日焼けがシミの原因に!ドクターが教えるセルフケア&クリニック治療法

日焼けがシミの原因に!ドクターが教えるセルフケア&クリニック治療法

スポーツやレジャーのみならず、日常生活でも少なからずしてしまう「日焼け」。実は、肌の老化の大部分が「日焼け(紫外線)の影響」であることをご存知ですか?今回は、日焼けとシミの関係をはじめ、自分でできる日焼けの予防ケア、クリニックでの治療法をドクターが解説します。よくある疑問への回答やアドバイスもあるので、ぜひチェックしてください。

竹村先生_プロフィール

お話を伺った医師

HADA LOUNGE クリニック

院長 竹村昌敏先生

2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。

その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくHADA LOUNGE クリニックを開業。

遠隔医療学会、医療情報学会、整形外科学会、麻酔科標榜医所属。

・HADA LOUNGEクリニック

日焼けがシミに与える影響

ー日焼けとシミには、どんな関係があるのですか?

日光に含まれる紫外線は、シミの発生に非常に関係すると言えるでしょう。シミだけでなく、シワや、病気の原因となる可能性も考えられます。

日焼けのメカニズム

ーそもそも、なぜ日焼けするのですか?

紫外線の害から、人体を防御するためです。

紫外線があたると、肌に存在する細胞が刺激され、メラニンという色素を作り出します。そして、メラニン色素が紫外線を吸収することで、人体に対する悪影響を軽減してくれるのです。

日焼けがシミを生み出す仕組み

ー人体を守る日焼けで、なぜシミができてしまうのですか?

日焼け後のターンオーバーがうまくいかなかったことが考えられます。これを理解するためには、日焼けの2つの段階を知る必要があります。

1段階目はサンバーンといい、 紫外線を浴びて短時間で出てくる赤みの炎症反応のことです。

2段階目はサンターン(遅発性黒化)と呼ばれ、サンバーンが落ち着いてから数日後に出てくる、肌が黒っぽくなる現象のことです。

通常はサンターン後、ターンオーバー(肌の代謝)の働きで、メラニン色素が排出され、元の肌色が戻ってきます。しかし、「ターンオーバーが十分機能しない」「ターンオーバーの不全がある」「加齢でターンオーバーの速度が非常に落ちている」といった事態が起きていると、メラニン色素が肌に残り、シミの状態となるのです。

光老化〜蓄積した紫外線ダメージがシミへ

積極的に日焼けをしなくても、長年蓄積された紫外線ダメージの影響でシミが出てくるケースがあります。これは、生理的な老化と区別して光老化(ひかりろうか)と呼ばれる現象です。

シミは基本的に加齢だけでできることはなく、肌の老化の7〜8割は紫外線の影響で、残りが加齢の影響と言われています。つまり、肌の老化の大部分が紫外線のせいだと、考えてよいのではないかと思います。

日焼けしてからシミが出るまでの期間

ー日焼け後、どのくらいの期間でシミが発生しますか?

「数年から数十年」と言われています。ただし個人差が本当に大きく、人によって10年以上の差があるとお考えください。

差が生じる原因としては「ターンオーバーの状態がよい方・悪い方」「メラニンの排出がスムーズな方・スムーズでない方」など、体質の違いもありますし「日焼けしやすい(紫外線を浴びやすい)ライフスタイルか」といったことも挙げられます。

日焼けが肌に与える、シミ以外の影響

ー日焼け(紫外線)はシミ以外に、どのような悪影響を肌に与えますか?

美容面では、シワやたるみなどが挙げられるでしょう。病気については、皮膚がんや日光角化症、白内障などが挙げられます。

「日光角化症」は、赤みを伴って、皮膚にザラザラした箇所が現れますが、前がん病変(がんになる前の状態)です。皮膚がん・日光角化症ともに、紫外線が細胞のDNAにダメージを与えたことが要因になると考えられます。

日焼けに気をつけるべき人

ー日焼けを特に気をつけなければならないのは、どのような人ですか?

全ての人が日焼け(紫外線)に気をつけるべきですが、外にいる時間が長い方は特に気を付けるべきです。例えば、外回りの営業マンの方、長時間外でスポーツをされる方、子どもたちと屋外で遊ぶことのある保育士の方などが当てはまるでしょう。

また、室内でも日当たりのよい部屋や、窓際で長時間過ごされる方は注意が必要です。 実は、UVカット仕様ではない普通の窓ガラスは、紫外線透過率がおよそ70%と言われています。席が窓際の学生さんや会社員はもちろん、タクシーやトラックのドライバー、配達員といった方も注意が必要です。

さらに妊娠中の女性は女性ホルモンの影響で、メラニン色素が作られやすい状況になっており妊娠前よりもシミができやすい可能性があるため、しっかりUVケアしましょう。

自分でできる日焼けの予防ケア

ー自分でできる、有効な日焼け予防ケアはありますか?

