改善を試みる方法です。セルフケアで使用する製品には、化粧品、医薬部外品、医薬品の3種類があります。それぞれ期待できる効果が異なり、化粧品は「肌の保湿」、医薬部外品は「シミ予防」、医薬品は「シミ改善」に期待できます。以降では、これら3種類の製品について解説します。

化粧品

化粧品は基本的に保湿を目的に使用するのが一般的です。肌の潤いを維持して美肌を目指せるのはもちろんのこと、乾燥を防いでメラニンの過剰生成を防いだりもします。ですので、シミ改善自体を目的に使用することはほとんどありません。

化粧品のなかにはビタミンC誘導体やプラセンタエキスなど、シミ予防に効果的な成分が配合されている製品もありますが、その効果は特別高いものでは無い点に注意が必要です。そのため、シミ予防の観点からみても効果は比較的低いと言えるでしょう。

化粧品でのスキンケアがおすすめの人

  • ニキビ跡がメインの悩みではない人
  • ニキビ跡を予防しつつ美肌を目指したい人

医薬部外品

医薬部外品とは厚生労働省により、有効成分の効果・効能が認められている化粧品のことです。「防止・衛生」を目的に作られているため、医薬部外品はニキビ跡や傷跡、紫外線によるシミを防ぐ機能に特化している特徴があります。

そのため、医薬部外品はニキビ跡のシミ改善に高い効果を求めている方にはおすすめできません。仮に美白有効成分が配合されていても、医薬品よりは効果が緩やかです。医薬部外品は、ニキビ跡のシミが気になっていて、これ以上増やさないことを重視している方向けの製品であると言えるでしょう。
*医薬部外品は「薬用」と表記されていますので、製品を探す際は薬用表記があるかどうかに注目してみてください

医薬部外品でのスキンケアがおすすめの人

  • ニキビ跡のシミ改善よりも予防を重視したい人
  • 日々のスキンケアで少しずつニキビ跡のシミ改善を試みたい人

医薬品

医薬品とは「治療」を目的に製造された薬のことで、効果・効能は厚生労働省によって認められています。市販で購入できる内服薬が医薬品に該当し、錠剤タイプの飲み薬が多いです。もし、塗り薬のようなタイプを希望する場合には、皮膚科に受診して処方してもらうことをおすすめします。

医薬品の使用は、セルフケアの中で最も効果に期待できる方法で、化粧品や医薬部外品では改善できないシミを持つ人に適した方法です。ちなみに、市販ではなく処方してもらうタイプの医薬品を使用する場合には、定期的に通院する必要があるので覚えておきましょう。

医薬品でのスキンケアがおすすめの人

  • 化粧品や医薬部外品では改善できないニキビ跡のシミを持つ人
  • 定期的に皮膚科に通院できる人

スキンケア製品選びのポイント

ニキビ跡のシミ改善を目的としてセルフケアに使用するスキンケア製品を選ぶ際、製品にどんな成分が含まれているかを知ることが重要です。以下の成分表に記載された成分とその効果について確認し、肌の悩みに合わせて最適な製品を選べるようにしておきましょう。

美白に役立つ成分期待できる効果
ビタミンC誘導体メラニンの生成を抑制し、新陳代謝を高める。コラーゲンの生成も促進するため、シワを防ぎハリを取り戻す
アルブチンメラニンを生成するチロシナーゼの働きを抑制する
トラネキサム酸メラニンの生成に必要なプロスタグランジンなどの働きを抑制。肌の炎症で起こる色素沈着によるシミ予防にも有効
プラセンタエキスメラニンの生成や色素沈着を阻害。肌のターンオーバーを助けてくれる
(ハイドロキノン)メラニンの生成を抑制。メラニン色素を薄くする(脱色)
(グリチルリチン酸)肌の炎症を抑え、色素沈着によるシミ予防に効果的
(ビタミンE)血行促進・新陳代謝の活性化により、肌のターンオーバーを促進
(セラミド)肌のバリア機能を支え、高い保湿効果がある
グリセナジーMKターンオーバーを正常化させ、同時に肌表面のメラニンを分解するというダブルアクション。シミを薄くする効果が認められている。ヒト臨床試験でできてしまったシミ改善が報告された最先端成分
※()は美白有効成分ではない成分

