シミができやすい人の特徴|遺伝の影響やできにくい人との違い
顔色のくすみや年齢より上に見える原因となるシミ。女性の天敵とも言えるシミですが、残念ながら世の中にはシミができやすい人がいます。
今回はシミができやすい人の特徴を紹介。そのうえで対策方法やシミができる原因、シミができにくい人になるための対策方法をお伝えします。
シミができやすい人の特徴
シミのできやすさは、次のように先天的要因と後天的要因に分けられます。
種類 | 原因 |
先天的要因 | 遺伝的素質、元来の肌の色 |
後天的要因 | 生活習慣、クセ、生活環境 |
いずれにおいても、早めに対策に取り組むことでシミの悪化やさらに新しくできるのを防げる可能性があります。次章からもう少し詳しくシミができやすい人の特徴を見ていきましょう。
遺伝的素質がある
シミのなかでも「そばかす」や「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」は、遺伝的要素がある、または遺伝的要素が大きいと言われています。そのため、親にできている場合は、子どももできやすい体質であると考えられるでしょう。
そばかすは、個人差がありますが思春期を過ぎると薄くなる場合もあります。ただし、そばかすをはじめ、シミは紫外線を浴びると濃くなるおそれがあるので、悪化を防ぐためにも早めに紫外線対策をするのがおすすめです。
肌が白い
シミの元となるメラニンは紫外線ダメージから細胞を守る防御反応として生成されますが、肌が白い人は元々持っているメラニンの量が少ないため、この防御反応が過剰に働きます。メラニンが過剰に生成されやすいため、色白の人はシミができやすいのです。
肌の色は紫外線への反応によって6つの「スキンタイプ」に分類され、数字が低い(=色が白い)ほどシミができやすい傾向があります。
スキンタイプ | 元々の肌の色 | 紫外線への反応 |
Ⅰ | 白 | 紫外線を浴びるとすぐに赤くなるが、決して黒くならない |
Ⅱ | 白 | 紫外線を浴びると赤くなり、その後少し皮膚色が濃くなる |
Ⅲ | 白 | 紫外線を浴びると時々赤くなり、その後徐々に皮膚色が濃くなる |
Ⅳ | 薄茶 | 紫外線を浴びてもあまり赤くならず、すぐに皮膚色が濃くなる |
Ⅴ | 濃褐色 | 紫外線を浴びてもまったく赤くならず、皮膚色が非常に濃くなる |
Ⅵ | 黒褐色から黒色 | 紫外線を浴びてもまったく赤くならず、皮膚色が非常に濃くなる |
日本人の多くはスキンタイプⅡ~Ⅳに該当しますが、自身の正確なスキンタイプを知るためには美容皮膚科などで診察を受けるのがおすすめです。
肌が乾燥している
肌の乾燥でシミができやすくなる理由については2つあります。
- ターンオーバーの乱れ
乾燥により肌内部の水分が不足するとターンオーバーが乱れます。ターンオーバーとは肌の新陳代謝のこと。通常、28日周期で古い細胞と一緒にメラニンも排出されますが、ターンオーバーが乱れるとうまく排出できなくなるため、メラニン色素が沈着してシミができやすくなります。
- 肌のバリア機能の低下
皮膚の一番外側にある角質層には水分を保持して外的刺激から肌を守るバリア機能があります。このバリア機能は水分と油分のバランスが取れている状態で働くため、水分が減った乾燥状態では機能が低下。紫外線などの外的刺激を受けやすくなり、ターンオーバーの乱れや炎症によるシミができやすくなります。
また、「乾燥はシミの悪化因子を増やす」ことが資生堂の研究でわかっています。そのため、乾燥が気になる季節だけでなく、1年中、保湿ケアを行うようにしましょう。
肌を触るクセがある
シミは摩擦による刺激でもできるので、気づいたら肌を触っているという人は要注意。摩擦により肌内部で炎症が起きるとメラニンが過剰に生成され、ターンオーバーでの排出が追いつかなくなるためシミができやすくなります。
また、肌を触るクセがない人でもスキンケアの際に次のようなことを行っている場合は注意が必要です。
- 強い力でクレンジングする
- 洗顔後にタオルで擦る
- 化粧水をつける際にコットンで擦る
スキンケアをはじめ、肌を触る際に擦るのはNG。ただし、そうはいっても人は1日に400回も肌を触るという研究結果があるように、肌に触る回数をゼロにすることは不可能です。どの程度の刺激がシミに繋がるかがわからないため、特に肌を触るクセがある人は回数を減らせるように意識してみましょう。
【種類別】シミができる原因