紫外線対策とサプリメント・医薬品が有効かと思います。シミ予防には、できるだけ紫外線を浴びないことが重要なので、すぐに実践してみましょう。

予防ケア①紫外線対策

紫外線対策としては、まず「地肌をさらす面積を少なくすること」です。具体的には長袖の服を着る、帽子をかぶる、屋外の移動中は日傘をさすといったことが考えられます。近年では、UVカット機能を持つ布地を使った洋服・帽子・日傘などが発売されていますので、それらをチョイスしてもよいでしょう。

それから、「日焼け止めを使うこと」も有効です。日常生活をしていれば少なからず日光(紫外線)にどうしても当たることになりますが、できるだけ避けるように意識してください。

日焼け止めの選び方・塗り方

先ほども触れたように、紫外線対策には日焼け止めも有効です。おすすめの日焼け止めの選び方は、「1日に何回か塗り直すこと」を前提に探すとよいと思います。

普段使いでそれなりの量を消費するので、あまり金銭的な負担にならないような製品を選びましょう。例えば、高額な製品を買って「少ししか塗らない」「薄目にしか塗らない」よりも、コストパフォーマンスのよい製品を、しっかり使っていただきたいです。また、普段使いでSPF50は刺激が強いため、あまり刺激の強くないSPF30くらいの製品がおすすめと言えます。

塗り方のポイントとしては、「塗り残しなく、まんべんなく塗る」ことがとても重要です。その際、肌への刺激がシミの原因となることもあるため、こすったりせず、優しく伸ばして塗ることを意識してください。

日焼け止めの持続時間は、製品や紫外線吸収効果、汗のかきかたなどによっても異なりますが、最低でも1日1回の塗り直しは必要かと思います。具体的には、まず朝に日焼け止めを塗って、午後の外出前にもう一度塗り直す、といったイメージですね。

そして、寝る前に日焼け止めをしっかり落としてください。日焼け止めやメイクを肌に付けたまま寝てしまうと、お肌の健康にとってよくありません。

予防ケア②サプリメント・医薬品

紫外線ケアに有効なサプリメントとしては、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、リコピンなどが挙げられます。これらの成分には抗酸化作用があるので、ターンオーバー(肌の代謝)のサポートが期待できます。ただしサプリメントの場合、シミへの効果について科学的に検証されていない製品もあることは留意しておいてください。

医薬品については、市販されているものではハイチオール、トランシーノ、チョコラBBなどが有名です。 医薬品の場合、ある程度の美白効果が期待できるとはいえ、紫外線を浴びても大丈夫というわけではありません。また、肌の老化が避けられるわけでもありません。

例えば、メラニン合成を阻害する医薬品を服用した場合、それは単にメラニンが生成されにくくなっているだけなのです。むしろ、肌を守る働きをするメラニンができにくい状態で紫外線を浴び続けると、かえって肌の老化は早まる恐れがあります。ですから、これらの医薬品を飲む場合は、紫外線をより一層避ける必要があるのです。

日焼けのシミに対するクリニックの治療法

ークリニックのシミ治療には、どのような方法がありますか

クリニックのシミ治療は、「機材を使った治療法」「薬やサプリメントを使った治療法」に大きく分けられます。

なお、当クリニックでは 「毎日行う治療」「月に3回ほど来ていただいて実施する治療」「月に1回のみ行う治療」という、3段階の治療をご提案させていただいています。

機材を使った治療法

当クリニックでは、「月に1回の治療」の中でフォトフェイシャルを使った治療法を提案させていただくことが多いですね。フォトフェイシャルとは、可視光の中でも結構広い波長を出すことができる機材です。波長が広い部分、シミ以外の様々な肌治療に用いることができます。

通常のレーザーはパワーが強く、ピンポイントでシミを取る能力が優れているのに対して、フォトフェイシャルの光はマイルドで、肌質改善やトーンアップといった肌のケア効果に優れていますね。特に、長年の紫外線に加え、加齢も影響するようなシミの場合、フォトフェイシャルをチョイスすることが多いです。

ちなみに当クリニックで使用しているフォトフェイシャル「ステラM22」は、厚生労働省の承認を受けた最新のフォトフェイシャル機器となります。

薬やサプリメントを使った治療法

また当クリニックでは、「毎日行う治療」の中で内服薬・サプリメントを使った治療法を提案しています。具体的には、シミができにくい肌(メラニンを生成しにくい肌)作りのためにビタミンC、トラネキサム酸、ハイチオール、タチオンなどを処方することが多いです。

さらに「月に3回ほど来ていただいて実施する治療」では、美容液導入をよく提案しています。具体的なシミ治療としては、超音波を用いたビタミンCやトラネキサム酸の導入の実施です。

クリニックでのシミ予防

クリニックにはシミ治療だけでなく、シミ予防の目的でいらっしゃるのもよいかと思います。

例えば、当クリニックではスキンチェッカーによるお肌のチェックができるため、肌が現在どのような状態になっているか知ることが可能です。さらにスキンアドバイザーが、その方にベストな治療・予防を一緒に考えていくお手伝いをします。

このように、多くのクリニックではシミ予防目的の来院も歓迎していることでしょう。

ドクターが解説する、日焼けのシミのよくある疑問

最後に、日焼けが関係するシミにお悩みの方の疑問にお答えします。

日焼けが関係するシミ治療の効果とは

ー日焼け(紫外線)が関係するシミは、どの程度まで治療できますか?