ニキビ跡のシミを少しでも改善するためには、ターンオーバーの助けになる成分が含まれる製品を選ぶことをおすすめします。ターンオーバーを促進する成分には、プラセンタエキス、ビタミンE、グリセナジーMKなどがあり、特にグリセナジーMKは最先端成分なので積極的に選ぶようにしてみてはいかがでしょうか。

美容医療

美容医療ならニキビ跡のシミ改善に対して比較的高い効果が見込めるだけでなく、即効性も期待できます。個人差はありますが、シミの種類や体質によっては1回で改善効果がみられるケースもあります。また、美容医療は3種類の治療法があり、それぞれ治療期間や費用相場が異なるため、自身の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。

治療法治療期間の目安効果の高さ費用相場
レーザー治療3ヶ月~5,000円~50,000円/回
フォトフェイシャル(光照射)6ヶ月~10,000円~40,000円
ケミカルピーリング4、5ヶ月~5,000円~25,000円
*2023年4月調べ
*美容医療では保険が適用されないので注意してください

ニキビ跡のシミにはレーザー治療とフォトフェイシャルがおすすめです。これら2つの治療法はシミ部分に直接作用するため、高い効果を得られます。一方でケミカルピーリングは肌のターンオーバーを促すことでシミの改善を図る治療法で、レーザー治療やフォトフェイシャルと併用するとシミに対して高い効果が期待できるでしょう。

これらの治療は保険が適用されないため、通常の医療に比べて割高な出費となってしまいます。一部のピコレーザーではとても高額になるものもあり、フォトフェイシャルは同じメニュー名でも、マシンによって全く価格感が異なります。また、サリチル酸など皮膚科でよく行われているピーリングは比較的安価のところも多いですが、2023年4月現在、値段が上がっているところが多いです。

ですので、通う前には担当医に費用や通院期間についてよく相談してから治療を開始するようにしましょう。

美容医療がおすすめの人

  • セルフケアの改善効果では足りない人
  • すぐにでもシミを改善したい人

セルフケアをするにしても、美容医療を利用するにしても、自身の肌のシミについて正しく理解することは大事です。ニキビ跡のシミである色素沈着以外にもいくつかの種類があり、それらを正しく認識しておけば美肌に向けて適切な対処ができるでしょう。以下の「シミ審断」では、質問に答えるだけで自身のシミの種類について知れるだけでなく、そのシミに対する対処法まで提示します。

あなたのシミは本当に炎症後色素沈着?3分でできるシミ審断を活用してみてください。

ニキビ跡のシミを隠すメイク方法

ここまでニキビ跡のシミの改善方法を解説しましたが、実際のところ、ニキビ跡のシミは気になった瞬間から隠したいと思う方のほうが多いかと思います。そこで、以下ではニキビ跡のシミを隠すメイク方法をご紹介。シミが改善するまで凌ぐ方法として参考にしてみてください。

  • シミ部分はコンシーラーで
    └ニキビ跡のシミが濃い場合には、肌とシミの中間の色を、薄めならシミより少し明るい色のコンシーラーを選びましょう。塗った後は、密着させるように指の腹で優しくトントンとなじませると自然に仕上がります。
  • コントロールカラーで自然な仕上がりを
    └化粧下地として使えるコントロールカラーは、肌の色を調整して肌の悩みもカバーしてくれるので、ニキビ跡のシミを隠すのに最適です。コントロールカラーは、自然に肌のムラを隠してくれるベージュ系の色味を選ぶのがおすすめ。
  • ファンデーションでのカバーを忘れずに
    └ファンデーションは、しっかりカバーしたいならリキッドタイプ、自然に仕上げるならパウダータイプを使用しましょう。部分的にリキッドタイプを使用して、全体をパウダータイプにするのも一つの方法です。注意点として、メイクするときは摩擦に気をつけましょう。

そもそもニキビができる原因は?