シミができる原因やできやすい場所・年代は、シミの種類によって次のように異なります。
次項から各シミの特徴や対処法について、掘り下げていきましょう。
老人性色素斑
老人性色素斑は紫外線ダメージの蓄積や加齢によってできるシミです。薄茶色から茶色で輪郭がはっきりしており、頬やこめかみ、手の甲や顔(頬など)や手、腕など、紫外線があたりやすい部位を中心にできます。
30~50代にできやすい傾向がありますが、紫外線ダメージが主な原因なので、紫外線を浴びる機会が多い人であれば10代から気になり始めることもあるでしょう。そのため、早い内からの紫外線対策を行い予防することが大切です。
老人性色素斑の予防法・対処法
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- 皮膚科や美容皮膚科でのレーザー治療・フォトフェイシャル(IPL治療)を受ける
- トレチノインやハイドロキノン、グリセナジーMK(オゾン化グリセリン)などが配合された外用薬を用いてセルフケアする
調査期間:2022年9月1日~2023年2月28日
調査人数:5,673名
調査方法:インターネット調査(株式会社メディプラス製薬)
しかし、上記で紹介したように実はシミにはたくさんの種類があるため、正しいケアができていない可能性がございます。そのため、まずは『シミ審断』でご自身のシミを種類を特定し、種類に応じて効果が見込めるケア選びから始めましょう。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着はケガやニキビ、虫刺されなどで肌が炎症した際にターンオーバーが乱れ、メラニンの排出がうまくいかなくなった結果、メラニン色素が皮膚に沈着してできるシミです。
肌を触ることによる摩擦や、洗顔・クレンジング時の擦りすぎによっても起きうるので、普段から肌を触るときは「優しく丁寧に」を心がける必要があります。
炎症後色素沈着はケガやニキビ、虫刺されなどが主な原因になるので年齢や性別、部位関係なくできる可能性があります。
炎症後色素沈着ができていることに気づかずにさらに肌を擦ったり、紫外線を浴びたりすると、シミが増えたり色が濃くなったりするので注意が必要です。
炎症後色素沈着の予防法・対処法
- 肌を摩擦したり傷つけたりしない
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- メラニン生成の抑制効果があるビタミンCを含む食品を多く摂る(赤ピーマン、キウイフルーツ、いちごなど)
- ターンオーバーをサポートするL-システインを含む食品を摂る(高野豆腐、卵、ごま、ブロッコリーなど)
そばかす
そばかすは遺伝的要素が強いシミで、幼少期から思春期にかけてよく見られます。成長するごとに薄くなっていく傾向がありますが、紫外線をよく浴びる環境にいると、薄くなるどころか悪化する可能性があるので注意が必要です。
特に色白の人にできやすいシミで、鼻や頬などによく見られますが、腕などの身体にもできることがあります。遺伝的要素が大きいと言われているので予防したり薄くしたりすることが難しいシミですが、紫外線対策を入念にすることで、悪化の防止は可能です。
そばかすの予防法・対処法
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- 皮膚科や美容皮膚科でのレーザー治療・フォトフェイシャル(IPL治療)を受ける
- シナールやトラネキサム酸などの内服薬を服用する
肝斑
肝斑は、頬骨や額などに沿って左右対称に現れるシミです。写真のように薄茶色から茶褐色でシミの輪郭がボヤボヤとしているのが特徴です。広範囲におよぶことが多いですが、瞼にはできません。
肝斑ができる根本的な原因はわかっていません。しかし、ホルモンバランスが乱れやすい時期である30~40代に多く見られることから、女性ホルモンの乱れが影響していると考えられています。
そのため、加齢をはじめ、妊娠・出産、ピルを服用している、また過度なストレスを抱えている人にできやすいと言えます。
肝斑の予防法・対処法
- 睡眠、食事、運動面を見直して健康的な生活を送り、ホルモンバランスを整える
- 紫外線対策を行う
- 摩擦を避ける
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