シミの種類にもよりますが、色素斑と言われるシミについては基本的に、ある程度の治療は可能です。例えば、年齢を重ねた方では「短時間で簡単に」というのは難しいかもしれませんが、定期的な治療を継続することでシミのないお肌を目指すのも不可能なことではないと思います。

日焼けが続く状態でシミ治療できるか

ー仕事やスポーツなど、日常的に日焼けする状態でシミ治療することはできますか?

ほぼ不可能だと思っていただいた方がいいと思います。シミ治療の後は、非常に紫外線に弱くなります。

具体的には「治療前後の2週間は紫外線を避けてください」とお伝えしていますが、日焼けが継続する状態でシミ治療すると、かえってシミが発生する原因になるのです。

仮に日焼け(紫外線)を避けられない方がいらした場合は、内服薬など、守りの治療を中心に「これ以上シミをひどくしない」「新しいシミを作らない」ことを目指して、治療方法を検討させていただきます。

日焼けした場合のケア方法とは

ー夏のリゾート地やスポーツなどで日焼けした場合、どのようなケアができますか?

まず、肌の炎症を抑えてください。具体的には、氷や保冷剤をタオルに包み、ほてりを感じる場所に当てます。それから肌の保湿も非常に大切です。これらのケアで肌の状態を落ち着けてください。クリニックに来られる場合は、ビタミンCのパックや美容液導入を検討します。

香水やオーデコロンについて

ー香水やオーデコロンをつけたまま日光に当たって、かぶれたことがあるのですが、日焼けやシミへの悪影響はありますか?

悪影響が出る可能性はゼロではないです。化学成分の中には、光が当たることで化学変化して、肌に刺激を与えるケースが考えられます。刺激は、肌に炎症を引き起こしたり、シミなどの原因になったりする恐れがあります。

これは、光感作性(光アレルギー性)と呼ばれます。少なくとも、光に当たってかゆみやかぶれを1度でも感じた場合、肌への塗布は避けた方がよいでしょう。

紫外線を浴びるメリットについて

ー紫外線にはビタミンDの生成・体内時計の調整などのメリットもありますが、UVケアでそのメリットが享受できなくなりませんか?

たしかに紫外線を浴びるメリットはありますが、日焼け止めを塗った状態で享受できないわけではありません。

例えば、日焼け先進国のひとつのオーストラリアでは「ビタミンDの合成を阻害しない日焼け止め」なども開発されていますが、日本ではそこまでの心配はないかと思います。

日焼け止めを塗った状態でも、紫外線が100%ブロックできるわけではないため、日常生活の範囲内で浴びていれば問題ないでしょう。むしろ、UVケアをしない悪影響の方が大きいかと思います。

スプレータイプの日焼け止めでもOK?

ーメイクを崩したくないので、スプレータイプの日焼け止めを使っても問題ありませんか?

可能であれば、塗るタイプを選んで頂きたいです。

スプレータイプの場合、薬剤が均一に出るとは限らず、塗りムラが出やすい点が問題です。また、メイクに対してスプレータイプを使用すると、逆に白浮きしやすいケースもあります。

そのため可能であれば、ジェルタイプやミルクタイプの日焼け止めを選ぶのがよいでしょう。どうしてもスプレータイプがよい場合は、製品をよく見ていただいて「顔に直接噴霧できるもの」を選んでください。

【日焼けのシミに悩む方へ】ドクターからのアドバイス

-最後に、日焼けが関係するシミに悩む方へアドバイスをお願い致します。

近年は美容医療の進歩により、シミに有効な治療が数多く存在します。

しかし、どんな治療よりも大切なことはやはり紫外線を避けることで、もっともリーズナブルで効果的な治療といえるかと思います。紫外線は洋服・帽子・日傘、そして日焼け止めである程度ガードできるので、シミ予防のためにも、これらを意識して日々生活していただければよいでしょう。

その上で、セルフケアに限界を感じたり、シミの治療や予防に関する悩みが生まれたりしたら、ぜひ医療機関へご相談ください。

竹村先生_プロフィール

お話を伺った医師

HADA LOUNGE クリニック

院長 竹村昌敏先生

2008年高知医科大学医学部卒業。初期研修後都内の大学病院麻酔科入局。

その後、整形外科へ転科。2015年から医療×ITのスタートアップに参画し医療監修を務める。医療×IT分野の執筆多数。 医療×ITを美容医療に導入するべくHADA LOUNGE クリニックを開業。

遠隔医療学会、医療情報学会、整形外科学会、麻酔科標榜医所属。

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