ニキビの隠し方、改善方法を知ったら、併せてニキビが発生する原因も知っておきましょう。ニキビができる原因を正しく理解すれば、適切な予防につながります。

ニキビができる主な原因は常在菌です。常在菌(アクネ菌や黄色ブドウ球菌など)が毛穴内にある皮脂をエサに増殖することで、毛穴内の炎症を誘発しそれがニキビになります。また、常在菌が増殖する要因には「皮脂の過剰分泌」が該当し、不健康な生活習慣などによって過剰分泌が発生します。

つまり、毛穴内に菌が入って、そこに菌が好む皮脂というエサが多くあるとニキビが発生しやすくなるのです。

ニキビ跡のシミを増やさないための予防方法

以下ではニキビ跡のシミを増やさないための予防方法をご紹介。ニキビ跡が発生してから改善を試みるのも確かに重要ですが、美肌を維持するならニキビが発生しないように努めるに越したことはありません。

予防方法は以下の通りです。

  • バランスの取れた食生活を意識する
    └不摂生によってビタミンが不足したりすれば、皮脂の過剰分泌を招いてニキビができやすくなります。肌の状態を維持するためにも、バランスの取れた食事を意識しましょう。
  • 肌を清潔に保つ
    └肌に触れるものを清潔なものにすることで、毛穴に汚れが入るのを防げます。毛穴に汚れが入って詰まると、そこから炎症してニキビになってしまうため、綺麗なタオルを使用したり、こまめに手を洗ったりすることで顔に汚れが付かないように意識しましょう。
  • 肌の乾燥を防ぐ
    └肌が乾燥するとバリア機能が低下するため、炎症を引き起こしやすくなってしまいます。室内の湿度を意識したり、化粧水などで肌の潤いを維持したりすることで、肌の乾燥を防ぎましょう。

よくある質問

ニキビ跡は消えない?

基本的に改善できます。赤み、色素沈着はターンオーバーを活性化させることで、改善が見込めるでしょう。クレーター状に関しては、皮膚科で適切な治療が必要になります。

ニキビ跡の色素沈着はどれくらいで消える?

ニキビ跡の色素沈着は、約1ヶ月で薄くなり始めると言われています。個人差はありますが、人によっては一回目の美容医療で効果が現れる場合もあります。

ニキビ跡のシミに効くものは?

ニキビ跡には、プラセンタエキス、ビタミンE、グリセナジーMKといった成分が効くとされています。どれもターンオーバーを促進する成分なので、スキンケア製品を選ぶ際に参考にしてみてください。

ニキビ跡の色素沈着の色は?

ニキビ跡の色素沈着は茶色っぽい色みをしています。また、輪郭がぼやけていたり、ニキビの度合いによっては色みが濃かったりもします。

ニキビ跡のシミは市販のもので消せる?

ニキビ跡は市販の医薬品なら改善するとされています。美容医療ほどの効果は期待できませんが、改善は見込めます。

「シミ審断」を活用して効果的にシミを改善しよう

本記事では「シミ審断」の活用をおすすめしています。シミには色素沈着だけでなく、そばかすや老人性色素班など様々な種類があり、それぞれ対処法が異なります。ですので、ニキビ跡のシミを改善するにしても、他にシミがある場合には種類の判別がつかなくなることも珍しくありません。

シミ審断を活用すればニキビ跡のシミとあわせて、他のシミの種類を判別することが可能です。シミの種類を見分けることで、顔全体のシミに適切な対処法を実施することができるため、綺麗な肌が実現するでしょう。

あなたのシミは本当に炎症後色素沈着?3分でできるシミ審断を活用してみてください。

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長

・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。

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