ADMは、発生原因が不明なシミです。20歳頃から見られることが多く、他のシミと異なり肌の深い部分にできることからアザに分類されることもあります。
額や頬に好発。頬の辺りには左右対称で現れるため、肝斑と混同されがちですが、ADMは灰色~青みを帯びた褐色で、米粒大ほどの大きさが特徴です。
それに対して肝斑は、薄茶色~茶褐色で輪郭がぼやけているなど、色味や形状が異なります。
ADMは発生原因が不明なシミなので、どういった人がなりやすいか、また予防法もわかっていないのが現状です。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の対処法
- レーザー治療を受ける
脂漏性角化症
脂漏性角化症は、先に紹介した老人性色素斑を長期間放置したことによってできるイボのようなシミです。別名「老人性イボ」とも呼ばれており、肌色~黒色で大きさはバラバラ。シミの辺りにわずかな盛り上がりがあるため、他のシミとは見分けがつきやすいでしょう。
しかし、黒く盛り上がっている特徴からほくろと見間違えるケースもあります。両者の違いとしては、ほくろは半球状に膨らんでおり、色が濃く柔らかいという特徴がありますが、脂漏性角化症はほくろよりも硬く、ボコボコしています。
これらの特徴と照らし合わせてみればほくろか脂漏性角化症かを見分けやすいでしょう。
基本的には良性なので、治療の必要はありませんが、少しでも異変を感じた場合は、皮膚科に相談するのがおすすめです。
脂漏性角化症の予防法・対処法
- 紫外線対策を徹底する(日焼け止め、日傘、帽子など)
- レーザー治療を受ける
本気でシミを治したいと思っているのであれば、シミができやすい人もできにくい人も、まずは自分のシミがどのシミなのかを知ることが大切です。
自分にできたシミの種類を把握せずに対処しようとすると、改善効果が見込めないどころかかえって悪化させるおそれが出てきます。そのため、まずはシミの種類を特定することを先決させましょう。
医療機関に行く前に自分のシミを知っておきたい場合は、下記のシミ審断をお試しください。簡単な質問に答えるだけで、今あるシミの種類と改善方法がわかります。
あなたのシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
シミができにくい人になるための対策
シミができやすい人でも、次のような対策をとればシミの発生を極力抑えられます。
【シミができにくい人になるための対策方法】
- 紫外線対策を年間通して徹底する
- 美白成分配合の美容液を使用する
- 睡眠と運動時間を毎日確保する
- 抗酸化作用の高い栄養を摂取する
シミができる大元でもある紫外線対策は必須。年間とおして紫外線対策を徹底しましょう。また、普段使用するスキンケアに美白成分配合の美容液を取り入れてみるのもおすすめです。
あわせてシミができる原因になるターンオーバーの乱れを整えるためにも、睡眠と運動は意識したいところ。メラニンは肌の酸化によって発生するので、酸化を抑える栄養素も積極的に摂取していきましょう。
紫外線対策を年間通して徹底する
シミができる主な原因でもある紫外線は、1年中降り注いでいるため、日差しが強い季節だけの対策では不十分です。
また天候にも左右されず、窓ガラスも通過するため、曇りの日や雨の日、外出する予定のない日でも紫外線対策として日焼け止めを塗るようにしておきましょう。
夏場は特に汗で落ちやすいので、こまめに塗り直すことも必要です。
日焼け止めを選ぶ際に目安となるのは次の2つの数値です。
- SPF
肌を赤く炎症させる原因であるUVB波をブロックする。数値が大きくなるほど防御時間も長くなる。シミ予防・対策で重視したい数値。勘違いされやすいが、数値の大きさは防御力の高さではなく、時間の長さ。
- PA
肌の奥まで届いてシミの原因になるUVA波をブロック。「+」が多いほど効果が高くなるが、同時に肌への負担も増えるので注意が必要
ポイントは生活シーンにあったものを選ぶこと。数値が高いほど防御効果が上がるのはそのとおりですが、その分肌への負担も増します。そのため、無意味に数値の高い日焼け止めを選ぶのはおすすめできません。
また、日焼け止めとあわせて、サングラスやつばの広い防止、アームカバー、日傘などの紫外線対策グッズを使うと、より高い効果が期待できるでしょう。
より詳しい紫外線対策については、下記の記事でも解説しているのであわせてご確認ください。
美白成分配合の美容液を使用する
老人性色素斑と炎症後色素沈着には、美白成分配合の美容液による対策も効果が期待できます。それぞれのシミに有効な美容成分は次のとおりです。
老人性色素斑に効果的な美容成分
- ビタミンC誘導体
- アルブチン
- トラネキサム酸
- プラセンタエキス
- ハイドロキノン
炎症後色素沈着に効果的な美容成分
- グリチルリチン酸
- ビタミンE
- セラミド
せっかくなのでシミ対策を兼ねて、毎日使用する美容液を上記の成分が入っているものに変えてみるのもありでしょう。ただし、美容液をはじめシミ対策として売り出されている医薬部外品は「予防」を目的としています。
改善効果は期待できない点は留意しておきましょう。
シミ対策の美白成分については、次の記事でも紹介しているので美容液選びの参考にしてください。
睡眠と運動の時間を毎日確保する
シミができやすい人の特徴でも触れている「ターンオーバーの乱れ」は、睡眠不足や運動不足によっても引き起こります。
肌のターンオーバーは睡眠中に活発に行われるため、十分な睡眠を取ることが大切です。最適な睡眠時間は人によってそれぞれですが、6~8時間を目安に時間を確保すると良いでしょう。
また、質の良い睡眠を取るためには、リラックスできる環境づくりが大切。寝室の温度・湿度は高すぎず低すぎずを心がけ、就寝前は部屋を少し薄暗くして白っぽい照明は避けるのがおすすめです。
また、睡眠に加えて適度な運動を行うことでストレスを発散できるため、ターンオーバーが乱れる原因でもあるホルモンバランスも整えてくれます。
運動といっても激しいものではなく、通勤・退勤時に少し遠回りしてみたり、エレベーターではなく階段を利用したりといった程度でも大丈夫です。ただし、毎日続けることを意識しましょう。
抗酸化作用の高い栄養を摂取する
炎症後色素沈着など、一部のシミの予防として抗酸化作用の高い栄養を摂取するのが効果的。シミの元となるメラニン色素が生成されるのは、肌が紫外線を浴びた際にアミノ酸が酸化し、チロシンとなるためです。
この酸化を防ぐ効果があるのが抗酸化作用のある栄養素というわけです。抗酸化作用の高い栄養素には、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAなどが挙げられます。
栄養素 | 代表的な食品 | おすすめのメニュー | 摂取時の注意点 |
ビタミンC | レモン・キウイ・イチゴ・アセロラ・ブロッコリー・パセリ | 蒸しブロッコリー | 一度にたくさんは吸収できないので、毎日継続して摂る |
ビタミンE | ナッツ類・アボカド・うなぎ・サケ | 鮭のムニエル | ビタミンCと一緒に摂る。油で調理する。過剰摂取は骨粗鬆症のおそれあり |
ビタミンA | トマト・かぼちゃ・ほうれん草 | ほうれん草のソテー、トマトスープ | 大量に摂取すると頭痛やめまい、吐き気などの中毒症状を引き起こす可能性があるため注意 |
シミ改善に効果がある栄養素やレシピの詳細は下記の記事に記載しているので、ぜひ参考にしてください。
シミができやすい人の特徴に当てはまったら早めの対策を
シミができやすい人の特徴は先天的または後天的な要因に分けられます。また、シミと一口に言っても、種類によって原因や対策方法が異なります。
そのため、シミができやすい特徴とあわせてシミの種類を把握していないと、シミが消えるどころかより増えてしまう可能性があるので注意が必要です。
シミができやすい人もできにくい人も、まずは自分のシミがどのシミなのかを知ることがシミ対策への第一歩。医療機関にかかる前にシミの種類を知りたい人は、ぜひこちらのシミ審断をお試しください。
あなたのシミを本気で治したいなら、3分でできるシミ審断を活用してみてください。
監修医師 コッツフォード良枝 先生 銀座禅クリニック医院長
・所属学会
日本抗加齢学会/日本麻酔科学会/日本オーソモレキュラー医学会/国際オーソモレキュラー医学会/
国際抗老化再生医療学会/臨床水素研究会/日本東洋医学会正会員
・経歴
2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。
その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在はGINZA Zen禅クリニック院長。
人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。